<ヘリル>のカシミヤセーター「着ていて幸せ、そう感じさせてくれる服」

日々をともにする愛すべき名品(=My Dear)は、どれもそこへたどり着くまでのストーリーがあります。
一人ひとりの想いが詰まった品とそのストーリーをひもとく、プライムガーデンの連載「HELLO, My Dear」。第五回は、プライムガーデンの須﨑バイヤーにお話を聞きました。
私の「My Dear」との出合い
<ヘリル>のカシミヤセーター

セレクター:須﨑 浩之/伊勢丹新宿店プライムガーデンバイヤー 愛用歴:2年
今回話を聞いたのは、プライムガーデンの買い付けを担うバイヤー、須﨑 浩之。入社以来16年以上婦人服担当としてキャリアを積み、2019年からプライムガーデンのバイイングを担当しています。デザイナーズブランドを中心に、国内外を問わず数々のブランドに触れてきた須﨑バイヤーが“My Dear”として選んだのは、<HERILL/ヘリル>のカシミヤセーター。
<ヘリル>はデザイナーの大島 裕幸氏が2019年の秋冬シーズンに立ち上げたユニセックスブランド。日本国内の伝統ある工場とタッグを組み、新しいコンセプトの素材開発を行いながらものづくりをする<ヘリル>は、デビューして2年とまだ日が浅いながらも、多くのファンを魅了しているブランドです。
長くいっしょにいられることを大切にしたい。そんな気分にフィットした
「出合いはすごくシンプル。たまたま行ったセレクトショップに置いてあったのを見て、素敵だなと思って手に取ったんです。そのままファーストインプレッションで購入しました」
シンプルに心地いいと感じる素材のよさと、野暮ったくないナチュラルさ。デザインが前面に出ているわけでも、着心地だけで勝負しているわけでもないバランス感が気に入ったと言います。
「<ヘリル>のセーターに袖を通すと、なんというか、幸せをまとっているような気分になるんです。服によってもたらされる感情で“幸せだ”と感じることってこれまであまりなかった気がして。僕は長い間ファッション特有のサイクルの中で仕事をしてきて、どこか肩ひじ張りすぎている感じとか、トレンドみたいなものに疑問を感じたり、疲れてしまったところもあって。もう少し穏やかなファッションとの付き合い方や、長くいっしょにいられることを大切にしたいと思うようになっていました。そんな気分にフィットしたのが<ヘリル>だったのかもしれません」
プライムガーデンで届けたいのは、心地よく、自分の毎日を肯定できる服
着ることで幸せを感じることができる服。それを実感した須﨑バイヤーは、数カ月後には直接コンタクトを取って、プライムガーデンで<ヘリル>を紹介させてもらえるようお願いしたと言います。
「僕はプライムガーデンをいわゆるオシャレな店にしたいとは思っていないんです。プライムガーデンにいらっしゃるお客さまは、みなさんファッション経験も豊富で、仕事・家庭・子育てなど人生を駆け抜けてきた方々。そんな方たちがふと立ち止まって、いま自分に本当に必要なものってなんだろうと思ったときに立ち寄ることのできる、居心地のよいショップでありたい。これを着ているとなんとなく心地よくいられるとか、着ていると自然と背筋が伸びるような、自分の毎日を肯定してくれるようなものを提案したいと思ってお店づくりをしています」
自己主張のためにオシャレをするのではなく、肩の力を抜いて自分らしく着ることができる服。須﨑バイヤー自身が求めるものと、プライムガーデンのお客さまに届けたいものの両方が<ヘリル>にありました。

思う存分使ってリペアする、あたらしいラグジュアリーの在り方
「<ヘリル>では最近、仕上げ直しというリペアサービスをはじめたんです。毛玉ができてしまったセーターを送ると、工場で毛を立たせ直して、きれいに切り揃えてくれる。実際に仕上げ直したものを見ると、新品よりもリペア後のほうがしっとりとした光沢が出て、目も詰まりいい感じになっているんです。僕もリペアを目指してハードに着ているんですけど・・・、つくりがいいからそんなにヘタらないので、まだ当分試せそうにありません」
通常より繊維長の長いカシミヤをしっかり目を詰めて編むことで、仕上げ直しが可能になっているという<ヘリル>のニット。
「高いものだからおそるおそる着るのではなく、これだけ気持ちいいものだからこそ毎日でも着てほしい。毛玉ができてしまってもリペアできるのは、本当にいい素材を使ってしっかりと編んでいるからこそ。そういうラグジュアリーの在り方って、いいなと思います」
“染めない”という潔さと、女性にこそ着てほしいシルエット

<HERILL/ヘリル>カーディガン 93,500円 商品を見る
<HERILL/ヘリル>プルオーバーセーター 71,500円 商品を見る
ここからは、この秋冬にプライムガーデンでお取扱いするセーターをご紹介。今回セレクトしたのは、<ヘリル>の“飾らなさ”がいちばん伝わりやすいベーシックなモデル。さらに、すべて素材そのものの色を生かした無染色のものです。
「ナチュラルなのに野暮ったさがない、この色合いにとてもひかれました。無染色について大島さんに伺ったら、何色に染めるか悩んだから、結局染めるのをやめた、という経緯だったそうで。つまりこれは、決めた色ではなく、決めなかった色である、と。その在り方がすごくいいなと思いました。無理しない潔さとか、風通しのよさみたいなものが、<ヘリル>そのものの魅力なのだと思います」

須﨑バイヤーは、<ヘリル>をレディースで扱う際、“リブの強さ”もポイントのひとつだったと言います。
「<ヘリル>のニットはほかのセーターにくらべてリブがしっかりとしていて強め。メンズベースでつくっているのでボディに余裕があるぶん、リブが強いことでシルエットにふくらみが出ます。たっぷりとして大人の余裕を感じさせますし、袖や背中まわりのシルエットもかわいらしいんですよね」

「このリブの感じもカシミヤの気持ちよさも、着てみてはじめてわかるもの。僕も惚れ込んだ<ヘリル>のセーターを、ぜひ一度試していただけたらと思います」
ヘリルのセーターを着用したスタッフのスタイリングをご覧いただけます。

※本館4階 ザ・ステージ#4にてイベント・プロモーションを併設中。
Text by Midori Sekikawa