「岩合光昭 世界ネコ歩き2」ネコに癒されながらおうちで味わう旅行気分

「岩合光昭 世界ネコ歩き2」ネコに癒されながらおうちで味わう旅行気分

2022年2月16日(水)より2月28日(月)まで、日本橋三越本店 本館7階  催物会場において、岩合光昭写真展「こねこ」を開催いたします。それに合わせ、2020年に岩合光昭氏にお話を伺った特集記事をご紹介いたします。人気番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」の貴重な撮影秘話など、岩合氏のインタビュー記事です。

 

動物写真家・岩合光昭氏が世界各国で撮影した、ネコの愛らしい表情がみられる人気番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」(NHK)。自由気ままなネコの魅力はもちろん、アメリカ、アジア、南米、ヨーロッパなどその土地ならではの空気感にもあふれていて、まるで世界旅行に出かけたような気分を味わえます。三越伊勢丹オンラインストアでは、2020年12月23日(水)~2021年1月27日(水)まで写真集「世界ネコ歩き2」に収録された人気写真のサイン入りプリントや各種グッズなどを販売します。作品に登場するネコとの出会いや撮影の裏側についてお話を伺いました。


※「岩合光昭 世界ネコ歩き2」の販売は終了いたしました。

ハプニングをも乗り越えるネコ愛

ハプニングをも乗り越えるネコ愛

「世界ネコ歩き」の撮影は事前の準備も入念に行います。まずは現地のコーディネーターがネコをさがします。その情報を受けた番組ディレクターが現地入りし、ネコの様子を岩合氏に報告、相談します。その上で岩合氏を含む撮影スタッフも現地入りし、ついに撮影開始です。

「念入りに準備をしても、撮影が難航することは多々あります。撮影する予定だったネコに運悪く会えない時は、スタッフみんなで別のネコを探すことも。そんな時偶然出会えたネコが、とてもいい画を撮らせてくれたりするんです」

 ネコが主役ですから、ハプニングはつきもの。これまでたくさんのネコと出会ってきた岩合氏が性別や年齢による性格の違いを教えてくださいました。
「僕が特に好きなのは、顔に歴戦の痕があるようなオスのネコ。あまりヒトに声を掛けられたことがないからか、話しかけるとこちらに興味を持ってくれることが多いです。難しいけれど、魅力的なのは6歳くらいの大人のメス。こうしてほしいなというこちらの要望はまず通らない。自分をしっかりと持っているんですよね」

気ままな街の人気者 ホワイトスライス

ホワイトスライスが、いつどこからやってくるのか誰も知りません。

 アメリカ・ブルックリン。番組ディレクターが現地のネコ情報をSNSで探している時に見つけたのが、ピザ屋の看板の上にまたがる「ホワイトスライス」の写真。人の手によって乗せられたのではないかと疑ってしまうほどインパクトのある姿に衝撃を受けた岩合氏は、早速撮影を試みます。

「店主は『毎日現れるよ』と言っていたけれど、待てど暮らせど姿を見せてくれない。スタッフ交代でピザを食べつつ、今か今かと待っていました」

 ピザでおなかが膨れてもホワイトスライスはやってきません。待つこと6時間......暗くなり、もうホワイトスライスの撮影は諦めようと機材を片付け始めました。

「そうしたら急にスタッフが『来た!』と大声をあげたんです。見ると、遠くから白いネコが歩いてきました。ピザ屋の前までくると看板の上に飛び乗ったり、お店の中に入ってお客さんの膝に乗ったり。自由気ままな姿で人気者の彼女に、僕たちもすっかり魅了されました。無事カメラにおさめることができて、ひと安心でしたね」

 このピザ屋は残念ながら現在は閉店してしまったとのことですが、ホワイトスライスはきっと今もブルックリンのどこかでみんなに愛されているに違いありません。

紅茶をたしなむネコ ミスィ

ミスィは6才のメス。紅茶畑に家があります。

 スリランカの名産セイロンティーの畑で働くご主人と一緒に、毎朝畑の散歩をするのは「ミスィ」。散歩のあとは事務所に戻ってティータイムとなるのですが、ミスィもミルクティを味わいます。

「ミスィ用のミルクティがテーブルの下に用意されているのですが、ご主人のソーサーに注がれたものが好きみたいなんです。見ていて、僕にもちょうだいと言いたくなるほど、本当においしそうに飲んでいましたよ」

 ティータイムを終え事務所を離れた岩合氏らは、同じ紅茶畑の中にあるご主人の自宅に向かいました。玄関にはお皿がおいてあり、中にはおいしそうなカレーが入っていたそうです。

「イヌが食べるんですかと聞いてみたんです。するとご主人は、『いやミスィが食べるんですよ』と一言。たくさんのネコと出会ってきましたが、カレーを食べるネコは初めて見ました」

ネコが教えてくれる世界の美しさ

ネコが教えてくれる世界の美しさ

 これまで世界各国を訪れてきた岩合氏。旅の目的はあくまでネコなので、ネコがいないと名所旧跡に足を運ぶことはありません。しかし、どの作品にも異国情緒があふれています。

「作品に映りこむ地面やテーブルの色、壁の模様は実に個性豊か。国ごとで全く異なります。『世界ネコ歩き』では、その場所の空気感を撮影することを大切にしています。また、ネコたちも土地によってヒトで言う気質のようなものが変わる気がします。風景からもネコからも海外旅行気分を味わっていただけると思います」

 ネコを上手に撮影するコツも教えていただきました。

「可愛いな、いいなと心から思って撮影することが可愛く写すコツです。写真には撮影者の思いが入るので」

 いろいろな種類の動物を撮影してきた岩合氏は、なぜネコの魅力に深く惹かれるのでしょうか。

「ネコの自由さでしょうね。下にいると思っていたら、塀の上から見下ろされていたり。何にもとらわれずに行動するネコは自由そのもの。その姿が私たちを楽しませ、時に驚かせてくれます。作品を通じて、僕が感じたネコの魅力や世界の美しさをぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです」

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