<コヒーレンス>のトレンチコート「国境も性別もこえ、愛される服」

日々をともにする愛すべき名品(=My Dear)は、どれもそこへたどり着くまでのストーリーがあります。
一人ひとりの想いが詰まった品とそのストーリーをひもとく、プライムガーデンの連載「HELLO, My Dear」。第七回は、<COHERENCE/コヒーレンス>のコートを愛用するイタリア・ミラノ在住のマルチェッラさんにお話を聞きました。
私の「My Dear」
<コヒーレンス>のトレンチコート

イタリアでメンズウェアのセールスとマーケティングの仕事に携わるマルチェッラさん。フィレンツェで開催されるメンズのファッション見本市「ピッティ・ウオモ」で、はじめて<コヒーレンス>に出合ったといいます。
<コヒーレンス>は、2015年にクリエイティブディレクターの中込 憲太郎さんがスタートさせたブランド。素材の開発から縫製まで、日本でのものづくりにこだわり、そのクオリティの高さから国内よりも先に海外で注目を集めた異色の存在です。
<コヒーレンス>を知るきっかけは、「ピッティ・ウオモ」でのハプニング
イタリア国内で行われるコレクションで、ブランドのサポートを行うマルチェッラさん。<コヒーレンス>との出合いも「ピッティ・ウオモ」の会場でのことでした。
「わたしが担当していたブランドの向かいのブースが<コヒーレンス>だったんです。彼らの通関手続きが遅れてしまっていたようで、サンプルがほとんど間に合っていない状況で。いてもたってもいられず、手続きが完了するまでお手伝いしたのがきっかけでした」
そのトラブルを機に、クリエイティブディレクターの中込さんとブランドやものづくりの話をするように。
「もともとわたしは、すでに確立されたブランドより、スタートアップのプロジェクトに興味があるほう。中込さんからコレクションのインスピレーション源について話をきいたり、ものづくりのこだわりを伺ううちに、<コヒーレンス>の服にとても興味をそそられました」
守られているような安心感とパワーを与えてくれる

中込さんのすすめもあって、マルチェッラさんがはじめて袖を通したのが、“FOUFOU II”と名付けられたコート。<コヒーレンス>では伝説的な芸術家や文化人たちのポートレートをイメージソースにコレクションを展開していますが、このコートは20世紀初頭に渡仏し、パリで活躍した日本人画家をインスピレーション源としています。
「モデルとなった日本人画家は、芸術において東洋と西洋のエレメントを見事に融合したアーティスト。その特徴は<コヒーレンス>にも現われているように思います。このコートだけでなく、<コヒーレンス>のアイテムはすべて、洗練されていてエレガント。そこに素材のすばらしさが加わっています。このコートを着ていると、なんだか守られているような安心感と、パワーを感じるんです」

長く愛用したいアイテムは、人との出会いから生まれる特別な存在
仕事のときも、リラックスして街歩きを楽しみたいときも<コヒーレンス>のコートを着るというマルチェッラさん。長く大切にしたいものとの出合いについて最後にこう話してくれました。
「わたしが長く手元に置きたいと思う大切なアイテムたちは、いつも新たな人との出会いから生まれています。人とのつながりが、それを特別な存在にしてくれている。これから<コヒーレンス>と出合うみなさんは、ぜひ気後れすることなくその世界観に飛び込んでいただきたいと思います。すばらしいモデルの中からひとつを選ぶのはむずかしいかもしれませんが、そこは直感に従って!きっと素敵な冒険に連れ出してくれるはずですよ」
王道トレンチを現代的に解釈した“JANSEN”
もともとメンズブランドとしてデビューした<コヒーレンス>ですが、マルチェッラさんのように小さいサイズを女性が着てもエレガント。プライムガーデンでは2020年からお取扱いがありますが、販売するきっかけも、バイヤーが<コヒーレンス>のコートを羽織った女性の後ろ姿の美しさにハッと目を奪われたことがきっかけです。
ここからは、2022年春夏シーズンのアイテムのなかから“JANSEN”をご紹介します。
“JANSEN”は60年代のフランス映画からインスパイアされた新しいモデル。オーソドックスなトレンチをベースに、高密度に織りあげた生地で軽やかな着心地に仕上げています。60年代のスタイルを着想源にしながら、シルエットや素材で現代的な解釈をプラス。王道ディテールであるラグランスリーブは、インナーを選ばず、どんな肩幅にもあわせやすいのがポイントです。




海外から人気に火がつき、メンズだけにとどまらず女性からも支持を集める<コヒーレンス>。国境も性別もこえて愛されるものづくりに、ぜひご注目ください。

※本館4階 ザ・ステージ#4にてイベント・プロモーションを併設中。
Text by Midori Sekikawa