
アメリカ東海岸に浮かぶ小さな島、ナンタケット島に古くから伝わるナンタケットバスケット。細工を施したトッププレートが特徴的で、フォーマルな場で持つことができるバスケットとして知られています。今回は、バスケットの製作技術を習得し、日本にその技術と伝統を伝える八代江津子さんに、ナンタケットバスケットの魅力を伺いました。
かつての捕鯨文化から生まれた、
“潮の香り”を感じるようなバスケット
-はじめに、八代さんとナンタケットバスケットの出会いを教えてください。
八代江津子さん(以下、八代):30年前ほど前に島を訪れ、たまたま結婚式に居合わせました。そのとき多くの方が、何とも“潮の香り”を感じるようなバスケットを持っていたんです。一見同じようですが、それぞれ形の違う、クジラや花の飾りが付いたバスケット。あまりに多くのバスケットを見て、全部ほしくなってしまいました(笑) 。それが大きなきっかけです。
象牙に絵や文字を施したスクリムシャウやカービングをトッププレートに飾るのがナンタケットバスケットの楽しみ方。
<グレイミスト>
大澤千晶(日本ナンタケットバスケット協会認定インストラクター)作 ナンタケットバスケット 638,000円(籐、象牙、天然木(メープル、ローズウッド、ブナ)/日本製)
-ナンタケットバスケットにはどんな由来や特徴があるのでしょうか?
八代:ナンタケット島は1700-1800年代に捕鯨産業で栄えたところ。当時は300艇以上もの捕鯨船がアメリカから世界へ向けて出航しており、捕鯨船で獲った鯨油を入れるための樽を作る職人が活躍していました。その樽作りの製法から生まれたバスケットなので、底板が付いているのが特徴です。素材はオークが主に使われますが、現在ではメープルやチェリーも。編む素材は籐です。
バスケット1つでどんな装いもエレガントに
-はじめてナンタケットバスケットをお求めの方におすすめはありますか?
八代:はじめのひとつであれば、やはり王道のオーバルパースでしょうか。
島に咲き誇る紫陽花を表現したトッププレート。
<グレイミスト>
大澤千晶(日本ナンタケットバスケット協会認定インストラクター)作 ナンタケットバスケット 638,000円(籐、象牙、天然木(メープル、ホリー、ブナ)/日本製)
カジュアルな場面でもフォーマルな場面でも使用できるのが、ナンタケットバスケットのいいところ。ドレスアップしたスタイルでも、短パン&Tシャツといったカジュアルな服装に持っても不思議としっくりきます。もちろん着物にも好相性。コーディネートに何か足りないというときは、このバスケットを1つ加えることでどんな装いもエレガントになりますよ。
-さいごに、お手入れのアドバイスがあれば教えてください。
八代:いちばんは、大事にしまいこむのではなく、よく使うこと。湿気には弱いので、雨には当たらない方がいいでしょう。濡れてしまったら素早く拭き取ってください。そしてたまに、ブラシで目の間の埃をとってあげてください。使ってもらえないバスケットはツヤを失いやすくなります。よく使い、手で撫でてあげてくださいね。
ナンタケットバスケットPOP UP
□2024年7月3日(水)~7月9日(火)
□日本橋三越本店 本館5階 スペース#5
※特別国際種事業者
登録番号第04878号
ぞう科の牙および加工品
株式会社グレイミストジャパン
有効期限 2026年5月31日