「RE-INNOVATION Vol.3」
約60年前の設計図から復刻が実現したオールドマルニのマガジンラック

家具好きたちが熱い視線を送る<nonnative/ノンネイティブ>のデザイナー藤井 隆行さんと<maruni/マルニ木工>のコラボレーション企画。2022年、2023年は「リノベーション家具」がテーマでしたが、第3弾で取り組んだのは1963年に発売された、オールドマルニのマガジンラックを当時の設計図をなぞって忠実に蘇らせること。<マルニ木工>に「復刻」への想いを伝え続けたという藤井さんに、今回の新たな試みについてお話を伺いました。

<マルニ木工>RE-INNOVATION Vol.3
店頭販売期間:2024年10月16日(水)~10月22日(火)
会場:伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ・ステージ#5
オンラインストア販売期間:2024年10月18日(金)午前10時~10月31日(木)午後11時59分
※2024年10月16日(水)午前10時より商品を公開いたします。こちら
※諸般の事情により予告なく変更・中止させて頂く場合がございます。予めご了承ください。必ず事前にホームページを確認してからご来店ください。
オールドマルニとは
1928年から木工家具を製造している<マルニ木工>が、1950年代初頭から1970年代半ばまで製造していたプロダクトを指して呼ばれている愛称。象徴となっている当時のロゴの孔雀マークは新聞紙上で全国応募によるデザインだったそうで、新時代にはばたくという意味が込められています。最近では修理工場でもなかなかお目にかかることができない、貴重なロゴマークです。
オールドマルニを象徴する孔雀ロゴを今回は焼印で。「544」は今回採用した設計図の品番でプロダクトには、藤井さんがデザインしたものが刻印される。
—「RE-INNOVATION」というテーマは同じでも第3弾はアプローチが異なりますね。
藤井:オールドマルニのマガジンラックは「RE-INNOVATION」の第1弾、第2弾でもリノベーション家具として販売しましたが反響はとても大きかったです。それだけ欲しがってくれている人が多いことがわかっていたので、どうしても復刻させたいという思いはありました。
—オールドマルニのマガジンラックは藤井さんもご自宅で愛用されているそうですが思い入れはやはり強いですか?
藤井:僕が<マルニ木工>について興味を持つようになったきっかけが、マガジンラックとの出会いでした。ネットオークションで見つけて、デザインに惹かれて即落札しましたが、その時はそれが<マルニ木工>の家具だとは知らなかったです。孔雀のマークも「これはなんだろう?」という感じでした。後から、1950年代から70年代に製作された家具であることを知って、その当時の時代背景の影響を受けているデザインをより味わい深く感じるようになりました。
—今回のマガジンラックの製作でこだわったポイントはどこでしょうか。
藤井:リノベーション家具はチューンナップのためのベースとなる、壊れた椅子や傷んだソファなどがないことには製品化はできないので、多くの数は作れません。結果、どうしても高額になりますし、ヴィンテージ家具が好きな人たちだけが購入しているような状況でした。ですが今回は量産するということで、最もこだわったのが手に取りやすい価格です。オリジナルは塗装で木目が隠されていますが、ナチュラルな美しさも楽しんでもらいたかったので木材も木目が強いものを選びました。
—藤井さんにとって木目というのは家具の重要な意匠のひとつでしょうか。
藤井:心地良さをもたらしてくれる意匠のひとつではありますね。木目を強く出したかったのは、家具は木調の床に置くことが多いと思うので、そこでのフィット感も考えてのことです。カラーもナチュラル、ライトブラウン、ダークブラウン、グレー(伊勢丹新宿店、オンラインストア限定カラー)の4色を作りました。
—カラーはどうやって決めたのでしょうか。
藤井:ナチュラルやブラウンというのは住空間にマッチする定番カラーですし、最近はグレータイルのような床も目にすることが多くなってきたので、それらを考慮して選定しました。<マルニ木工>としてはマガジンラックという製品名ですが、用途は人それぞれだと思っています。実際に僕はスリッパ置きにしています。使い方によってはあちこちの部屋に移動させることもあるでしょうし、床の雰囲気が変わってもこの4色ならフィットするだろうなと。
—使い方は購入されたお客さまが自由に楽しんでほしいということですね。
藤井:雑誌はもちろんですが、赤ちゃんのおもちゃやノートPCを置くのにちょうどいいサイズ感なので、マガジンラックと呼んではいけないと思っています(笑)。
—今回の製作で苦労されたことなどはありますか?
藤井:乗り越えないといけないポイントはいくつかありましたが、オリジナルに忠実でありたいと考えていたので、マガジンラックの設計図が当時のまま残っていたのは今回の取り組みの大きな後押しになりました。<マルニ木工>の広島にある本社工場を訪れたことがありますが、家具の生産現場が整理整頓されていることがすごく印象に残っています。設計図の保存状態の美しさは、<マルニ木工>らしい几帳面さだなと思います。
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気になる家具を目にすると構造などが気になるという藤井さん。当時のまま残っていた手書きの設計図を眺めるのは楽しかったそう。
—リノベーション家具は藤井さん監修のデザインアレンジもありましたが、今回はオリジナルに忠実であろうとした理由はなんでしょうか。
藤井:約60年前にこれだけ使い勝手が良くて、和と洋が融合したような洗練されたデザインの家具を日本のメーカーが手がけていたことを知ってほしいからです。このマガジンラックに関しては、僕のところにも「あの家具は何に使うもの?」という問い合わせがありました。<マルニ木工>のことは知っていても、オールドマルニは知らないという人はすごく多かったです。家具ブランドはアーカイブほど知られていて、現行のデザインはよく知らないというパターンもありますが、<マルニ木工>は逆なんですよね。
—伊勢丹新宿店でも<マルニ木工>の現行コレクションである「HIROSHIMA」シリーズを知っているお客さまは多いです。
藤井:100年近く続いている<マルニ木工>ですから、マガジンラック以外にも復刻に値するプロダクトはまだまだ眠っているはずです。製品化されたもののほとんどは設計図が残っているそうなので、過去のヒット作をもっと発掘したいという思いはあります。これから発表される<マルニ木工>の製品は、技法でも材質でもどんどん進化していくと思いますが、伊勢丹新宿店での「RE-INNOVATION」ではあえて過去に遡りたい。
—「RE-INNOVATION Vol.3」に藤井さんが込めた想いをお聞かせください。
藤井:僕も一人の家具好きとして、素晴らしいプロダクトの価値をより多くの人と共有したいという思いは持っています。今回は数もカラーバリエーションも揃えることができたので、オールドマルニの素晴らしさがさらに広まっていくのではと期待しています。第1弾、第2弾があったからこそ、辿り着けた取り組みだと思っています。
RE-INNOVATION Vol.3の商品
オンラインストア販売期間:2024年10月18日(金)午前10時~10月31日(木)午後11時59分
※2024年10月16日(水)午前10時より商品を公開いたします。
「つくるマルニ」と「なおすマルニ」
□伊勢丹新宿店 本館5階 リビングルーム/マルニ木工
100年後も使い続けられ定番として愛される家具を目指して、モノづくりに励んでいる<マルニ木工>。「つくるマルニ」と同様に大切にしているのが「なおすマルニ」であることです。修理が必要な家具を伊勢丹新宿店 本館5階の<マルニ木工>にお写真などをお持ちいただければ、塗装・張替え・補修などのリフォームを承ります。
※詳しくは、店頭係員におたずねください。