「風景画への道'22 大津英敏展」
三越美術バイヤーが語る、大津 英敏氏の作品の魅力

「風景画への道'22 大津英敏展」三越美術バイヤーが語る、大津 英敏氏の作品の魅力のメインビジュアル

2022年2月16日(水)より日本橋三越本店では3年ぶりとなる大津 英敏氏の個展を開催いたします。あたたかみのある色彩と繊細かつやわらかなタッチで、大津氏が感銘を受けた芸術の都・パリの街並みや、愛する家族との絆を感じさせる家族の姿を、独自の構図で表現する大津氏。
今回は開催に合わせ、日本橋三越本店美術営業部 洋画担当の高木 啓伍バイヤーに大津氏の作品の魅力についてお伺いしました。

  • 「シテ島に向う船」の作品画像

    シテ島に向う船
    サイズ:6号
    金額:1,980,000円

大津 英敏氏について

1943年に熊本市に生まれ、福岡県大牟田市で過ごす。現在は、独立美術協会の中心メンバーであり日本藝術院会員として、美術界を牽引する大津氏。
学生時代は洋画家 山口 薫氏を師と仰ぎ大きく影響を受ける。卒業後、故郷・福岡県大牟田市に来たサーカスで仰向けになって鞠を蹴り上げるポーズを思い起こし、サーカスがもつ哀感にも惹かれ「鞠シリーズ」が生まれた。
その後、新たなテーマを求めて制作環境を改めるべく二人の子供を連れて、パリへ移住。パリでは画家バルテュスの作品と出会い影響を受ける。「実際に見たものをそのまま写すのではなく、頭の中で再構築して描くこと」ができることを教えられた。
帰国後、何をテーマにしようと考えたとき、「一番大きな私の生活の基礎は、家族と一緒にパリで暮らしたこと」だと気づき、長女の香織さんをテーマにした大作『KAORI』を独立展に出品し安井賞を受賞。背景に作家にとって親しい人物を配した、現在まで続く代表的シリーズへと確立することになった。
「風景というものは人が感情移入できるもの。自分が生活した場所の風景を描きたかった」
風景を描いても娘を描いても、大津氏の内面が非常に強く表されて、家族への愛情の細やかさが滲んでいる。その後、風景画はかつて住んでいたパリ、訪れたことのあるヨーロッパの風景をメインに描き続け、住まいのある鎌倉・湘南も描いている。

  • 「パリ郊外の朝」の作品画像

    パリ郊外の朝
    サイズ:10号
    金額:3,300,000円
  • 「フェルメールのいた町」の作品画像

    フェルメールのいた町
    サイズ:15号
    金額:4,400,000円

高木バイヤーが語る大津 英敏氏の作品の魅力

実際に生活していた場所だからこそ描ける現地の空気感や色合い・雰囲気があると思います。描く場所ははじめから決めているのではなく、散策をしたり日々暮らしている中で見つけたポイントを、大津先生ならではの視点で描いているそうです。また季節や天気などでも景色は違うので、絵を描く場所を決める下調べなどからとても時間をかけていらっしゃることや、繊細かつ明るい色調と軽やかなタッチによる親しみのある作風が大津氏の魅力だと思います。

高木バイヤーが大津 英敏氏の作品の魅力について語っている画像

パリにご旅行されたことがあるお客さまにはこの優しい色合いも含めて、写真とは違う懐かしさを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

  • 「セーヌ川の朝」の作品画像

    セーヌ川の朝
    サイズ:6号
    金額:1,980,000円

前回の個展に比べ、大津氏の原点とも言うべきフランス パリの風景画が多く出展される今回の「風景画への道'22 大津英敏展」。作家自身のこれまでの道程を表現した大作から小品約40点を展観いたします。ぜひこの機会にご高覧ください。

風景画への道'22 大津英敏展

□2022年2月16日(水)~2022年2月21日(月)[最終日午後5時終了]
□日本橋三越本店 本館6階 美術特選画廊

高木 啓伍さんの画像
高木 啓伍
日本橋三越本店美術営業部 洋画・彫刻バイヤー
2009年入社、日本橋三越本店婦人雑貨部に配属。
2014年より日本橋三越本店美術営業部 絵画部門にて販売を経験後、2019年より現職の洋画・彫刻バイヤーに着任。