
伊勢丹新宿店メンズ館1階のザ・ステージで初開催されるギャラリーのような本格的なアート展示イベントの「ART @ ISETAN MEN’S」。それは「アートもファッションである」と捉えているお客さまが増えていることを感じていた美術営業部とメンズ館の両者の想いが一致して企画されたものです。「作品」としての刺激をとどけたいアートギャラリーの成田亜由美と、「環境」としての刺激を体感してほしい紳士営業計画の樋口淳が、アートとメンズ館の関係性について、今感じていることとは?

樋口淳
2009年、(株)伊勢丹 紳士営業部入社。以降、メンズクリエーターズマネージャーやバイヤーを担当。2022年より現職。
右:伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリー セールスマネージャー兼バイヤー
成田亜由美
1992年、(株)三越 美術営業部入社。2006年より日本橋三越本店美術営業部洋画バイヤーを担当。2018年より現職。
親密度がどんどん増しているアートとファッションの関係
成田:最近、伊勢丹新宿店本館6階のアートギャラリーにいらっしゃる30代、40代の多くが日頃からメンズ館でお買物をされているお客さまです。メンズ館顧客のアートへの関心が高まっているように感じているのですが樋口さんはどう思いますか?

樋口:もともとアートはファッションデザイナーにとってもクリエーションのリソースとして切っても切り離せないものだと思います。それがここ数年で関係性がより密になっていることもあり、メンズ館のファッションに共感する方が、自然とアートに惹かれているのではないのでしょうか。
成田:やはりそういう傾向はありますよね。だからこそ美術営業部としては本館6階のアートギャラリーを飛び出して、メンズ館のメインプロモーションであるザ・ステージでのアートイベントの開催をずっと狙っていました(笑)
樋口:「ファッション」という定義が拡大解釈されるようになって、メンズ館のお客さまにとってはアートもその領域にあるように感じます。自分らしいライフスタイルを叶えるために、アートはとても重要なコンテンツになっていると思いますよ。こちらとしても成田さんからのアプローチはありがたいことでした。

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Artwork ©︎Enrico Isamu Oyama
Photo by Shu Nakagawa
Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art
好奇心を刺激するアートはメンズ館のブランディングにもつながる
樋口:1階のザ・ステージはメンズ館の入り口にあるので来店された方が必ず通る場所でもあります。なので訪れたお客さまの好奇心を刺激するような「環境価値」も大切にしていて、そういう意味では今回のアートというのはまさにぴったりです。いわゆる洋服だけをファッションとして捉えてはいないメンズ館のブランディングにもつながると思っています。
成田:最近、研究結果として発表があったのですが鑑賞したり、触れたり、アートに約100分間ほど関わることでリラックス効果があるらしいです。樋口さんがおっしゃるようにアートを購入する、しないということだけでなく、「メンズ館を訪れたら心地いい気分になった」とお客さまに思っていただけたらうれしいですよね。
樋口:そうですね。メンズ館にまた足を運びたいという気持ちになってもらえたら、それがいちばんです。そういうイベントを開催するのがザ・ステージの役割のひとつと考えています。
現代アート作家も喜んだメンズ館1階のザ・ステージでの開催
成田:伊勢丹新宿店のなかでも、特にメンズ館のお客さまはいつ見ても素敵でかっこいいので、今回のアートイベントではちょっとエッジィな現代アートをキュレーションしています。現代アートの作家はこれまでの常識やルールには捉われない作風の方が多くて、そんな刺激に満ちた作品はメンズ館のお客さまの感性にもマッチすると思っているのですがどうですか?
樋口:自分が最近感じているのはアーティストの方がファッション側のコミュニティーに属していることが多いということです。ひと昔前なら芸術家といえば藝大出身者というイメージでしたが、今はモードファッション系の学校を卒業後にアート活動をされている方も珍しくないですよね。なのでファッションに関心の高いメンズ館のお客さまと現代アートは親和性は高いと思いますよ。
成田:アートを志す潮流は本当に変化していますよね。デザイナーやイラストレーターが開拓した新しい切り口のアートがどんどん認められるようになっています。今回は篠原有司男さんというレジェンドもいらっしゃいますが、それを追随するような若手アーティストも出展するので、これまでのアートの概念を壊すような作品との出会いを届けたいと思っています。

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Unique
©Ushio + Noriko Shinohara Courtesy of ANOMALY
樋口:勢いのあるストリート系アーティストも出展されますよね。メンズ館には最旬、最先鋭などの情報をいち早くキャッチしたいというお客さまが多く訪れるので、新進気鋭の作家には反応はあると思います。ファッションフロアでアートを発信するというのは婦人服フロアでも取り組んでいますが、今回のように美術営業部さんとしっかり組んでというのは初めてではないですか?
成田:そうかもしれませんね。美術営業部の企画を本館6階のアートギャラリー以外で開催することも初めてかもしれません。メンズ館1階のザ・ステージといえばプロモーションの一等地ですから、出展作家の方々もとても喜んでいますよ。
樋口:やはりファッション側からアート界へのアプローチは限界があるので、美術営業部さんのコネクション無しでは実現しえない企画もあると思っていて、それがまさに今回のメンズ館でのイベントなんだろうなと。メンズ館のザ・ステージは情報発信力の大きさも認知されているみたいで、自分たちとしてもありがたいです。
成田:ニューヨークを拠点にしている篠原有司男さんも「メンズ館のあの場所でやるんだ」ってザ・ステージのことをご存知でした。プロモーションスペースとしての認知度は確かに高いですね。
アートだからと構えずに「好き」や「かっこいい」で選んでほしい
成田:アートと聞くとちょっと敷居が高いように構えてしまう方もいるかもしれませんが、「日本で初めてモヒカンになった男」ともいわれている篠原有司男さんは現代アートのレジェンドとして破天荒な作風を貫いています。特に伊勢丹新宿店が力を入れている現代アートはとても自由なものなので、自分の価値観に新しい風を吹き込みたいというお客さまにはぜひ足を運んでいただきたいです。
樋口:メンズ館のお客さまはSNSなどで現代アートの情報をキャッチしているとは思いますが、興味がありながらも作品にも情報にもまだまだ触れていないという方もいらっしゃるはずです。なのでメンズ館1階のザ・ステージはタッチポイントとしても申し分ないはずです。今回のイベントをきっかけに、アートの裾野が広がっていくといいですね。
成田:伊勢丹新宿店のお客さまは値段や名前じゃなくて、自分が好きかどうか、かっこいいと思えるかでアートをお選びになる傾向もあります。なので、部屋に飾りたくなるようなアートとの素敵な出会いがあるとうれしいです。

樋口:男性は自分の美学や審美眼にこだわる方が多いので、アートのある暮らしは本当に楽しんでいただきたいライフスタイルのひとつです。メンズ館ではギャラリーのようなイベントは初開催ですけど、これからも続けていきたいです。
成田:ぜひ!メンズ館へのオファーは絶やさないようにします(笑)
ART @ ISETAN MEN’S
□12月28日(水)〜2023年1月10日(火)
□伊勢丹新宿店 メンズ館1階 ザ・ステージ
出展予定作家
篠原有司男、大山エンリコイサム、津上みゆき、薄久保香、鬼頭健吾、荒木由香里 他
※敬称略、順不同
※作品に関するお問い合わせ:伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリー
電話03-3225-2793(直通)