入口の様子。一見すると靴の工房とは分かりませんが、工房の熱気は伝わってきます。

目印となるのは、この郵便ポストのみ。

今回、お話を聞いたのは、駒澤崇行氏、通称、ジェームスさん。業界では昔から「ジェームス」と呼ばれていて、名刺の裏面にも「JAMES KOMAZAWA」と記載がありました。

ジェームスさんは〈JOEWORKS（ジョーワークス）〉の立ち上げメンバーの1人。ジェームスさんとの会話を通じて、ブランドの真摯なモノ作りに対する姿勢が見えてきました。

――JOEWORKSを立ち上げたきっかけ、靴作りに携わるようになったきっかけを教えてください。

元々はインポートウェアの販売員や靴の販売員として働いていました。

その中でも特に靴が好きということもあって、ある時、靴の企画の仕事を始めたのですが、そこで工場に顔を出す機会も増えていきました。工場は今、人手不足で、出入りしているうちに少しずつ手伝うことも増えて、そうこうしているうちに、靴作りって面白いなと思うようになり、のめり込んでいったという感じです。企画をしていたので、「自分だったらフィッティングはこうしたい」とか色々と考えるようになり、それだったら、いっその事、独立しようかと。今、独立して5年半くらい経ちます。

――靴作りの醍醐味はどんなところに感じますか？

私たちは靴の生産から販売まで一貫して自分たちで行っています。お客さまに靴をお納めする際に、フィッティングや出来栄えにご満足頂く様子を直接見ることができることに喜びを感じますし、それが私たちの強みでもあると思っています。

逆に言うと、私たちもお客さまのファッションや、足の形を見ながら靴作りを行うので、一足一足に対しての思い入れも既製靴とは比べ物にならないくらい大きいですし、靴が出来上がった時の喜びも格別です。

――モノ作りで一番大切にされていることは何ですか？

私たちは3人で靴を生産していますが、それぞれの工程の中で、あと一歩、もうひと手間の手を掛け、一足一足を丁寧に作ることで、完成度の高い靴作りを追及しています。

――どのようなお客さまが靴をオーダーされることが多いですか？

お客さまはインスタグラムを見て海外から来られる方、お客さまからの紹介で来られる方、など様々です。

オーダーされるお客さまは、既に様々なブランドの靴を購入され、「色々と試してみたい」というマニアックな方や、色々なところで靴を買ってみたけど、なかなか自分の足に合わないというフィッティングに悩みを抱えた方が多いです。

――ラスト（木型）について教えてください。

「JOE-0」というドレス（ビジネス）寄りのラストと「JOE-6」というカジュアル寄りのラストがあります。どちらも、アーチ（土踏まず）部分を絞り、ヒールカップは小さめに作っています。

日本人で「既製靴が合わない」と悩みを抱えている方でも、フィットしやすい作りになっています。

――これからのモノづくりでチャレンジされたいことはありますか？

日々の仕事が反復の積み重ねなので、新しい事に挑戦したいという気持ちよりも、私たちの靴をより多くの人に履いてもらいたいという気持ちが強いです。今も、シンガポールや、香港、アメリカ、北欧など様々な国からお客さまがいらっしゃいますが、いつかは靴の本場である英国の方々にも履いてもらえると嬉しいです。

――今回のオーダー会のご紹介をお願いします。

今回は日本橋三越本店限定のラスト「3254」をご用意しました。

「JOE-0」をベースに若干ウィズを広げ、甲を高くすることで、日本橋三越本店の幅広い年齢層のお客さまにもフィットするようにしました。三越のお客さまとたくさんお話しできることを楽しみにしています。是非、靴を見に来るだけでもお気軽にお越しください。

日本橋三越本店限定のラスト「3254」。

型紙に合わせて革を裁断し、アッパーを作成する様子

釣り込みの機械。これらの機械でアッパーに底を貼り付けます。

踵が仮止めされている状態

その後、ウェルトを縫い付けます。
※ウェルトとはアッパー（甲の部分）とソール（底の部分）に縫い付ける帯状の革のこと

アッパーとソールを圧着する機械

アッパーとソールが一体化した状態

コバを削る機械

仕上げの様子

出来上がった商品の数々

#1 〈JOEWORKS（ジョーワークス）〉

#2 comming soon