フランス展バイヤー紀行|フランスの国民的絵本『レ・トリプレ/みつごちゃん』の作者ニコル・ランベールさんにインタビュー!

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2023年の三越フランス展に初登場し話題を呼んだ、フランスの国民的絵本『レ・トリプレ』作者のニコル・ランベール氏、世界中で書籍化され、日本では『みつごちゃん』というタイトルで書籍やアニメを通じて愛されてきた本作。フランスはパリの15区、エッフェル塔の近くに住んでいる、いたずら好きでおませでやんちゃなみつごちゃんたちが巻き起こす日々のエピソードが、愛情いっぱいの視点で描かれています。作中のおしゃれなファッションやパリらしい風景や暮らしぶりに、今も多くのファンを持つ『レ・トリプレ/みつごちゃん』。その魅力に迫ります。

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    アトリエの中庭

―『レ・トリプレ/みつごちゃん』が誕生したきかっけを、教えてください

ニコルさん(以下敬称略):私は読者が自分の家族の出来事のように感じるられる、“おばあさん・おかあさん・その子ども達”の3世代の日常のお話を作ってみたいとずっと思ってました。それが『みつごちゃん』という形になったと言う事ですね。

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    初版本(初期の作品)
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    カラフルな背表紙が可愛い歴代の絵本

―特にお気に入りのエピソードは何でしょうか?

ニコル:今までに多くの作品を描いて来ましたので、それはとてもお答えするのが難しい質問ですね!
でも今考えてみると『みつごちゃん』の中の1人の男の子と植物のお話かもしれません。

この子はある花がとても気になっています。まるで自分に向かって舌を出してからかっているように見えるからです。ですから最後には彼が花に向かって負けじと舌を出し返しました。

どうしてこれがお気に入り?と思われますよね?これは私の心にぼんやり浮かんだ面白い事を、初めて作品に表すことができたからなんです。当時これによく似た植物が私のアトリエにあって、それを見ては“風変わりな植物”だと、私自身が思っていました。

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    ニコルさんのお気に入り

―歴代の絵本を見ると、時代ごとのファッションやライフスタイルがとても魅力的に見えます。流行やファッションについては、どのように意識されていますか?

ニコル:そうなんです!『みつごちゃん』のママンはとてもおしゃれなんですよ。私はその時々で自分が買って着たい!と思う洋服をママンに着せているんです。ですから時代の流れに応じて、自然に彼女のファッションも変化します。

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ファッションブランドとコラボレーションしたスカーフ

―創作活動を続ける上でインスピレーションの源は?

ニコル:私は子どもが大好きです!インスピレーションは子ども達からと言えますね。機会がある度に子どもと一緒に過ごしています。そして私自身にも4歳と6歳、2人の孫がいるのでインスピレーションの源は身近にあります。

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    かわいいみつごちゃんのバッジ
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    みつごちゃんのおうちに登場する螺旋階段に注目!

―2023年末から1年間は「みつごちゃん40周年」の記念の年と伺いました。おめでとうございます!これまでのお仕事で一番うれしかった出来事は何でしょうか?

ニコル:それは『みつごちゃん』を描き始めてすぐの頃、2人の小さな子ども達から1通の手紙を受け取った事です。クレマンティーヌちゃんとジェローム君からでした。とてもうれしかったです。私はその事を決して忘れた事はありません。

―40周年の今年は、どのように過ごされていますか?

ニコル:2024年1月からフランスのテレビ局France5でアニメの新シリーズの放送が開始しました。また数多くのテレビやラジオ番組で40周年の特集が組まれ、ゲストとして招かれています。もちろん雑誌にも多数掲載されたりしたので、忙しく過ごしているんですよ。それと同時に昨年末から今年にかけて新刊2冊が発売になりました。そういうわけで、パリや地方の本の催事への依頼もあり、精力的に駆け回っています。

  • サンロー市の大サイズ野外展覧会でのニコル・ランベールさんの画像

    サンロー市の野外展覧会
  • フランス展 2024で紹介する、新作デジグラフィの画像

  • フランス展 2024で紹介する、新作デジグラフィの画像

    フランス展 2024では、新作デジグラフィもご紹介いたします。

―2023年のフランス展では多くの日本のお客さまに迎えられたニコルさん。ファンの皆さまにメッセージをお願いします!

ニコル:私は心の奥でしっかり結びついている国、日本を訪れることはとても嬉しい出来事でした!

私の祖父は美術書の装丁の仕事をしていました。その祖父が日本の『北斎漫画』をお手本にして、私に絵を描く事を教えてくれたのです。それがきっかけで私は日本の版画、俳句、そして文学が大好きになりました。
昨年、日本を再訪したのは20年ぶりくらいでしょうか。それなのに「みつごちゃん」を忘れないで私に会いに来てくださった皆さま!それも昔と変わらないどころかそれ以上の愛を「みつごちゃん」に寄せていただきました。当時放送されていたNHKのアニメがどんなに楽しみだったか、絵本がどんなに好きだったか、それを時には涙を見せながら話してくださるお客さまは、今は子育て世代になられた当時のお子さまやそのお母さまたち。当時のグッズコレクションをお持ちいただいた方もいらっしゃいました。私がどれほど感動したかはご想像いただけるでしょう。それから初めてご覧になり、その場でファンになってくださった方も多数いらっしゃいました。また再び皆さまとお会いできる日を楽しみにしています。

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    インタビューに答えるニコルさん

ニコルさん、素敵なお話をありがとうございました。

今回「フランス展 2024」のために『レ・トリプレ/みつごちゃん』の日本オリジナルサイズのデジグラフィー(版画)や、美しいイラストを楽しめるフランス版書籍新作「子どもたちの名言」などのオリジナルグッズを新たにご用意いたします。
※ニコル・ランベール氏の来場はございません。

ニコル・ランベールさんのプロフィール画像
ニコル ランベール
イラストレーター・作家
パリ生まれ。雑誌「ELLE」などでモデルとして活躍後、1980年代に「マダムフィガロ」誌で『みつごちゃん』を連載。
当時のフランスでは知らない人はいないと言われる程大人気となり、お菓子のパッケージ・文具・おもちゃ・食器などから有名ファッションブランドのスカーフまで、さまざまな関連商品が販売され国民的キャラクターとなる。
日本でも約30年前から日本語版が10冊程出版される。フランスではシリーズは27巻まで発行され、かつてNHKでも放映されたテレビアニメは第3シリーズを製作中。2023年5月27日~9月17日までノルマンディー地方サンロー市で大サイズ作品の野外展覧会開催。「ステッチイデー」(日本ヴォーグ社)に刺繍図案を連載中(2024年9月現在)。