街でおしゃれに着こなせる水着?

2021年5月にデビューした<Nala/ナラ>が、伊勢丹新宿店でポップアップを開催したのは2021年8月。ブランド誕生からわずか3カ月後でありながら、すでにSNSなどで話題になっていたこともあり大きな反響がありました。3人の男の子を育てるブランドディレクターの井川沙耶香さんならではのママの想いが詰まったウェアを井川さん自身は「水着」と呼びますが、その端正なルックスはタウンファッションといった感じのスタイリッシュな表情。水際もデイリーもOKの多様な魅力を持つ<ナラ>の服に込められた想いは?井川さんにとって、メディアなどで語る初めてのインタビューです。
隠しつつも肌見せヘルシーな「水着」を作りたかった
−<ナラ>というブランドを立ち上げたきっかけを教えてもらえますか?

井川:<ナラ>は私が香港に住んでいたときに友人とふたりで立ち上げたブランドです。もうひとりのディレクターは香港の前にはタイにも住んでいて、どちらも常夏の国だけに子どもと一緒に遊ぶとなると一年中プール、海というのが当たり前でした。そんなときに私も友人も「足りない!」と強く感じていたのが、水際で過ごしやすく、自分たちが着たくなるような水着やラッシュガードだったんです。
−常夏のような海外で生活をしていたからこそ<ナラ>が誕生したんですね
井川:それはきっかけとしてはすごく大きいです。水着やラッシュガードを作ろうと決めたときに、私と友人がこだわったのがおしゃれを楽しめて、出産や年齢を重ねたことによる体型変化もカバーしてくれることです。そんな水着はどこを探しても見つからなかったですね。最初からブランドやビジネスとして考えていたわけではなかったのですが、作ってみたら周りのママたちから「私も欲しい!」と言ってもらえました。その後に日本に戻ったら、日本のママたちが欲しいと思う水着もまったく同じだったので、神戸を拠点に本格的にブランドとしてスタートしました。
−モノづくりはおふたりで意見やアイデアを
出し合って進めているんですか?
井川:実は私と友人はファッションの好みもまるで違えば、体型も違う、体型へのコンプレックスも異なるんです。ただ、そのふたりが無理なく着ることができる水際アイテムなら、ほとんどの女性の体型にフィットすると思っています。なので私だけの好み、友人だけの要望だけに寄せることはしないですね。
ファンの間で自然と生まれた「制服化」という言葉
−井川さんにとって<ナラ>のコレクションは
あくまでも「水着」ですか?
井川:そうですね、水着です。アイテムに使用している生地はすべて塩素の検査を通してクリアしていますので、プールから上がってきた子どもが濡れたままくっついてきても色落ちの心配はありません。そのまま海やプールに入っても、あがればすぐに乾く速乾性も備えています。どのアイテムも水着と呼ぶには違和感はあるかもしれませんが、私は<ナラ>を立ち上げる前にアパレルの経験などもなかったので、「水着はこういうデザインであるべき」という概念みたいなものはまったくありませんでした。自分が着たい水着を作ったらシャツやパンツのデザインになっただけです。体型カバーは大切にしていますが、同時に素肌をヘルシーに見せることも意識しています。
−伊勢丹新宿店でもデザインを気に入って
購入するお客さまが多かったです
井川:<ナラ>を選んでくださったお客さまの多くは、水着というよりも街着として着ていることのほうが多いと思います。機能としては水着ですけれど、それだけでは着る機会も限られますよね。だから私たちが目標としているひとつがワンシーズンに30回は着られる、着たくなるアイテムを作ることです。30回というのはSDGsの長く愛用することの定義のひとつでもあるんです。そもそもが水着なので汗染みを心配することもないですし、汚れにくい生地なのでクリーニングも必要ない。ストレッチも効いているので移動中も快適で旅行にもおすすめです。機内も、ビーチも、お散歩も、カジュアルなレストランも<ナラ>のトップスとボトムスだけで旅先の装いは完結すると思います。「雨の日の子どもの送り迎えにぴったり」という声もありますね。
−<ナラ>のファンの間では「制服化」という
言葉が生まれているそうですね
井川:例えばワイドパンツは「仕事の日の通勤着にも、オフの日のお出かけ着にも、まるで私の制服のようです」と言われたことがあります。「夜に洗えば朝には乾いているので、週3は穿いています」とか。使う頻度が多いというのは私たちが理想としていることでもあるので、それはとてもありがたいですね。

<ナラ>
ワイドレッグスイムパンツ 26,400円
[伊勢丹新宿店限定色]
商品を見る
※三越伊勢丹オンラインストアでの販売は7月27日(水)午前10時から8月2日(火)午前10時となります。
−前回のポップアップで特に人気がすごかった
のがオールインワンです
井川:オールインワンは胸を見せたくない、お腹もお尻も目立たせたくない、だけど全部は隠したくない、というちょっとわがままな願望から作ったアイテムで背中は大きく開いた肌見せデザインにしています。これは水着の上から着ることを想定しているのですが、今季はタウンでもOKの新作を2型作りました。ひとつはショートパンツ風で、もうひとつは妊婦さんでも着られるロング丈です。「妊娠中ですが<ナラ>のパンツを穿きたい」という声を前からいただいていて、それを叶えたいと思いました。生地は同じなので二人目を妊娠中でもお子さまとの水遊びも大丈夫です。妊婦さん用ということでは ないのですが、お腹部分は突っ張らないようにシルエットや股上の深さはきちんと考えています。

<ナラ>
バックオープンオールインワン 20,680円 商品を見る
※三越伊勢丹オンラインストアでの販売は7月27日(水)午前10時から8月2日(火)午前10時となります。
−ポップアップでは今季の新作が多く登場するので楽しみにしています

井川:今季の新作は「私たちが着たい」というものを商品化したものが多いかもしれません。私はもともと白シャツが大好きなんですけど、子どもと一緒に遊ぶことを考えたら汚れやすい白シャツを着ようとは思わないですよね。それを<ナラ>のいつもの生地で作れば汚れもシワも気にならないのでノースリーブの白シャツを作りました。ドレスパンツも新作ですが、こちらは<ナラ>では唯一ともいえる水際から離れたシーンを想定したアイテムです。デリケートな生地のドレスパンツはシワが気になりますが、これはシワになりにくく、ご家庭でのケアも簡単です。結婚式などでも大丈夫なドレッシィさですが、公園遊びにも対応できる万能な一枚です。シャツもパンツもネイビーは伊勢丹新宿店限定色です。

<ナラ>
バンドカラースイムシャツ 23,100円[伊勢丹新宿店限定色] 商品を見る
※三越伊勢丹オンラインストアでの販売は7月27日(水)午前10時から8月2日(火)午前10時となります。

<ナラ>
ドレスパンツ 30,360円[伊勢丹新宿店限定色] 商品を見る
※三越伊勢丹オンラインストアでの販売は7月27日(水)午前10時から8月2日(火)午前10時となります。
「これでいい」じゃなくて
「これがいい」と選んでもらいたい
−最近は「子どもと遊ぶときもおしゃれでありたい」というママが増えているように感じています
井川:子どもが産まれるとどうしても家族のことを優先して自分のことはなにもかも後回しになってしまうママは多いはずです。「ゆっくり選びたいけれど、時間もないからこの服でいいか」って。自分もそうだっただけに、<ナラ>は「これでいい」ではなくて「これがいい」と思って選んでもらえるブランドにしたいと思っています。
−そんなママたちが共感できるブランドを探しているときに出会ったのが<ナラ>でした


井川:伊勢丹新宿店は東京に住んでいたときは何度も買い物に来ていた大好きな百貨店なので、そう言っていただけるとうれしいです。<ナラ>は通常はオンラインのみで販売しているのですが、ポップアップを開催している唯一の店舗が伊勢丹新宿店です。<ナラ>が目的ではなくても、伊勢丹新宿店を訪れたお客さまがちょっと気になって手にとってもらえたらありがたいです。
−「私のための服」を求めているお客さまほど<ナラ>に共感すると思っています
井川:ブランド名の「ナラ」というのはタイの言葉で、「可愛い」や「愛しい」などの意味があるそうです。小さな子どもにだけでなく、おばあちゃんでも、あらゆる愛情を示す時に「ナラ」って使うみたいです。<ナラ>を着こなすシーンも、愛用する場面も人それぞれかもしれませんが、ママだけでなく、さまざまな世代の方から愛されるブランドでありたいです。

井川沙耶香
仙台出身。3児の母。株式会社 Nala代表/モデル。常夏の香港在住経験を経て、水辺でのライフスタイルやスイムウェアに特化したブランド<Nala/ナラ>を2021年に設立。体型をカバーしながらもシンプルかつスタイリッシュに着られる、母だからこその目線でこだわり抜いた服作りを目指す。現在、海外に住むママに向けての展開も準備、進行中。