良質な素材、高い技術、これからの時代に即した企画アイデアにより生まれた商品や、末永くお客さまにお届けし続けたい定番商品の数々。なかでも伊勢丹バイヤーの特別な想いが詰まった10の食品をピックアップ。前編に引き続き、後編の5アイテムをご紹介します。伊勢丹が未来に受け継いでいきたい味の世界をご堪能ください。
若葉 11×17×4cm/1折/1,080円 ※1日12折限定
取り扱い:伊勢丹新宿店本館地下1階 = 旨の膳
ご好評いただいているお子さま向けのお弁当「コベントウ」のひとつです。見た目もクオリティも大人のお寿司と同じ。でもサビ抜きでサイズが小さく、お子さまがおいしく食べきれるように作っています。巻物は通常より細く、握りも大人サイズのものをカットするのではなく最初から小さく握るので、職人さんの手間が非常にかかっています。そこには、日本の食文化や伝統の技術を未来に伝えたい、という思いがあります。さらに子育てをしながら働く女性が、忙しい中でも「子どもにきちんとしたものを食べさせたい」と思う気持ちにお応えしたいという両方の思いが込められています。手間を惜しまず、クオリティの高い食を子どもたちへ。百貨店だからこそできることだと思っています。
選んだ人:
旨の膳 バイヤー 久保田 浩之
食品バイヤー歴14年。老若男女のお客さまのニーズに応えながら、働く女性の味方となる目線で商品開発を行う。
アンサンブル2014 160g/15,660円
取り扱い:伊勢丹新宿店本館地下1階 = シェフズセレクション
緒方ポニィさんという日本人が、カンボジアのジャングルで採取した野生のハチミツです。アミノ酸成分が高く、バルサミコのようなトロッとした旨味があり、カルパッチョや天ぷらなどの和食にもよく合います。現在ハチミツの大部分は養蜂によるもので、自然のハチミツは非常に貴重です。採取後、酸化や発酵により味わいや栄養成分が劣化しないよう、保存環境を維持するのにも高い技術と経験が必要です。緒方さんはジャングルまで3日間、入ってから2週間、原住民族とチームを組んで採蜜し、巣は必ず3分の1を残しておきます。自然と共存し、持続可能な社会を生きる緒方さんのあり方に、ハチミツを通して未来を生きるヒントが見えるようです。召し上がった多くの方にリピートしていただいています。
選んだ人:
シェフズセレクション/プラ ド エピスリー バイヤー 五藤久義
催物や物産展を長年担当。各地の食の文化や歴史をお客さまにわかりやすく伝えるため、学びの日々。
キュヴェHISHO 赤・フランス製/750ml/4,400円
取り扱い:伊勢丹新宿店本館地下1階 = グランドカーヴ
フランスのワインの生産者と話す中で生まれた赤ワインです。ワインの多くは、フレンチオークの樽で熟成させますが、代表的には、日本のウイスキーの製造で使用する日本原産のミズナラの樹を使った樽を使ってみたらどうだろう、という挑戦でした。商品化に3年かかりましたが、白檀のようなオリエンタルな香りが楽しめる、新しい味わいのワインに仕上がっています。樽からの成分の出方が重要で、樽の内側の焼き具合など、さまざまな試行錯誤があり、そこに法則も公式もありません。未来につなげたいのは、生産者と話し合いながら、より良いものに作り上げていく過程で生まれた「日本とフランスの絆」です。これからも日本の食生活に応じて、生産者と話し合いながら絆を深め、このワインを進化させていきたいと思っています。
選んだ人:
洋酒 バイヤー 高橋隼人
洋酒バイヤー歴約10年。お酒があることでより豊かな時間を過ごせる。そんな価値、素晴らしさを伝えたい。
※20歳未満の方の飲酒は法律で禁止されています。
氷温熟成氷室豚 リブロース 約100gあたり/1,361円
取り扱い:伊勢丹新宿店本館地下1階 = フレッシュマーケット
約20年前、熟成肉がブームになるずっと前から豚肉の熟成研究に取り組み、長い年月をかけて、豚枝肉を用いての氷温熟成に成功しました。豚肉が凍る直前の氷温で熟成させると、肉の鮮度を維持しながら旨みやコクがギュッと凝縮。ほんのり甘くて、しっとりやわらかな食感に仕上がるのです。調理するときは、サッと軽く焼くだけ。フライパンに残った脂は捨てずに、パスタにからめて食べると豚肉の旨みが加わりコクが出ます。そもそも豚肉は菌が繁殖しやすいため、熟成させるには徹底した衛生管理が必要です。実際に工場を訪れたときは、ここまでやるか!と思うくらい安全性と品質管理にこだわった設備に驚きました。磨き抜かれた技術と情熱で作り上げた氷温熟成豚肉は、まさに日本の宝です。
選んだ人:
生鮮 バイヤー 川合卓也
2000種類を超える生鮮品を取り扱う。生産者との対話を通じ、商品の裏側にある物語を伝える努力を惜しまない。
峠の釜めし 1折/1,101円 ※催物場出店時のみの取扱いとなります。
取り扱い:伊勢丹新宿店本館地下1階 = フードコレクション
全国数ある駅弁の中でも知名度、人気ともにトップクラス。発売当初の1950年代、信越本線横川駅のすぐそばにある工場で作り、できたての温かいまま駅のホームで販売するというスタイルは画期的だったそうです。それから約60年がたっていますが、味や素材、手作りの益子焼土釜など、ほとんど当時と変わっていません。さらに、安全・安心な食をお届けしたいという思いから、販売エリアは現在も群馬県や長野県、関東近郊に限定。一般で入手困難なことも、人気に拍車をかけているのかもしれません。ちなみに容器の土釜を使って、ごはんが炊けることをご存じですか? 素朴で懐かしい味を堪能した後、器が使えるなんてすごいアイデアですよね。変わらない味を親から子へ、ずっと受け継ぎたいお弁当です。
選んだ人:
フードコレクション バイヤー 肥後友樹
和洋菓子の店頭担当を経て、バイヤーに。食品に携わって十数年。食が持つ奥深さに、興味が尽きないと語る。
2020年3月取材
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