カタル×てしごと -暮らしの民藝-

カタル×てしごと -暮らしの民藝-

つくり手の想いやものづくりの背景を知って、共感して選び、暮らしに取り入れる楽しさをご提案する「カタル×てしごと」。今回は、“日常のなかに宿る美しさ”を体現する「民藝」をクローズアップします。日本、そして世界各国で育まれた民藝品の取り入れ方、そして民藝とともに豊かに過ごすアイデアもご紹介します。

カタル×てしごと -暮らしの民藝-

□2023年9月20日(水)~10月3日(火)
◻︎伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ・ステージ#5

※会期中一部出展ブランドの入れ替えがございます。

-開催に寄せて-

民藝とは、暮らしのなかから育まれるもの

民藝とは、柳宗悦らによる造語であり、大正末期に新たな生活文化運動として始まりました。対象となるのは、無名の職人の手仕事による庶民の日用品のなかで、特に無事の美、自然の美、健康の美に優れたものです。

「民藝」は日本で生まれましたが、世界中に「Mingei」はあります。
今回のイベントをきっかけに、さまざまな暮らしのなかで育まれた民藝の品々に触れたり、ヒストリーやストーリーをめぐる“知の旅”に出発するのも面白いでしょう。

萩原健太郎

萩原健太郎さんの著書はこちら

SAFARI GALLERY
村山佳人さんにきく、民藝の魅力

◻︎9月20日(水)~10月3日(火)
◻︎伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ・ステージ#5

多くの古着ファンを虜にする高円寺のSAFARIが、2022年に立ち上げた
「SAFARI GALLERY」。近現代の巨匠作家の陶芸、工芸作品を中心に、
民藝とアートが一堂に並ぶギャラリーです。
今回は、沖縄の陶芸と北海道の木彫りをテーマにラインナップします。

①③松田共司 1尺5寸 大皿 各297,000円 (直径48cm)
②砂澤ビッキ オブジェ 660,000円 (高さ58cm)
④砂澤ビッキ 樹丹頂鶴 660,000円 (高さ36cm)
◻︎伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ・ステージ#5
※店頭のみのお取り扱いとなります。

SAFARI GALLERY 村山佳人さん

SAFARI GALLERY 村山佳人さん

専門学校を卒業後、流通系のサラリーマンを経て2001年高円寺にSAFARIをオープン。現在8店舗を運営。

Q1:日本の民藝に興味を持ったきっかけはなんですか?

SAFARI GALLERYをはじめようと考えたとき、当店の古くからの常連さんで当時ビームスフェニカのディレクターを務めていらしたテリー・エリスさんと北村恵子さんにアドバイスをお願いしました。ご自宅に招かれ、民藝という世界観で彩られた品々に不思議な調和を感じ、興味を引かれたのがきっかけです。そして、自分がデニムを見るときと同じ美的感覚が民藝にもあることに気がつき、そこから好きになりました。

SAFARI GALLERY 村山佳人さん

Q2:暮らしのなかでどのような取り入れ方をしていますか?

私の場合、ソファや椅子に座り、そこから見える位置にまずは置いてみます。リラックスできるところに身を置き、その視界に好きなものが映るシチュエーションは、なんとなく気持ちを前向きにしてくれる気がするからです。英国の哲学者バートランド・ラッセルの「幸福な生活とは、その大部分が静かな生活であることにかかっている」を私なりに体現しています。

Q3:今回の出品アイテムからおすすめの品をご紹介ください

砂澤ビッキ 木鈴ネックレス

北海道の木彫りアートでは抜群の個性と人気を誇る砂澤ビッキさんの木鈴ネックレス。独自の顔料によってブロンズのように見えるのが特徴的です。今回の品揃えは、都内屈指だろうと思います。

砂澤ビッキ 木鈴ネックレス

砂澤ビッキ 木鈴ネックレス 88,000円 〜 198,000円
◻︎伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ・ステージ#5
※店頭のみのお取り扱いとなります。

ソロソロ窯 陶板

「沖縄の陶芸と北海道の木彫り」をテーマにした今回、松田共司さんの右腕として12年間沖縄で過ごし、今は北海道で作陶する臼田季布さんにぜひ本展のための特別な品物をと製作を依頼しました。

ソロソロ窯 陶板

ソロソロ窯 陶板 44,000円 (28.5×38cm)
◻︎伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ・ステージ#5
※店頭のみのお取り扱いとなります。

Q4:「民藝」について、村山さんが思う魅力とはなんでしょうか?

今回SAFARI GALLERYは沖縄の陶器をメインに出品しております。民藝の陶器を語る上で重要な地域であると言われている沖縄。その中でも読谷山焼北窯の気候や雰囲気、陶器作りに関わる全ては、そこで暮らす人々にとっての根源的な健やかさに繋がっているのだと思います。ヒト、コト、モノ、それぞれのバランスがとれている事こそ、私が思う民藝の魅力です。是非その北窯の風を、作品を通じて感じていただきたいと思っております。

1992年以降31年間、年4回の頻度で窯を焚き続けている登り窯

<北窯>松田 共司氏 在廊のご案内

会期中、下記日程で松田共司氏の在廊を予定しております。
◻︎9月20日(水) 午後1時〜午後5時30分
◻︎9月21日(木) 午後1時〜午後4時
※日程は予告なく変更または中止となる場合がございます。予めご了承ください。 「<北窯> 松田共司氏 在廊」予定

<北窯>松田 共司氏

tay
坂野高広さんにきく、民藝の魅力

◻︎9月27日(水)~10月3日(火)
◻︎伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ・ステージ#5

ベトナム語で“手”を意味する「tay」は、
「手から手へ、手を取り合って受け継がれる」をコンセプトに
2022年にオープンしたビンテージショップ。東南アジアを中心とした
さまざまな国、地域の民藝品や古道具などをご紹介します。

①ビエンホア 花瓶 33,000円から
②ソンべ焼 3,080円から 商品を見る
③山岳民族シルバーバングル 15,400円から
④ザオ族 ベルト 各6,380円
⑤山岳民族ビーズネックレス 各8,580円
◻︎伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ・ステージ#5
※①③④⑤は店頭のみのお取り扱いとなります。

tay 坂野高広さん

tay 坂野高広さん

ベトナムやタイなどのアイテムを中心としたセレクトショップ「333」をオープンした後、東南アジアの民藝や古道具などを中心に扱うビンテージショップ「tay」を初台にオープン。また、空間デザイナーとしても多数のクライアントワークを手がける。

Q1:東南アジアの民藝を好きになったきっかけはなんですか?

学生の頃から欧米のストリートから生まれるカルチャーが好きで、大学生から就職後の数年間をニューヨークで過ごし、アメリカのストリートカルチャーに触れながら、それらをつくる仕事に携わってきました。その頃、東南アジアはバケーションで行くリゾート地的な認識でいたのですが、休暇ではじめてベトナムを訪れた際、ストリートや生活から生まれる美しいてしごと、生活を支えてきた民藝と出会いました。今まで東南アジアに対して持っていたイメージを超えたものを体感し、その素朴な魅力や美しさを日本に伝えたいと思ったのがきっかけです。レコードを収集するのが趣味なのですが、レコードを掘るようにベトナムでビンテージの器を掘る作業に夢中でした。

Q2:暮らしのなかでどのような取り入れ方をしていますか?

ソンべ焼やバッチャン焼は、日本食や日本の器ととても相性がよいので、日常の食卓で使っています。カレン族やアカ族といった山岳民族によるジュエリーやブランケットは、アメリカやヨーロッパの文化から生まれるデザインとはまた違う魅力があり、今のライフスタイルに溶け込みながら新しいモダンな感覚を与えてくれるアイテム。ジュエリーはカジュアル・モード問わずスタイリングしていただけますし、ブランケットなどはお部屋のインテリアとして、民藝ならではのデザイン性や素材感を楽しんでいただけると思います。

写真の花器は、自宅にあるべトナム・ビンテージ花器「ビエンホア」。日本の作家さんの作品と一緒に、特にレイアウトせず気ままに置いているのですが、ベトナムの民藝と日本の作家さんの作品がすっと重なりあって並んでいる光景は、自分にとってちょっと贅沢な空間です。

Q3:今回の出品アイテムからおすすめの品をご紹介ください

オールドバッチャン

ベトナム北部を代表するバッチャン焼のなかでも、30〜40年前につくられていたものです。現在つくられているバッチャン焼にはない絵付やデザインが魅力で、ベトナム北部ならではの素朴さを感じる器です。サイズや形、色的にも和洋問わず使いやすいので、ぜひ普段の生活に取り入れていただきたいです。

オールドバッチャン

オールドバッチャン焼 商品を見る
小皿 1,980円から
中皿 3,300円から
大皿 6,600円から

シルバージュエリー

シルバージュエリーは、ベトナムやタイなどの山岳に暮らす、カレン族やアカ族といった山岳民族の方がつくっているものをご紹介します。元々は結婚式やお祭りなど式典の際に身につけたり、財力をあらわすものとしてつくり、使われていました。彼らの生活様式や文化を表すオリジナリティあるデザインや紋様が施され、現代のスタイリングにモダンなエッセンスとして取り入れていただけるアイテムです。

砂澤ビッキ 木鈴ネックレス

ピアス 6,160円から
リング 6,600円から
シルバーケース 13,200円から
◻︎伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ・ステージ#5
※店頭のみのお取り扱いとなります。

ブランケット

ナガランドに住むナガ族が手織りでつくるものや、カレン族が鞄をつくるために織る輪っか状になったブランケット、結婚式の際に使用されるブランケットなど、民族それぞれの生活の中で使われてきたファブリックです。彼らの生活様式や文化を表す刺繍や柄、色使いが魅力です。

ブランケット

①ナガ族 ファブリック 各21,780円
②カレン族 ファブリック 各22,000円
③ターイ族 ファブリック 各26,400円
◻︎伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ・ステージ#5
※店頭のみのお取り扱いとなります。

Q4:「民藝」について、坂野さんが思う魅力とはなんでしょうか?

民藝とは、人々の生活や人生に寄り添い、受け継がれてきたものです。それらが一つひとつ人の手から生まれ、地域や国の文化、生活様式をつくってきたと感じると、とても心に響きます。また交易が盛んになることで異なる地域間で物々交換が行われ、自国にはなかった文化や技術、材料など異なるエッセンスを取り入れながら発展してきた側面もあります。例えば、ヨーロッパでつくられたガラスビーズがタイに渡り、そのビーズを使って装身具がつくられていたように、交易の発展によって新しい民藝や文化が生まれることも魅力的だと感じます。
また、自分自身何より胸の高鳴りを感じるのが、民藝のつくりてに会うこと、その民藝が生まれる瞬間に立ち会うこと。その感動や熱量をそのまま持ち帰り、店のスタッフやお客さまにシェアすることが何より大切だと感じています。そして、これからもそれを続けていきたいと思っています。

左:タイ北部で見たモン族のプリーツスカート
右:カレン族の方が織物に使う腰機(こしばた)を整えている風景

会場では、イベントのタイトルにもなっている
萩原健太郎さんの著書『暮らしの民藝』も販売いたします。

民藝のうつわを愛する人たちのお気に入りといつもの食卓を紹介します。うつわ店店主、料理研究家、陶芸家、木工作家など目利きのうつわ選びと、合わせ方のコツがわかります。

萩原健太郎
『暮らしの民藝2 うつわと食卓』(エクスナレッジ) 1,848円

※価格はすべて税込です。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。