<SEEALL/シーオール>

<SEEALL/シーオール>とつくったのは、ショート丈のワークジャケットと、ウエストベルトが配されたハイウエストのパンツ。いずれもシャンブレーウールを採用し、角度や光の当たり方によってグレーやベージュのようにも見え、上品なツヤがあります。セットアップで着用できるアイテムをデザインしたのが、<シーオール>デザイナーの瀬川誠人さん。徹底したものづくりにこだわる瀬川さんの人物像、そして<&ISSUE>のためにイチからデザインしたアイテムの粋なディテールについて紹介します。

山梨にあるセカンドハウスで作業する<シーオール>のデザイナー、瀬川誠人さん。平日は都内で、週末は山梨、という二拠点生活を営んでいます。
琴線にふれたクラシックを現代へ。
2019年にスタートした<シーオール>。イギリスやイタリアで経験を積んだデザイナーの瀬川誠人さんの洋服作りは、まず入念なリサーチから始まります。世界中から厳選した素材。そして世界各国で職人が培ってきたクラフトマンシップ。このように時間をかけて、まずは生地をデザインすることから<シーオール>の服は作られていきます。

デザインのソースは瀬川さんの琴線に触れたものや、瀬川さんが「作ってみたい」と思うもの。例えば、とある映画のワンシーンやアートピースを見たとき、ミリタリーやワークウェアの機能的なディテールから感化されることもあります。それらの“クラシック”な洋服が瀬川さんの手によって、現代のリアリティある洋服に蘇ります。

表参道にある<シーオール>のショールームで、<&ISSUE>ディレクターを務めるスタイリスト井伊百合子さんとの打ち合わせ。洋服の話はもちろん、山梨のご自宅にある畑の話などで時間はあっという間に過ぎていきました。
農業と洋服づくりの蜜月。
デザイナーの瀬川さんが山梨で始めたという農業の話題にスタッフ一同が食いつき、やや脱線気味で始まったミーティング。肥料や農薬を使わない自然農法の野菜の濃く奥深い味わいに興味津々です。農業とデザインの共通点があるのだろうと質問をすると、意外な答えが返ってきました。
「ファッションデザインと農業は真逆です。それを行き来するのがいいんですよ、僕にとっては。農業は野菜に合わせていく作業。すべてを野菜に捧げるような気分になります。一方で、デザインは概念を疑うことですね。シャツといっても、そこになにか他の可能性がないかを考える。細部のひとつひとつを疑って、組み替えていくんです。それは、ものをこちらに引き寄せていく作業。野菜に歩み寄るのとは真逆です」。

音楽やアートへの造詣も深いデザイナーの瀬川さん。それらの文化にも影響を受けながらファッションデザインに落とし込んでいきます。

「これはいいですよ!」と、デザイナーの瀬川さんが見せてくれたフード付きのワークジャケットとベルテッドパンツのデザイン画。

スタイリストの井伊百合子さんが一目惚れしたという生地を採用したのが今回展開するジャケットとパンツです。
「根のないデザインではなく、服の歴史に存在するリソースにしてデザインをしている」と話す瀬川さん。しかし、<シーオール>のものづくりは、“再現”ではなく、“再構築”。生地づくりや、細部のデザイン調整により、ヴィンテージを今の感覚につなげていくデザインのアプローチと、井伊さんの要望が絡み合っていきます。

色が異なるウールのたて糸とよこ糸を交互に編んでいくシャンブレー生地。グレーとベージュの中間にあるような色合いは肌馴染みもよく、コーディネートも合わせやすい。
<シーオール>
ブルゾン ベージュ 53,900円 商品を見る

まるでスカーフのようなフードを取り外すとスタンドカラーのシャツアウターのようになります。首回りをすっきりさせたい日の着こなしに活躍。

ベルテッド仕様は瀬川さんがデザインするパンツの特徴のひとつ。腰回りにアクセントを加えるのはもちろん、ベルトの色合わせを気にすることなく、より気軽に履けるのが特徴です。
<シーオール>
ベルテッドパンツ ベージュ 38,500円 商品を見る


<シーオール>
ブルゾン ベージュ 53,900円 商品を見る
ベルテッドパンツ ベージュ 38,500円 商品を見る

<シーオール>
ベルテッドパンツ ベージュ 38,500円 商品を見る
<ヘリル>
ボトルネックセーター ベージュ 61,600円
ワークでエレガント。組み合わせ自由のセットアップ。
首元で結ぶとスカーフのようにも楽しめるフードがついたワークジャケットは、フードを外せばスタンドカラーでシャツアウターのように着用できる。また袖のボリュームは肘から袖口にかけて生地を折り紙のように畳み込んだ技巧的なパターンによって、ドルマンスリーブのラウンドしたフォルムに。袖口にファスナーがあるので、抑揚のあるフォルムですが着脱のしやすさに配慮されています。
パンツは、股上が深くトップスをタックインしやすいグルカパンツのようなデザイン。とくに井伊さんがこだわったのは、ベルト幅の太さです。腰回りにアクセントのあるボトムスは、シンプルなカットソーでもぐっと雰囲気のある着こなしになるそう。「上下を合わせても、別々でも着たいです。瀬川さんの洋服はしっかりとデザインのあるディテールがあるけれど、日常に馴染む塩梅がしっかり考えられている。シャンブレーの生地の美しさもあいまって、フードになるスカーフやウエストのベルトが落ちてながれていくのも綺麗です」。
Direction & Styling: Yuriko E
Photography (Item) : Masahiro Sambe
Photography (Fashion) : Mitsuo Okamoto
Hair and Make-up:Rumi Hirose
Text and Edit:kontakt