「新版画」の魅力 笠松 紫浪 木版画作品特集

江戸時代に大きく進化を遂げた浮世絵版画の技と美意識を受け継ぎ、大正から昭和にかけて日本美術の新たなジャンルとして新風を起こした「新版画」。
木版画の伝統的な彫りや摺りの技術を継承しながら同時代性の清新な表現が込められた作品は、近年のグローバル化に伴い国内外の多くの美術愛好家を楽しませています。
今特集では、「最後の新版画」とも称される笠松 紫浪(1898~1991年)の木版画の中から、生前に関係の深かった版元・芸艸堂版による作品をいくつかご紹介します。
※販売する作品は、初摺りで使用された版木を用いた再摺り作品です。
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笠松 紫浪「東京駅」芸艸堂版・昭和31年(1956年)
「新版画」とは
大正から昭和にかけて、絵師・彫師・摺師(すりし)の協同作業によって制作された木版画で、大手版元の渡邊 庄三郎氏(1885~1962年)が提唱し、当時の人気絵師だった伊東 深水や川瀬 巴水、吉田 博らによって数々の名作が生み出されました。
江戸時代に流行した浮世絵木版画とは異なり、下刷りをして色に深みを持たせたり、バレンで刷った跡をあえて残したりするなど、木版画の新たな表現が生まれ、新版画は絵画のジャンルのひとつとして確立しています。
自然で豊かな色彩表現と透き通った空気感に包まれた新版画は、海外でも高く評価され、数多くの美術愛好家から注目を浴びています。
笠松 紫浪について
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若き日の笠松 紫浪
明治31年(1898年)に東京・浅草に生まれた紫浪は、14歳にして日本画家・鏑木 清方に入門し日本画の基礎を学びました。
大正8年(1919年)、東京の版元・渡邊木版画舗より「新版画」を刊行し、モダンな東京の街並みや日本各地の温泉地などを、淡い色彩で抒情性豊かに描きました。
合わせて日本画の発表も積極的に行っていて、第14回帝展では「蕨を煮る」が初入選、ほかの公募展でも日本画作品が入選を重ね、昭和15年(1940年)の第4回海洋美術展では海軍大臣賞を受賞(以後3年連続受賞)するなど日本画家としても活躍しました。
戦後は京都の版元・芸艸堂から依頼を受けて「新版画」を精力的に制作し、昭和27~34年(1952~59年)の間には風景画を中心に100点以上の作品を刊行するなど、「新版画」の初期から戦後に至るまで精力的に版画を制作し「最後の新版画家」と言われるようになりました。
笠松 紫浪の作品は、落ち着いた景色の中にさりげなく人々の営みが描かれるのも特徴のひとつです。
一見すると「新版画」の代表作家・川瀬 巴水の画風と似ていますが、モチーフの存在感や彩度の高い華やかな色使いなど、巴水とは違った独自の魅力にあふれています。
笠松 紫浪の眼がとらえた風景・色彩、そしてその空気感・・・絵師・彫師・摺師の技が三位一体となった「新版画」の魅力をお楽しみください。
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東京八景の内「上野東照宮」
※額付
イメージサイズ:約 縦35.5×横23.5cm
額サイズ:約 縦50.5×横35.5cm
価格:26,400円
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「桔梗門」
※額付
イメージサイズ:約 縦35.5×横23.5cm
額サイズ:約 縦50.5×横35.5cm
価格:26,400円
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「東京駅」
※額付
イメージサイズ:約 縦35.5×横23.5cm
額サイズ:約 縦50.5×横35.5cm
価格:26,400円
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「日本橋」
※額付
イメージサイズ:約 縦35.5×横23.5cm
額サイズ:約 縦50.5×横35.5cm
価格:26,400円
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「お茶の水 たそがれ」
※額付
イメージサイズ:約 縦35.5×横23.5cm
額サイズ:約 縦50.5×横35.5cm
価格:26,400円

作品所蔵 東京国立近代美術館・山梨県立美術館など。