イタリア展バイヤー紀行|美しい色彩を生み出す瞬間に出会う旅

長い歴史とその土地の文化に育まれたクラフツマンシップを大切にしながら、職人やアーティストの豊かな感性で、美しい工芸品を生み出すイタリア。
今回のイタリア展のテーマは「La vita colorata!!彩り豊かな暮らし」。芸術大国が生み出す「色」に注目し、イタリアの街を旅するように、色彩豊かな美しいものづくりに出会う心ときめく瞬間をお届けします!
─明るく陽気なリリエーボ陶器工房
イタリア中部トスカーナの丘に位置し、中世の面影を残した旧市街が世界遺産にも登録されている美しい街ピエンツァ。その眼下に広がる世界遺産のオルチャ渓谷近くに工房を構える<Sial Ceramica/シアル・チェラーミカ>で作られるのは、七宝焼のように絵具を盛りつけて焼成する「リリエーボ焼き」。イタリアでも珍しいリリエーボ陶器の特徴は、何と言っても色とりどりの華やかなカラフル色彩と、浮彫のような立体的な絵付にあります。
この工房では、シルヴィアさんとご家族を中心に女性たちによって、オルチャ渓谷の美しい自然や風景をモチーフにした陶器が作られています。
ピエンツァの旧市街とそこから見たオルチャ渓谷
シアル・チェラーミカ工房
─大切にしているクラフトワーク
工房では職人の想いや魂が込められるものづくりが大切にされ、下絵を使って量産することはしません。生産性よりも、手加工による丁寧なクラフトワークに重点が置かれています。すべてフリーハンドで描かれているため、図面はどれも異なり、一つとして同じものはありません。絵付けも、その時の職人の気分や感覚で色をのせて仕上げていきます。チューブから顔料を押し出して盛りつけていく手法は単純そうに見えますが、やってみるととてもデリケートでむずかしく、まさに職人技です!
すべてフリーハンドで行う下絵と色付けの作業
─三越イタリア展に来日!絵付けの技を披露します
商品を手に取ってみると<シアル・チェラーミカ>の明るく温かみある作風を、より一層感じられます。一つひとつ異なる表情を持つ商品の中から、自分だけのお気に入りを探すのも楽しいひと時です。イタリア展 PART2では、イタリアからこの工房のオーナーであり職人として創作にも情熱を注いでいるシルヴィア・ベルナルディーニ氏が来日。色鮮やかなリリエーボ陶器の絵付けの技を披露します。ぜひこの機会に、シルヴィアさんに会いにお越しください!

明るくあたたかな職人さんの人柄が作風にも表れている
<シアル・チェラーミカ>職人シルヴィア・ベルナルディーニ氏 来日実演
□2025年5月1日(木)~5月6日(火・祝) 各日午前10時~午後6時 ※最終日のみ午後5時終了
□日本橋三越本店 本館7階 催物会場
シルヴィアさん来日期間中に、リリエーボ陶器の絵皿(25×25cm)の特別受注を承ります(5点限り)。
サンプル写真から色や柄をお選びいただき、ご希望に応じてお客さまのお名前や短いメッセージ(英語またはイタリア語)を絵の中のバナーに手書きして、イタリア現地で仕上げます。
※お渡しまで約3カ月(諸事情によりお渡し時期が前後する場合がございます。)
─美しいトスカーナの大自然をダイナミックに描く<サルバトーレ・フェラレンテ>
続いてご紹介するのは、こちらも同じくオルチャ渓谷の近くにアトリエを構える<サルバトーレ ・フェランテ>(ソテラス・アート工房)。アーティストのサルバトーレさんが温かく迎えてくれました!
ナポリ地方に生まれ、幼少の頃から絵を描くことが大好きだったサルバトーレさん。成人してからは家具の修復の職人として働いていましたが、35歳の時、志を遂げようと現在のトリッタ・ディ・シエナという町に移り住み、以来アーティストとして歩み始めます。油絵で習得した絵画の技法を基本に、木工職人としての経験と技術を組み合わせたまったくユニークで、かつ独創的な「木彫絵画」の世界を切り拓きました。近年、イタリア国内はもちろん、パリやカンヌなどでも展示会を開き、また権威あるフィレンツェの優秀アーティスト賞を受賞するなど、新進作家として注目されています。
トスカーナのオルチャ渓谷での風景と作品
─木彫りと絵画を組み合わせたユニークな世界
光がたっぷり差し込む静かなアトリエの中には、力強く色彩豊かな作品の数々と画材が所狭しと並んでいます。
彼の絵画は、トスカーナの大自然と農村、フィレンツェの古い街並み、ダイナミックな天空など多種多様な題材を取り上げていますが、ごく基本に忠実に、手書きのスケッチを描くところから始まります。
アトリエもカラフルな作品でいっぱい!
次に、分厚いモミの板から曲がりくねったピースを糸鋸で切り出し、面取りを施し、彩色して三次元に組み上げていきます。最後に、彼自身が制作した額にこれらを組み込み、かつ額の部分にも彩色を施して絵画の一部に取り込んでしまいます。全体が一つの立体的な彫刻であり、かつ一体の絵画となることから、彼しかできないユニークな世界だとして「木彫絵画(Wood Sculpture Painting)」作家と称されています。
木彫絵画は彼にしかできないユニークな世界
─躍動する力強さと、鮮やかな色彩
トスカーナの大自然や街並みなどを描いた彼の作品に通底するテーマは、渦を巻き、躍動する天空の力強さ、美しさを表現することにあります。太陽・星・月・天の川・銀河などが壮大なドラマを織りなし、圧倒的なエネルギーを放出する一方で、人々の棲む地上はいつの時も静謐で平和な時間が流れている。その不思議なコントラストは、見る人を魅了してやみません。
そんな独自の世界観を持つ彼ですが、日本のファンの好みやリクエストを聞いて、それを作品に取り入れることにもとても積極的です。温かい人柄と創作への情熱に溢れるサルバトーレさんの作品をぜひイタリア展でご覧ください。
※サルバトーレ・フェラレンテ氏の来日はございません。

顔料やニスは天然素材から彼が独自に調合したもの
商品の一部は、三越伊勢丹オンラインストアでも販売しております。
イタリア展 2025
PART1:
エムアイカード プラス会員さま特別ご招待日:2025年4月23日(水)
一般会期:2025年4月24日(木)~4月29日(火・祝) [最終日午後6時終了]
PART2:
エムアイカード プラス会員さま特別ご招待日:2025年5月1日(木)
一般会期:2025年5月2日(金)~5月6日(火・振替休日) [最終日午後6時終了]
□日本橋三越本店 本館7階 催物会場