【アクセサリー連載VOL.9】宝飾以上に情熱を注がれた宝飾のように輝く
ライトジュエリー|<アヤミ ジュエリー>の哲学

ジュエリー作りにおいて大切にしていること、譲れないこと、貫いていること。すべてのデザイナーたちは胸の内に「美の哲学」を秘めていて、だからこそ生まれる唯一無二の輝き、可愛さ、華やかさがあります。今回は<アヤミ ジュエリー>のデザイナーAYAMIさんの「美の哲学」。「手の届く宝飾品」というブランド方針には、社会問題や環境問題を常に考えているAYAMIさんの強い意志が込められていました。
美の裏側にある現実に直面したダイヤモンドミュージアム
「19歳の時に体験したパリでの出来事が今でも自分の人生に色濃く反映されています」と話す<アヤミ ジュエリー>のデザイナー、AYAMIさん。当時はパリコレクションや国際見本市の会場でブランドや関連企業をサポートする仕事に携わっていたといいます。「ファッションは幼い頃から興味があり、ファッションに携わる仕事をすることが自分にとっては憧れでした」と夢を叶えたAYAMIさんでしたが、多くの観客を魅了するたった数分のショーのために各分野のプロフェッショナルが鬼気迫るように取り組む姿を目にして「華やかな世界の舞台裏にある厳しさについて学ぶことができました」と当時を振り返ります。

留学先のパリや留学中に旅したヨーロッパのカルチャーに触れたことがブランドの立ち上げに大きく関係しているそうで、ジュエリーデザイナーを自身の仕事にするすべてのきっかけはベルギーにあったといいます。「多くのファッションデザイナーを輩出している王立芸術アカデミーを訪れた帰りにDIVAと呼ばれるダイヤモンドミュージアムに立ち寄ったのですが、そこでの体験は忘れることができません」。夢と現実、将来に対して漠然としていた時期に訪れたベルギーのアントワープ。AYAMIさんはダイヤモンドジュエリーの精巧な職人技に目を奪われ、強烈に心を惹かれたといい、その日から頭の中はジュエリーのことでいっぱいになったそうです。その一方で、DIVAではダイヤモンド鉱山の過酷な労働環境についても学んだそうで「モノ作りの際に、環境問題を考えるようになったのも、ダイヤモンドミュージアムで現実を知ったことが大きいです」と話します。
上質なフェイクジュエリーを実現するための宝飾職人との共創


<アヤミ ジュエリー>のクリエーションとして特徴的なのが、手の届くプライスで「宝飾品」を生み出すこと。いわゆるフェイクジュエリーと呼ばれますが、それでいて手頃なシルバーアクセサリーという雰囲気はまるでなく、職人の確かな技とデザイン性で華やかなジュエリーに仕上げられています。「ダイヤモンドを使用しなくても美しく見える宝飾品を作りたかったんです」と<アヤミ ジュエリー>をスタートさせたAYAMIさんがこだわったのが、宝飾技術に精通した職人とのモノ作り。長年宝飾を手がけてきた職人さんはダイヤモンドではなくキュービックジルコニアでジュエリーを作ることを躊躇されたそうです。「それでもどうしてもやるべきだ」というAYAMIさんの熱意が職人の心を動かし、そうして誕生したのがラグジュアリーな雰囲気にあふれるパヴェジュエリー。21歳でブランドを立ち上げパリの展示会に出展し、海外のセレクトショップやロンドンの百貨店などと取引するきっかけとなった<アヤミ ジュエリー>のシンボルジュエリーです。
デザイナーが描く独創的な世界観と、一流の職人の精巧な技術とのコラボレーションが<アヤミ ジュエリー>のクリエーションと話すAYAMIさん。独創的な世界観については「いつも大切にしている自然環境への想いであったり、非日常的な視点や細部に至るまでのフォルム表現のこだわりにある」と捉えているようで、「ジュエリー製作を続けて、手に取ってくれるお客さまとのコミュニケーションを長年続けることによって世界観を醸成させることがデザイナーである自分自身の役割だと思っています」とその想いを語ってくれました。
「肌おもい」と「環境おもい」を叶える新たなジュエリーへの挑戦

2021年のシーズンは「水の中の世界」をテーマに新作を発表したAYAMIさん。時間の許す限り自然のなかで過ごしているという自身のライフスタイルから着想を得たといいます。「水面に映し出されている景色は自分が見ている世界のはずなのに、水というフィルターを通すことで新たな発見があり、新たな世界が広がる。そんな水の多面性をジュエリーで表現したかったんです」と語る新作からは心を潤してくれて、美しい記憶を呼び起こしてくれるような「水」の魅力が伝わってきます。

さらにAYAMIさんが今シーズンからスタートさせたのが「純度」・「循環」・「低金属アレルギー性」・「ミニマルデザイン」をコンセプトにしたジュエリーブランドの<サラース>です。きっかけは「金属アレルギー問題」と「消費し続ける貴金属資源」への問題意識でした。実は金属アレルギーに悩まされているというAYAMIさん。同じような症状の人が多いということを知り、「肌おもい」の新しい時代のジュエリーを完成させたいという強い想いを抱いていたそうです。<サラ―ス>に使用している素材は一部パーツを除き、すべてリサイクルシルバーから作られた「高硬度PURE SILVER 999」(硬さを持った純度99.9%以上のピュアシルバー)です。ピュアシルバーは銅などが含まれていないため肌おもいの素材ですが、やわらかいためにこれまでの技術ではジュエリーに用いられることは稀でした。これを特許技術により硬さをもったピュアシルバーの開発に成功し、素材本来の無垢な美しさと、金属アレルギーへの配慮を両立した、全く新しいシルバージュエリーが誕生しました。鏡のような輝きを放つ磨かれたシルバーの魅力をいかすためにデザインはシンプルシティを追求されています。「<サラース>は包装紙も環境対応紙で、パッケージもすべてプラスチックフリーなんです。また、シルバーはこれまで山を切り崩して採掘されていましたが、これ以上、自然を壊すことなくジュエリーを楽しめる仕組みを作りたいという想いから、微力ながら売り上げの一部をイヌワシ保護の自然保護活動に役立てるため日本自然保護協会に寄付し、イヌワシの保護など群馬県北部「赤谷の森」の生物多様性を取り戻すために役立てていただいています。」と、プロダクト以外にもAYAMIさんの「想い」が詰まっています。
伊勢丹新宿店でのお取扱いはもう15年にもなる<アヤミ ジュエリー>。「お客さまとお会いできる機会が急激に減ったからこそ、どんな時でも多くの方の活力になるジュエリーをお届けしたい」と、社会が大きく変化している状況にあってもAYAMIさんのジュエリーに懸ける熱意は衰えることはありません。「宝飾のように美しく魅せるフェイクジュエリーは、宝飾以上に情熱を注ぐ必要があると思っています」とも語るAYAMIさん。「同じジュエリーであっても、人それぞれで見え方や印象が異なる。そんなジュエリーの楽しさを私は<アヤミ ジュエリー>のお客さまに教えていただいたからこそ、誰かのエネルギーになるようなジュエリーでありたいんです」と。そんなAYAMIさんの情熱的な想いがあるかぎり、これからも<アヤミ ジュエリー>は輝き続けていくはずです。
「Crystal」
<アヤミ ジュエリー>
左:ネックレス 154,000円
中:ピアス 40,700円
右:ピアス 63,800円 ※シングル
※その他はイメージです。
「ティナの贈りもの」という本を幼少期に読んで以来、私のミューズであり続けるのがクリスタルジュエリーデザイナーであるティナ・チャウです。私がクリスタルジュエリーで大切にしているのは、クリスタルには穴を開けずに包み込むようにデザインすることです。光を取り込んで輝く美しさは眺めているだけで不思議と癒されるので、お守り感覚で毎日身に着けていただけたらうれしいです。(AYAMI)
「Eye」
<アヤミ ジュエリー>
ネックレス 38,500円
ピアス 27,500円 ※シングル
唯一無二の存在感や大人の遊び心、抜け感を感じていただきたいと年々希少性が高くなっている大粒の淡水パールを贅沢に使用した「瞳のピアス」です。一つひとつが形の異なるパールを選りすぐって仕上げているので完成までに時間を要するジュエリーのひとつです。ピアスはシングルなのでアシンメトリーに着けていただくのがおすすめです。(AYAMI)
「Basic」
<アヤミ ジュエリー>
ネックレス 137,500円 商品を見る
「パヴェチェーン」はブランドのアイコン的ジュエリーです。玉作りと石留めを施した鋳造のコマを一つひとつ組み上げることで高級感を表現し、「装いがシンプルでも、このパヴェチェーンを身に着けるだけでリュクスで華やかな印象になれる」と多くの方に支持されています。モチーフペンダントと重ねて、自分らしいアクセントを加えて楽しんでいただきたいです。(AYAMI)
「Renée」
<アヤミ ジュエリー>
ネックレス 45,100円
ピアス 29,700円 商品を見る
世界各地の神話や昔話に登場し、再生や生まれ変わりの象徴とされているのが「ヘビ」。<アヤミ ジュエリー>でもジュエリーを身に着けることで新しい自分を発見したり、生き生きとした気持ちや喜びを感じてもらいたいという想いを込めてヘビモチーフを作りました。ヘビを思わせる柔らかで繊細なラインは意識していますが、「よく見るとヘビモチーフ」というくらいさりげないデザインなのでシーンを問わず楽しんでいただけるはずです。(AYAMI)

ジュエリーデザイナー。10代で渡仏し、パリでアート・ジュエリーデザインを学ぶ。2009年に<アヤミ ジュエリー>を立ち上げる。自身がアレルギーで悩んだ経験から、シルバー本来の無垢な美しさと肌への優しさを、ジュエリーを通して一人でも多くの人に届けたいと2021年に高硬度のピュアシルバーを用いたジュエリーブランド<サラース>を立ち上げる。多くの可能性を秘めた新素材を様々な領域に役立てるためのプロジェクトを進行中。
<サラース>POPUP
□8月18日(水)〜8月24日(火)
□伊勢丹新宿店 本館1階 アクセサリー/プロモーション
※諸般の事情により予告なく変更させていただく場合がございます。お客さまにはご迷惑をおかけいたしますが何卒ご理解賜りますようお願いいたします。