【日本橋三越本店】
生鮮バイヤー片桐がゆく|出会った、唸った、12月の旬食材

【日本橋三越本店】生鮮バイヤー片桐がゆく|出会った、唸った、12月の旬食材のメインビジュアル

クリスマスや忘年会など、何かと「食」が盛り上がる12月。日本橋三越本店の食品バイヤーたちも、いっそう力が入るシーズンといえます。そんななか今回お届けするのは【生鮮バイヤー片桐がゆく】第1弾。フードバイヤーとして、良い具合に脂がのってきた片桐 健治バイヤーが、普段どのようにバイイングを進めているのか?そしてそんな彼がおすすめする2024年12月の旬食材とは?食材とともに、旬を迎えたバイヤー片桐に話を聞きました。

ふらっと出かけて見つける食材もあります

―今回のおすすめの食材を伺う前に、せっかくの機会なので、ふだんどのように情報を収集し、生産者の方とのネットワークを広げているのか、聞かせてください。

私は食べることが好きで、仕事での出張もありますが、普段からSNSなどで興味がわいたところにふらっと行って、新たな情報を得ることもあります。例えば各地で活躍するレストランのシェフには、この土地にこの食材があるからここで店を開いた、という方もいらっしゃり、お店の方から生産者の方へ、生産者の方からおすすめのレストランへなどと、情報を教えていただくこともあります。地方のお店と生産者の方はつながっていることも多く、「あそこはおすすめですよ」とご紹介いただけることもあります。

―どのぐらいの頻度で、産地を回っているのでしょうか?

月に一度以上は気になる産地に行くようにしています。東京から近い地域でも気になるお店はあります。最近は産地にこだわっている店が多いと感じますので、都内の店にも伺わせていただきます。

―新しい食材と出会うための店選びにはセオリーが?

ご夫婦で切り盛りしているようなお店に行くことが多いです。オーナーの方の食材へのこだわりを伺うのも楽しいですね。作っている方の人柄に触れられると豊かな気持ちになります。

12月の推しは、羊肉のホゲット・ホタテ・百合根

―日本橋三越本店の食品フロアで配布しているカタログ「食のご案内 冬号」では、「ホワイトテーブルクリスマス」というテーマのなかで、食材を紹介しています。

  • ホワイトテーブルイメージイメージ画像

    「ホワイトテーブルクリスマス」イメージ

企画としてテーマはありましたが、“食材の旬”を第一に考えました。冬には冬のものを食べたいというお客さまは多いですし、味の濃いものや、華やかさが好まれる季節だと思います。また、年末だからこそ、三越で普段は食べていないものを楽しみたいというお客さまも、きっとたくさんいらっしゃるだろうと考えておりました。

羊肉の王様、サウスダウン種のホゲットを

―おすすめしていた食材の一つには羊肉があります。

今回ご紹介する羊肉は、北海道足寄町<石田めん羊牧場>さんのサウスダウン種です。羊肉は月齢によって呼び方が違い、12カ月未満のラムと24カ月以上のマトン、今回はその中間にあたる12カ月以上24カ月未満のホゲットをご紹介しました。

  • 石田めん羊牧場と空の画像

    石田めん羊牧場の広い放牧地
  • 石田めん羊牧場の小屋の画像

    石田めん羊牧場の小屋

―そのホゲットは、どんなお肉なのでしょうか?

<石田めん羊牧場>のサウスダウン種のホゲットは濃厚な旨みと華やかな薫りが格別です。サウスダウン種は羊肉の王様と言われておりますが、育てる生産者の方は少ないのでお客さまに驚きや新鮮な体験を楽しんでいただけたら嬉しいです。

  • サウスダウン種ホゲットロースの画像

    国産の羊肉生産をリードする北海道足寄町の<石田めん羊牧場>より。肉の繊維がきめ細かく、旨みや香り、風味も抜群な「サウスダウン種」のロース肉をご用意。

    <二幸ミート>
    石田めん羊牧場 サウスダウン種 ホゲット ロース肉
    100gあたり 4,320円 [3kg限り]

    [販売場所]日本橋三越本店 本館地下1階 生鮮
    [販売期間]2024年12月18日(水)~12月25日(水)
    ※骨を外した状態での販売となります。
    ※ご予約や、その他部位のオーダーを承ります。詳しくはショップまでお問い合わせください。
    ※なくなり次第終了となります。

泳ぐホタテ、その元気はおいしさの証

―続いて白い海の幸としてホタテが登場しました。

岩手県釜石市の<ヤマキイチ商店>さんの「泳ぐホタテ」ですね。<ヤマキイチ商店>さんとは10年以上の長いお付き合いになります。<ヤマキイチ商店>さんは、おいしいホタテを全国のお客さまにお届けするために、ものすごく手間をかけて、品質の管理を徹底しています。大きな生け簀を持っていらっしゃり、海から水揚げされたホタテのコンディションをその中で回復させているんです。

  • ホタテを持つバイヤー片桐と生け簀で休むホタテの画像

    左:ホタテと片桐バイヤー、右:生け簀で休むホタテ

―ホタテが生け簀で元気を取り戻す?

はい、生け簀で十分に休ませると、鮮度の良い状態で出荷できるんですね。ホタテが泳ぐほど元気を持ったまま家に届くというのが「泳ぐホタテ」という商品名の所以です。ホタテというと北海道のイメージが強いと思いますが、<ヤマキイチ商店>さんのホタテは要注目です。鮮度と旨みが抜群。素材本来の味わいを楽しむには、お醤油もいいですが、お塩とわさびでシンプルに食べるのもいいですね。貝柱の食感がたまりません。

  • 泳ぐホタテの画像

    三陸のホタテの中でも大きく品質の高いホタテを、泳ぐほど新鮮な状態でお届け。刺し身はもちろんソテーもおすすめ。

    <ヤマキイチ商店>泳ぐホタテ 150g 3,480円

    [販売場所]日本橋三越本店 本館地下1階 生鮮
    [販売期間]2024年12月11日(水)~12月25日(水)

旨み豊かなブランド百合根「月光種」

―野菜からは百合根をおすすめしていました。

<伊達農園>さんが育てる「月光」という品種の魅力をお伝えしたいですね。夏に試食させていただく機会があったのですが、ほくほくとした旨みが強く、おいしくいただきました。月光は肉厚で一般的な百合根にくらべて旨みが強いとのことでしたが、本当にその通りでした。レストランからのお問い合わせも多いようです。

―ホワイトテーブルクリスマスでは、ポタージュをつくっていましたね

手軽に作れる一品で、食卓を素敵に演出できる食材という印象を持っています。素材がおいしいと簡単に調理するだけでおいしく食べられます。誰もがささっと料理できて、季節感もある。お客さまにもおいしく調理していただけると嬉しいです。

  • 百合根(月光種)の画像

    北海道占冠(しむかっぷ)村の<伊達農園>が手掛ける「月光種」というブランド百合根。収穫後約2カ月間専用の冷蔵庫で寝かせることで、百合根をより甘みを引き出して出荷。

    <室町万弥>
    北海道占冠村産 伊達農園 百合根(月光種) 1個 580円

    [販売場所]日本橋三越本店 本館地下1階 生鮮
    [販売期間]2024年12月11日(水)~2025年1月31日(金)

―最後にひと言、お願いいたします。

生鮮食品のコーナーには、今回ご紹介できなかった食材が、ほかにもたくさんございます。季節によって店頭に並ぶ食材の変化をみるのも、面白いですよ。ぜひご注目いただき、日本橋三越本店の食材を活かした料理や食事を楽しんでいただけたら幸いです。

片桐バイヤーのプロフィール画像
片桐 健治
日本橋三越本店 生鮮バイヤー
入社以来食品を担当。2017年から2022年まで中国店舗へ出向。海外で過ごす中で、強く感じたニッポンの素晴らしい食文化をつなぎ、少しでも進化に貢献できるよう取り組んでいます。

ご紹介した食材の調理例

  • ホゲットと白インゲン豆の蒸し焼きの画像

    ホゲットと白インゲン豆の蒸し焼き

    ホゲットの骨付きロースと白インゲンを、ローズマリーとタイムといっしょに蒸し焼きに。
  • ホタテとインゲン豆のソテーの画像

    ホタテとインゲン豆のソテー

    ホタテとインゲン豆をソテーし、ホワイトソースで仕上げました。
  • 百合根のポタージュの画像

    百合根のポタージュ

    蒸し焼きにした百合根をブイヨンとミキサーにかけ、牛乳と煮込みました。