
最近の伊勢丹新宿店のアートギャラリーに訪れる比較的若い世代のお客さまには共通していることがあります。それが「自分らしいライフスタイルを叶えるためにアートは重要なコンテンツ」という考え方。アートギャラリーとしてそんな方たちに実践していただきたいと思っているのが、かつて季節や暦によって掛け軸などを変えていた習慣に倣い、模様替え感覚で春夏秋冬でお部屋に飾るアートを変えていくことです。今回、春を感じられる作品としてアートギャラリーで展示するのは伊藤泰雅氏の抽象画。あなたにどんな「春」を見せてくれるでしょうか。
心が絵の中に誘われるような伊藤泰雅氏の
「結晶する風景」
伊藤氏の代表的な作品に「結晶する風景」というシリーズがあります。キャンバスに筆を叩き込むような「たたき」と呼ばれる独特の技法で制作され、伊藤氏は「作品にわざとらしさを持ち込まないようにという気持ちから自然と辿りついた」といいます。油絵具の筆をキャンバスに叩きつけることで、描かれた絵ではなく、画面が自然に結晶していくような印象に。観る人の心を絵の中に誘い込み、まるで未知の場所をゆっくりと旅するような気持ちにさせてくれます。
「主体性のある鑑賞」が
大切な時代に注目されている抽象画
絵画の世界にも流行りというものはあり、現在は具象画よりも抽象画を求めるお客さまが増えています。その理由を「閉塞感のある時代が続いたことで、ふわっと穏やかで、ときに癒しを感じる抽象画が好まれているのでは」とアートギャラリーのスタッフは話します。情報があふれるているからこそ選択するのも、理解するのも自分自身の感性が重要になる。抽象画が人気なのは、アートにおいても主体性のある鑑賞が必要だからかもしれません。
アートギャラリーのスタッフは「結晶する風景」を
どう感じた?
「自分の内なるものと向き合うのには抽象画こそがふさわしい」というアートギャラリーのスタッフたちですが、「作家の内面に宿る風景が表に出たもの」と伊藤氏が語る「結晶する風景」を鑑賞してどのように感じたのかコメントをいただきました。作家が何をテーマに表現したのかも判読至難だからこそ、観る人によってさまざまな捉え方、感じ方があるのも抽象画の魅力のひとつです。
ファッションや家具のように、ライフスタイルを彩るピースとして選ばれるようになってきたアート。アートを常に身近に感じる生活は、心のありように変化をもたらしてくれるはずです。
伊藤泰雅展 ー結晶する風景ー
□2023年4月5日(水)~4月11日(火)[最終日午後6時終了]
□伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリー