
次世代の工芸作家を発掘、育成したいというバイヤーの思いから、2019年にスタートした女子美術大学と伊勢丹の取り組み。「染」「織」「刺繍」「陶」「ガラス」という5つの分野で、現役学生、卒業生の作品を展示販売いたします。それぞれの作品に込めた思いや、ものづくりのこだわりについて聞きました。
【染】山﨑菜穂子「ヤマボウシの実」
ヤマボウシの実をモチーフにした型染で、ハードカバーの本が1冊入るサイズのバッグを作成した山﨑さん。
「モチーフのどこを模様にするとおもしろいか、それを見つける作業を大切にしています。道で出合った植物や景色、調理の途中の野菜や果物から見つけることも多いです。見つけたモチーフのどこをメインにしてどこを省くか考えるだけでも色々な模様ができます。型染らしい模様とモチーフの楽しさが伝われば嬉しいです」

バッグ「ヤマボウシの実」 5,500円
(麻100%/38×21cm(持ち手含む))
【織】土居ももの
「グスコーブドリの伝記」
土居さんは、宮沢賢治の童話『グスコーブドリの伝記』に出てくる稲をイメージしたきものを制作。
「風に吹かれてキラキラ、さらさらと揺れている稲の姿を表現しました。植物染料と化学染料を組み合わせることで稲のやわらかな葉の色を、よこ糸を絵絣にすることで風に揺れてキラキラ輝いている様子を織り込んでいます」

きもの「グスコーブドリの伝記」 429,000円 (絹100%)
【刺繍】岩田泰子「雪輪」
豊穣の意味を持つ吉祥文様「雪輪」をモチーフに、ミラーやピルケースなど毎日持ち運ぶアイテムをつくった岩田さん。
「厳かさと高揚感が混在する年始の雰囲気を、雪輪文様をアレンジした図案と色合いで表現しました。同じく吉祥のモチーフである南天やおめでたいリボンなどと組み合わせ、明るい雰囲気を出しています」

a.コンパクトミラー「雪輪×南天」 9,460円 (6.6×6.2cm)
b.コンパクトミラー「雪輪×お祝いリボン」 9,460円
(7.2×6.6cm)
c.ピルケース「雪輪×雪華」 8,580円 (3.4×5.8cm)
【陶】宮本果林「久遠」
生物・無機物を問わず、自然界に存在するすべてのものに魂が宿っているという考え方
「animism」をテーマにした宮本さんの陶芸作品。
「私の作品すべてに通じる大枠のテーマは《生命・生命感》です。そのために用いているのが“裂文”。裂文は、粘土の表面を急乾燥させることにより、ヒビをつくる技法のことです。このヒビに一つとして同じものはなく、意図的につくったものでありながら完全にコントロールすることはできません。自然に近い力を持った美しい造形により、力や生命感が宿った作品になると考えています」

オブジェ「久遠」 220,000円
(陶土、釉薬/H45×W33×D19cm)
【ガラス】津倉知里「うさぎさん」
ちょこんと座る愛らしいうさぎの姿を、温もりあふれるカラフルなガラス作品で表現する津倉さん。
「私が大切にしているのは、人の目には見えない感情や感覚、想い。幸せな暮らしの一部になれるような、人の心に寄り添えるような心安らぐ作品を生み出すことを目指しています。パート・ド・ヴェール、キルンキャストという原始的な技法ならではの、光をふんわり通し、内側からやさしく灯すような温かさをお楽しみいただけると幸いです」

オブジェ「うさぎさん」 各13,200円
(ガラス/W5×H9×D5.5cm)
現役学生、卒業生による作品を展示販売するほか、大学が所有するきものの展示や、型染めの製作実演もご覧いただける4日間。ぜひ会場で、新たな感性との出会いをお楽しみください。
ISETAN呉服×女子美術大学2025
□2025年1月2日(木)~1月5日(日) 最終日午後6時終了
□伊勢丹新宿店 本館7階 呉服/呉服プロモーション