<LOEFF/ロエフ>
スリットからの景色も楽しむマキシコート。

<CIOTA/シオタ>ふるまいに寄り添うハイウエストスリムデニム。

端正な生地に深いスリットが入ることで着こなしに幅を出し、曲線的なカッティングがフェミニンな雰囲気をただよわせるロングコート。しかも素材はリサイクルウールです。この素材が選ばれた経緯、<LOEFF/ロエフ>のデザイナー・鈴木里香さんが考える環境問題とものづくりの関係とは。

<ロエフ>デザイナーの鈴木里香さん。最近、リサイクルショップでガラスのコップを購入したとか。理由は「不均一な感じがしっくりきて」と話していました。

“いつでも”似合う日常着を。

ユナイテッド アローズ社のインハウスデザイナーとして活躍していた鈴木里香さんが「年齢を重ねても大切にしたい日常着」をコンセプトに掲げて、2019年に立ち上げた<ロエフ>。

鈴木さんは、作り手としての現場経験だけでなく、服を着るひとりの個人として、さまざまなテイストの洋服や物語を持つアイテムに袖を通してきました。「40代、50代になっても着たい服とは?」とあらためて考え、時代のニーズを見つめながら、自らの美意識を反映させたブランドです。

LOEFF 2021AW LOOK

着飾ることよりも、自然体でいたい。

「行動にもとづいてデザインされる服」だと鈴木さんが解釈するワークウェアをベースに、マスキュリンでありながらも柔らかさがあり、自然体でいられる服を提案しています。

「1着の服を生み出すためには、生地屋さんにはじまり、磨き上げた技術をもった工場や職人をはじめ、ともに働くスタッフなど、たくさんのひとの協力が必要だと痛感してきました。あらゆる服に物語や歴史、産業とのつながりがある。それを引き継ぎながら、今の時代と呼応するデザインを目指して、後世に伝えていきたいです」。

<&ISSUE>ディレクターを務めるスタイリストの井伊百合子さん(写真左から2人目)は<ロエフ>が始動した2019年からルックブックを手がける。デザイナーの鈴木里香さん(写真一番右)との信頼関係は深い。

その日の気分やスタイリングによってコートのシルエットに変化をつけてくれる、コートのベルト。着こなしの幅をつくりだしてくれるベルトは付属させたいけれど、使っていないときにベルトを通すループだけがコートに残っているのは避けたかった、と井伊さん。

二人がたどりついたのは、ベルトループのないシンプルな佇まいのコートでした。ループがないことにより、結ぶ位置が自由にできるのも利点。裾に向かってゆるやかに広がるシルエットを生かしてもよし、ウエストをきゅっと結んでエレガントに着こなすのもおすすめです。

リサイクルウールだからこその質感。

今回素材に採用されたリサイクルウールは、余ってしまった毛糸や、生産の過程で出た毛、布にはなったものの製品にならなかった残反などを紡ぎ直した素材です。過剰在庫や廃棄ロスが問題視されるアパレル業界では、このような環境負荷に配慮した素材が注目されています。

デザイナーの鈴木さんと井伊さんは、リサイクルではない生地も含め、たくさんの選択肢を検討した結果、この生地にたどり着いたそう。「リサイクルされた生地だから、という理由だけでこの生地を選んではいません。生地としての仕上がりを鈴木さんと見ていくなかで、このフラットなタッチが素敵だと意見が一致したんです」。

今回のコートに採用したリサイクルウールの生地見本。リサイクル技術の発展、環境問題へ意識が高まるなか、今までは廃棄としていたものをアップサイクルする取り組みは、アパレル業界に限らず各所で起こっています。

今まで見えてこなかった新たな選択肢。

<&ISSUE/アンドイシュー>という企画名を掲げた今回のプロジェクト。服を生産する立場で感じるイシュー(問題)について、鈴木さんからもお話をしてくださいました。
「私自身がもやもやと考えているところなので、ややこしいと感じられる話し方になってしまうかもしれません……。まず、さまざまな人が関わって生まれた布や服が、過剰な生産で捨てられてしまうことはつらいですよね。そんな無駄は極力減らせたら良いと思います。

でも、生産と消費を繰り返すものづくりの現場を見ていると、“無駄”がすべて悪いわけではないという気もする。私の仕事に限らずだと思いますが、無駄がきっかけになり、なにか新しい選択肢が見出せることがあるのではないでしょうか。それを全否定するのは、私の立場からすると無理があると思います。

リサイクルに関していえば、たとえば、シングルユースのものが再活用されて循環するサイクルは素晴らしい。ただ、服やものづくりに関して言えば、再活用ばかりをしていると、新たな開発はできないんじゃないかという視点もありうる。だから、両方が必要だと思っています。<ロエフ>も100%サステナブルな素材に切り替えようとは思っていなくて、素材として正直に良いと思えるものを使うし、生地を作ってくださる方々が、こういう新しいものができました、というものにも期待し続けたいとも思っています。

とはいえ、今回のコートの生地を見ていて思ったのは、時代とともにリサイクルの技術もすごく進化しているということ。もはや、リサイクルだから、というフィルターを通して見るのではなく、生地の作り方のひとつとして、再活用を考えてみられると思いました。

私も井伊さんも、サステナブルな側面だけを美点としたのではなく、フラットに、見た目がよく、質感もとても気持ちいいと感じたんです。<ロエフ>でも、そういった素材を使っていきながら、答えを見つけていこうかなと思っています」。

リサイクルウールを採用した肉厚のコートは、モカとブラックの2色展開。保温性はもちろんのこと、消臭性にも優れたウールは、天然素材がもともと持っている機能性を備えています。

<ロエフ>
サイドスリットマキシロングコート モカ、ブラック  各99,000円 商品を見る

軽くて暖かい。シンプルで着やすい。「年齢を重ねても大切にしたい日常着」という<ロエフ>のコンセプトに沿うステンカラーのコートができあがりました。

<ロエフ>
サイドスリットマキシロングコート モカ、ブラック  各99,000円 商品を見る

個性が見え隠れするひざ下丈のコート。

井伊さんが特にこだわったのは、丈感でした。「しっかりマキシ丈、というコートはなかなかないんです。でも実は、長いコートはバランスがとりやすいし、ボトムスを選ばない。丈の長いワンピースとのレイヤードも楽しいはずです」。好きな位置で結べるベルトが付属するので、ウエストに表情をつければエレガントな装いにも馴染むそう。「ドレスのうえに纏うコートにもなると思います」。

「鈴木さんらしい深いスリットのおかげで、印象が一通りではないロングコートになりました。スリットから着ている服が見え隠れして、着る人の個性が垣間見える素敵なコートになったと感じています」。

Direction & Styling: Yuriko E
Photography (Item) : Masahiro Sambe
Photography (Fashion) : Mitsuo Okamoto
Hair and Make-up:Rumi Hirose
Text and Edit:kontakt

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プライムガーデン
「あたらしいラグジュアリー」をテーマに、大人の女性に向けシンプルでハイ・クオリティなファッションアイテム、クラフトマンシップあふれるライフスタイルグッズを展開する、伊勢丹新宿店 本館4階のセレクトショップ。
※本館4階 ザ・ステージ#4にてイベント・プロモーションを併設中。
 

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