着るだけでエレガント。
〈コル ピエロ〉とのコラボレーションラインがプライムガーデンにデビュー

これまで年2回のイベント開催時にポップアップで登場していた〈コル ピエロ〉。着心地が良く、どこから見ても美しいベーシックウェアは多くの大人の女性から支持され、三越伊勢丹のスタイリストの中にもプライベートで着用するファンも多いブランドです。そんな〈コル ピエロ〉が伊勢丹新宿店で常設展開をスタートしました。三越伊勢丹との新しい取り組みにやりがいを感じるというデザイナーの奥田文子さんに服作りへの想いなどを伺いました。

担当バイヤーが語る〈コル ピエロ〉というブランド、奥田文子さんというデザイナー

「これさえあれば何もいらない」。そう思わせてくれる強さと魅力が〈コル ピエロ〉の洋服にはあります。シンプルでありながら大人の女性の美しさをしっかり引き立てるのは「着る人に寄り添いたい」というデザイナーの奥田さんの情熱と足し引きの繊細なバランス、そして丁寧な仕事を突き詰めてこそ。奥田さん自身が等身大でかっこいい大人の女性であり、ファッションを自然に楽しんでいることがどのブランドとも違う〈コル ピエロ〉らしさを生み出しているのだと思います。お付き合いはもう5年になるのですが、今回初めて三越伊勢丹限定のコラボレーションラインを発表できることを心からうれしく思います。

プライムガーデンバイヤー 須﨑浩之

奥田文子さんインタビュー|必要なモノだけをプラスすることで生まれるシンプルさ

奥田さんがデザイナーを目指した経緯は?

奥田:手先が器用だったこともあり昔からオートクチュールに興味がありました。立体裁断や縫製を学んだのはパリのオートクチュール学校だったのですが、学校に通いながら見習生として老舗メゾンのアトリエで働かせてもらったり、卒業後もプレタポルテのモデリスト (日本でいうところのパタンナー)のアシスタントとして働く機会をいただきました。ボディにトワルという布をあてがいながらカタチにしていく立体裁断ならではの服作りがとても楽しく、また一点物という手作業での縫製も好きでした。立体裁断について専門的に学んだので、帰国当時は日本の服作りの主流だった平面からパターンを起こすやり方にはとても苦労しました。同時にその頃に自分が着たいと思える既製服があまり見つからなかったので、時間を見つけてはボディに布をあてがいながら、自分が着たい服のカタチに近づけてみる、といった独自の作業に取り組んでいました。そうした服作りの考えを実現するために〈リジエール〉というブランドを立ち上げたのですが、最初にデザインを起こしてからカタチにするというよりは、いい生地があって、それをどんなカタチにしたら生地が引き立つのか、そのうえ身体に合うのかという事と向き合いながら作っていきました。最初からデザイナーを目指したというよりは、作り手からの延長で自然とデザイナーになったという感じかもしれません。

〈コル ピエロ〉というブランド名の由来は?

奥田:〈リジエール〉という既製服ブランドを立ち上げてからもオートクチュールの経験が多少あるということで、舞台や芸能関係者の方から一点物の衣装をお願いされるようになりました。CM用の衣装、ピアノ演奏者の方のステージ衣装や舞台衣装などです。そうした衣装にタグとして付けたのが〈コル ピエロ〉というブランド名です。フランス語で「ピエロの襟」という意味です。ピエロの襟は複雑な形状が多く、作るのに技術を必要とします。そんな高い技術性と舞台でスポットライトを浴びて活躍するピエロ、両方の言葉の意味があって衣装のネーミングにはぴったりだと思いブランド名にしました。その後は〈コル ピエロ〉の名前で既製服も作り始めるのですが、衣装と同じような一点物の感覚で、お客さまにフィットしたラインをイメージしながら製作しています。

〈コル ピエロ〉のアイテムは一見とてもシンプルです。デザインするうえで意識されていることは?

奥田:他のデザイナーさんよりもシンプルさに特徴があるとしたら、それは〈コル ピエロ〉の服の作り方の順番が少し異なるからかもしれません。デザインからではなく、ボディと向き合うという作り方です。もちろんデザインから組み立てていくこともありますが、そのデザインもなにも無い部屋に必要なモノをひとつひとつ足していくように考えていきます。例えば、最初はスカートという漠然としたところから始まり、そこに接ぎの位置やウエストの仕様、丈の長さ、付属といった要素をプラスして〈コル ピエロ〉らしさを生み出していく感じです。いかに取って付けたようなデザインにならないようにまとめるか、最低限でありながらどれだけプラスできるかを意識しているので、見た目がシンプルなところで止まる事は多いと思います。

〈コル ピエロ〉のファンには有名人もいらっしゃいます。多くの女性を惹きつける理由は?

奥田:衣装を製作する際は依頼をいただいた方のご要望を細かく聞いてその方が立つ舞台をイメージし、最高のパフォーマンスができるよう素材やデザインを擦り合わせていきます。それは既製服でも同じで、デイリーに着られる、ちょっとしたお食事やフォーマルに対応する、大人のゆとりや気品を感じられるなど、どのようなシチュエーションで着る服なのかをイメージして作ります。肌触りの良さも大切にしますし、淡い色の服ならなるべく洗える素材にするなど、着る人の心地良さや動きやすさも重視しています。そんな服作りへの想いが洋服を通じて皆さまに少しでも伝わって、目に留めてくださっているのであれば、作り手としてはとてもうれしく思います。

シンプルなスタイリングに「いまの気分」をどう取り入れるか。奥田さんのおすすめは?

奥田:個人的には、レザーのレースアップシューズやパンツといった少しハードなアイテムとフェミニンなテイストの組み合わせが気になっています。今回、三越伊勢丹さんとのコラボレーションで製作したフェミニンな白いスカートなどはオリーブ色のTシャツや重さのある黒のレースアップシューズを合わせる甘すぎないスタイリングがおすすめです。ネイビーのシャツワンピースもそのまま着るとエレガントで清楚なイメージですが、キャミソールのようなトップスとパンツの上から羽織ることで違った印象になります。シンプルなアイテムほどスタイリングの工夫が楽しめるので、いまの気分のアイテムと組み合わせていろんな着こなしにチャレンジしてみるとまた新しい発見があると思います。

奥田さんが日常の生活において大切にしていること、かかさないことは?

奥田:必要最低限なモノやコトをプラスしていくといった事は日常の中でも大切にして、単純な引き算ではなくシンプルに生活することを心がけています。かかさないことといえば作業中は必ず音楽を流しています。中でもピアノのジャズやクラシックがお気に入りです。

今回の三越伊勢丹とのコラボレーションについて、どのように思われましたか?

奥田:既製服としてのスタートが伊勢丹新宿店だったこともあり、お話をいただいた時はとても光栄でした。〈コル ピエロ〉は伊勢丹新宿店で2015年から毎年ポップアップイベントを開催させてもらっていましたが、コラボレーションというこれまでとは違うお取り組みにやりがいを感じています。コラボレーションラインは三越伊勢丹のチームの方々と打ち合わせを重ね、最後の最後まで修正を繰り返して仕上げたのでどれもがおすすめです。今回はレディライクなアイテムが中心なのでブラウスやスカートをセットアップで着ると、とても女性らしい印象になります。ポイントは一見レディライクでも甘すぎないところでしょうか。素材感やダスティな色味、デザインなどの要所にシャープな女性らしさを加えているので、大人が着る服として選びやすいのではないかと思います。

これからの時代、ファッションができることは?

奥田:第一印象でその人のパーソナルな部分が出るのが洋服だと思いますし、それはどの時代も変わらない普遍的な事だと思います。伊勢丹のお客さまは本当に上品で洗練されているので、そのお客さまに満足していただき、その方の大切なクローゼットに必要と思われるよう服作りをこれからも意識していきたいと思っています。

PROFILE
奥田文子
パリのオートクチュール学校でモデリストとして服作りを学ぶ。〈シャネル〉や〈バレンシアガ〉など老舗メゾンの裏方としてキャリアを積む。帰国後「Lisière(リジエール)」を立ち上げ、その後、衣装部門として「Col Pierrot」を立ち上げる。現在は衣装を作るように販売先のニーズに合わせ、それぞれ違った既製品のコレクションを展開中。

〈コル ピエロ〉ドレス 42,900円
■伊勢丹新宿店本館4階=オーセンティックスタイル/プライムガーデン

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〈コル ピエロ〉スカート 34,100円
■伊勢丹新宿店本館4階=オーセンティックスタイル/プライムガーデン

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〈コル ピエロ〉POP UP SHOP

■7月15日(水)〜28日(火)
■伊勢丹新宿店本館4階=オーセンティックスタイル/プライムガーデン
※こちらのイベントは終了いたしました。

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