変化をどう受け入れる?心と身体の出産準備【三越伊勢丹こそだてコラム#09】

妊娠から出産まで、ママになるまでの「トツキトオカ」をサポートするための情報をお届けする【三越伊勢丹こそだてコラム】。バイヤーの渡邊 千尋による「出産準備セミナー」と、ベビー子供フロアの現役ママスタッフ3名による「トツキトオカ体験記」を交互に連載します。第9回は「心と身体の出産準備」についてバイヤーの渡邊がお伝えします。
妊娠周期別!ママと胎内の赤ちゃんの変化
赤ちゃんを授かってから出産するまでの「十月十日」。現代では平均38週の妊娠期間のあいだに、ママにはたくさんの変化が訪れます。妊娠による身体の変化はもちろん、お仕事も産休に入ったり、赤ちゃんを迎えるにあたりお引越しをしたりといった環境の変化など、さまざまな変化を受けて心の状態が揺らぐこともあるでしょう。不安な気持ちの原因や解消方法は人それぞれですが、少なくともご自身の身体に起こる変化を正しく理解することで不安要素を特定できたり、制限あるマタニティライフの中でもストレス解消法を知り、実践することで気を紛らわせたり・・・。できることから準備することで、気持ちも落ち着いてきます。
プレパパの皆さんも、パートナーの身に起こる変化を知ることで適切なサポートができますね。出産後の育児は夫婦で分担できても、赤ちゃんがおなかの中で過ごす妊娠期間中はどうしてもママに負担が偏りがちです。パートナーを思いやる行動で妊娠期間中からパパとして活躍しましょう!
ママの体とおなかの中の赤ちゃんにどのような変化が起こるのか
■ママの変化
■赤ちゃんの成長
■この時期にやっておくこと
■パパやご家族の方へ
の4点にわけて妊娠周期ごとに説明していきます。
妊娠初期/~15週(4カ月)
■ママの変化
2カ月頃
妊娠の兆候が変化として感じ取れるようになります。眠気・吐き気や胃の不調、体のだるさ・・・など。つわりの症状が出始める人もいます。
3カ月頃
子宮は握りこぶしくらいの大きさに。つわりが最も重い時期でもあります。
※つわりについて
つわりが最も重い時期が3カ月頃。つわりの症状は人それぞれで、吐き気をもよおす「吐きつわり」、食べていないと気持ちが悪くなる「食べつわり」、ひどい眠気に悩まされる「眠りつわり」など。一方で自覚症状がなく過ごせる人もいます。症状は頭痛・吐き気・胃の不調などの諸症状から、嗜好にも変化が現れたり、嗅覚過敏になったり・・・など直接的な身体不調ではないけれど日常生活で支障をきたしてしまう症状までさまざま。中にはつわりにより食べられなくなってしまうことが赤ちゃんに悪影響なのでは?と不安に思う方もいらっしゃいますが、それはご心配なく。妊娠初期の赤ちゃんはとても小さく、必要となる栄養素もまだ少ないため、母体に蓄えられている栄養で十分まかなうことができます。ですので無理して食べる必要はありません。ママご自身の体力のために、食べられるものを少しずつ食べていきましょう。冷たくてにおいの少ないものが食べやすいですよ。
4カ月頃
おなかのふくらみが分かるようになります。つわりもこの時期に治まる人がほとんどで、体調も気持ちも落ち着いてくる頃です。胎内では胎盤が完成し、赤ちゃんの呼吸・食事・排泄などさまざまな役割を持ち機能し始めます。栄養摂取もへその緒を通して行うので、この頃から体重管理も始め、食べるものにも注意をしていきましょう。「せっかくつわりも落ち着いたのに今度は体重管理・・・涙」と、かなしい気持ちになってしまいますが、今ではカロリー・糖分控えめのスイーツや、妊娠期間のおやつとして推奨される果物やナッツ類がアレンジされたお菓子もバリエーション豊富。妊娠前とは少し趣向を変えておやつタイムを楽しみましょう。
■赤ちゃんの成長
2カ月頃
エコーで胎嚢を確認できるようになります。
3カ月頃
手足を動かしたり、羊水の中で動き回る様子をエコーで見て取れるでしょう。
4カ月頃
身長約16cm、体重約100g。レモン1個分の重さ、手はまだお米一粒分ほどの大きさです!器官の形成が終わり、これから体や手足の筋肉などが発達していきます。そして母体の胎盤が完成したことで、へその緒を通して呼吸や栄養摂取をするようになります。
■この時期にやっておくこと
たばこやお酒はやめましょう。
たばこは副流煙の影響もありますので、同居ご家族や周りの方も控えましょう。
カフェインの摂取にも注意が必要です。
麦茶やカフェインレスコーヒーなどに置き換えがおすすめです。
お薬の服用は慎重に。
自己判断ではなく病院で診察してもらいましょう。
母子健康手帳をもらいます。
母子手帳ケースで医療関連アイテムを整理しましょう。産後はますます活躍します。
出産する産院を決定・予約。
産院選びには事前の情報収集が大切。自宅からの距離や設備、出産方法やお医者さんの考え方、費用などなど、ご自身の意向になるべく近い産院を探すため、リサーチはお早めに。
体重管理をはじめましょう。
つわりが落ち着いた頃が目安です。
マタニティ用下着やウェアへの切替を。
おなかや胸に窮屈さを感じたらマタニティ用の下着、ウェアに切り替えましょう。特にボトムスはきついまま着用していると、下半身に負担がかかり子宮への血流に影響を及ぼします。ブラジャーも重要。妊娠2カ月頃から徐々に乳腺が発達してバストは大きくなり、出産時にはおよそ2カップほどもサイズアップすると言われています。形も横へ広がるように変化するため、マタニティブラジャーにはそれらの変化に対応できる機能が備わっています。この急激な変化を適切な下着で支えていないと、産後に胸がボリュームダウンした際にきれいなバストラインを保てなくなってしまいます。
ちなみにマタニティブラジャーは、サイズアップや形の変化に対応できるよう「カップがストレッチ素材で高伸縮性」「ボリュームアップに対応するための高伸縮ストラップ」「縫製の工夫で肌当たりがやさしいワイヤー」「アンダーの変化にも対応し得る背面ホックの調節幅」など、機能が満載です。
おなかの保湿ケアを始めましょう。
保湿ケアは、おなかが大きくなる前から始めましょう。皮膚が乾燥したままおなかが大きくなると、伸びに耐えられず肌悩みの原因となるので、スキンケアを前もって始め充分に保湿しておくことが望ましいです。
■パパやご家族の方へ
妊娠初期のプレママはもどかしさでいっぱい。安定期前ですと、周囲の人に妊娠中であることを伝えづらいため、つわりやそのほか辛い諸症状を我慢してしまいがちです。我慢して我慢してストレスが溜まっても、妊娠前のように好きなものを食べて飲んで、体を思いきり動かして・・・といったストレス発散もできません。この時期のプレママさんが頼れるのは身近な人たちに限られていることを想って、気持ちに寄り添ってくださいね。
妊娠中期/~27週(7カ月)
■ママの変化
5カ月頃
胎盤が完成して、ようやく安定期に入ります。子宮は大人の頭ほどの大きさになり、おなかも目立ってきます。胸は乳腺が発達し、1.5カップほどサイズアップします。胎児の成長に伴い鉄分の需要が増して、貧血になりやすい傾向にあります。鉄分を多く含む食品を積極的に摂り、予防しましょう。
6カ月頃
胎動を感じることが多くなります。おなかが膨らみ重心が前に移動するため反身になりがちで、腰や背中に痛みが出る人もいます。そしてその影響でふくらはぎの筋肉が疲労し、足がつりやすくなります。
7カ月頃
おなかがおへそ当たりまで膨らんできて、寝る時に仰向け姿勢が苦しくなるほどに。そしておなかの重みとホルモンの影響で骨盤の関節が緩み腰痛がひどくなってしまうことも。一方でおなかの中の赤ちゃんはさらに元気に動くように。蹴ったり回ったりなど、より強く胎動を感じるでしょう。
■赤ちゃんの成長
5カ月頃
臓器が発達し、身体の機能も成熟してきます。骨格や筋肉も発達し、羊水の中で動き出します。
6カ月頃
お顔立ちがエコーで見て取れるようになります。この頃から聴覚も発達しはじめますので、話しかけたり一緒に楽しむ気分で音楽を聴くのも良いでしょう。
7カ月頃
身長約38cm、体重約1200g。ママのひざ下ほどの身長、キャベツ1玉分ほどの重さです。体の向きを変えられるようになるので、さかごになることもありますが、出産までに頭が下の位置に戻ることが多いので心配しすぎないようにしましょう。
■この時期にやっておくこと
安産祈願の「帯祝い」をしましょう。
※帯祝いについて
お産が軽い犬にあやかることから、妊娠5カ月目に入った戌の日に安産祈願のお参りをすることを「帯祝い」と言います。帯祝いで用いられる腹帯は「岩田帯」と呼ばれ、岩のように強く丈夫な赤ちゃんが生まれてほしい、という願いに由来しています。
安産祈願ができる神社やお寺へ行き初穂料を納め、祈祷を受けます。岩田帯は、お参りの際に購入できる神社やお寺もありますし、ご自身で持参したものを祈祷していただくケースもあります。事前に参拝する神社やお寺のやり方を確認しておきましょう。ご自身で準備する場合は、伝統的なさらしタイプのものではなく、実用的なガードルタイプや腹巻式をお選びになる方が多いようです。
適度な運動でリフレッシュを。
体重管理も兼ねてウォーキングやヨガがおすすめです。くれぐれも体調が良い時にしましょうね。
塩分・糖分の摂りすぎにご注意ください。
妊娠高血圧や妊娠糖尿病の予防に努めましょう。
歯科検診を受けましょう。虫歯等治療もこの頃までに。
妊娠中は、つわりやホルモンバランスの影響で口内環境にも変化が生じ、歯周病菌が繁殖しやすくなってしまいます。
出産にまつわるお金関連の手続きもお忘れなく。
国や自治体・ご勤務先でさまざまな制度がありますので、情報集めと手続きを計画的に進めましょう。
赤ちゃんのお名前を考えます。
産後、出生届の提出期限までは慌ただしくなりますので、事前に候補を考えておきましょう。
赤ちゃんグッズのリサーチを。
実際に買い揃えるのは少し先でも大丈夫ですが、ベビーカーやお布団・・・未知の赤ちゃんアイテムで、何をどう選ぶか悩みはつきものですので、事前に調べ比較検討しましょう。
【三越伊勢丹こそだてコラム】で赤ちゃんグッズの詳しい解説をしています。
※連載記事を読む
選び方!着せ方!新生児衣料徹底解説【三越伊勢丹こそだてコラム#03】
1日の大半はねんね!とっても大切な『寝具』【三越伊勢丹こそだてコラム#05】
最愛の1台を探す!ベビーカー徹底解説【三越伊勢丹こそだてコラム#07】
■パパやご家族の方へ
安定期に入りお出かけの機会も増えるでしょう。一方プレママはおなかのふくらみと共に体に変化が生じ、腰や背中に痛みが出たり疲れやすかったりしますので、体調をケアしながら楽しみましょう!そしてお家では、おなかの中の赤ちゃんに積極的に話しかけてみてください。胎動も強くなりおなかを蹴るのを感じ取れたり、胎児の聴覚も発達してくるのでぜひパパも話しかけてあげてください。
また、この頃は産後の生活を夫婦で話し合うことが多くなるでしょう。パパの育児休暇取得を検討している方もいらっしゃると思います。男性の育児休暇について、ベビー子供フロアの現役ママスタッフの体験を特集しています。
※連載記事を読む
私の産後の過ごし方~男性の育休編~|「トツキトオカ」体験記Vol.4【三越伊勢丹こそだてコラム#08】
妊娠後期/~40週(10カ月)
■ママの変化
8カ月頃
おなかはおへそとみぞおちの間くらいまで膨らんできます。この頃の腹囲は、妊娠前より+25cmほど。おなかがせり出すことで足元が見えづらくなるので、お出かけの際には階段や段差に十分ご注意を。手足のむくみやおなかの張りも気になってきます。休んでも症状が治まらない場合は、医師に相談しましょう。
9カ月頃
子宮がみぞおちあたりまで達する程大きくなることで、内臓が圧迫され諸症状が生じます。心臓や肺に負担がかかると動悸や息切れが。胃も押し上げられることで不調を感じる方も。また、膀胱が圧迫されることで、頻尿や尿もれに悩まされることもあります。加えておなかの重みで足にもより負担が掛かるようになるので、お出かけの際にはこまめな休憩をとり、お家の中でも疲れたら横になって休むなど、くれぐれも無理のないよう過ごしましょう。
10カ月頃
出産が近づくにつれて赤ちゃんは骨盤の方へ下がってくるので、上腹部は少しすっきり。胃の不調や動悸息切れは楽になってくるでしょう。そして乳腺は更に発達し、母乳の原料である血液が大量に流れ込むことでますます胸は張り、重みも増し、この頃には2カップほどサイズアップします。お産の兆候である、おしるしや前駆陣痛があっても慌てず行動を。様子を見つつ、心配な場合は産院へ相談しましょう。
■赤ちゃんの成長
8カ月頃
臓器や神経系の機能も細部まで発達してきます。また、胎内ではへその緒を通して呼吸している赤ちゃんも、誕生に向けて肺呼吸の練習を始めます。
9カ月頃
皮下脂肪がつき全体的にふっくらします。全身の産毛は消えていき、代わりに増える胎脂で身体を保護します。髪の毛や爪も伸びてきて、誕生にむけた準備が整ってきます。
10カ月頃
身長約50cm、体重約3100g。この頃になるといつ産まれても心配ありません。
おなかの中で背中を丸め頭は下にして、生まれる姿勢で誕生を待っています。
■この時期にやっておくこと
入院準備品や赤ちゃんグッズをいよいよ買い揃えます。
事前のリサーチ結果から出産準備リストをもとに、30週頃には揃えましょう。【三越伊勢丹こそだてコラム】で入院準備品についての詳しい解説をしています。
※連載記事を読む
30週には揃えましょう!プレママ入院準備【三越伊勢丹こそだてコラム#01】
赤ちゃんを迎えるスペースを準備しておきましょう。
直射日光やエアコンの風が当たらない安全な場所にねんねスペースを設置。ベッドを組み立てたりお布団をセットしたり衣類の水通しもお忘れなく。
お仕事をされている方の多くが、8カ月頃に産休に入ります。
里帰り出産の方は、34週頃までが帰省の目安です。
入院、出産に向け具体的なことを決めておきましょう。
いざ入院が決まった際の交通手段や出産時の報告連絡、入院中の生活についてもご夫婦で話し合っておきましょう。
■パパやご家族の方へ
いよいよ出産も近づき、準備も大詰めです。出産後の各種手続きもお忘れなく。出生届や児童手当等お金関連の申請は必要書類がたくさんあり、かつ産後から締切まで時間的な余裕はさほどありません。産後はパパが家庭内の渉外担当として活躍することになりますので、事前に確認を済ませておきましょう。お家では赤ちゃんを迎えるスペースづくりと共に、ママの入院準備品を最終チェック。バッグにまとめて「どのバッグに何が入っていて、いつ必要になるのか」を共有しておくと、急に入院が決まっても慌てることなく対応できます。
そして、ご夫婦の時間も大切に。ママは出産間近で不安も募っていることと思いますので、長い間赤ちゃんと心身を共にしてきたママをねぎらい、こまやかなコミュニケーションを心がけましょう。おなかの赤ちゃんにもたくさん話しかけてあげてくださいね。
さて、今回は妊娠中の身体の変化や過ごし方についてお伝えしてまいりました。こそだてコラムを作成するにあたり、改めて百貨店がプレママさんのお役に立てることとは何だろう・・・?と考えました。今ではオンラインストアや量販店、さまざまなチャネルで身の回りのものを揃えることができるようになりました。しかし、初めての妊娠・出産は未知の世界。赤ちゃんとの新しい生活に向けて、必要なものを揃えるにあたっても、人によって生活環境や優先したいポイントは違います。そんな時、商品の豊富な知識を持ち、たくさんのお客さまのお買い物をサポートしてきた経験からご提案をさせていただける三越伊勢丹カテゴリースペシャリストは、きっと出産を控える皆さまのお役に立てるかと思います。
余談ですが、以前あった出来事を今でもよく思い出します。おなかも大きく疲れやすいプレママさんが、わざわざ伊勢丹新宿店まで足を運んでくださり、ご主人さまやご家族と一緒に赤ちゃんのことを想い、あれこれと悩むご様子。お会計中も大切そうにおなかをなでるお姿。そしてお帰りの際にくださった「次は出産後に子どもと来ますね」というありがたいお言葉。それぞれのお買い物シーンにはいつも、お客さまがお子さまの誕生を想う気持ちがつまっていて、大切なお買い物をサポートする立場としていつも身の引き締まる思いでした。
喜ばしい新たなご家族のご誕生を、三越伊勢丹ベビー子供スタッフが全力でサポートいたします。
次回の【三越伊勢丹こそだてコラム】は、現役ママ社員が「私の産後の過ごし方~里帰り編~」についてお伝えします。
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