三越伊勢丹 名画版画コレクション Vol.12

日本藝術院会員で日本美術院同人・理事として現代日本画壇を代表する作家・西田俊英氏(1953-)による「近衛桜 日月(左隻)」彩美版®美術複製画作品をご紹介いたします。

西田俊英「近衛桜 日月(左隻)」彩美版®美術複製画
技法:彩美版®、シルクスクリーン併用、本金泥使用
制作数:150部
イメージサイズ:約 37.5×72.5cm
額サイズ:約 55.0×90.0cm
価格:275,000円
西田俊英「近衛桜 日月(左隻)」彩美版®美術複製画のご案内
※共同印刷株式会社発行のパンフレットより
かつて約500年もの長きにわたり天皇の住まいとなっていた京都御所。その北西にあった近衛家は、朝廷に仕える公家の頂点に立ち、数多くの摂政や関白を輩出した名門の家柄です。その近衛邸跡に咲く枝垂桜は、御所の中でも先駆けて春を告げる桜として毎年多くの人に愛でられています。
東京・目黒の郷さくら美術館より依頼された、「いつか世界に発表する日本画の桜の名作」としてふさわしい桜を探し求めていた西田俊英氏は、近衛邸跡に咲く「弾むような枝ぶりと軽やかなリズムに揺れるはんなりと優美な」枝垂桜に出会ったとき、この桜しかない、と感じたそうです。
輝き昇る太陽の中、桜が蕾から花開き、爛漫と咲き誇るまでが 描かれた左隻と、盛りを過ぎ、やがて月夜の花嵐の中、美しくも短い花の一生を終えていく様子が描かれた右隻により構成される四曲一双屏風は、一日の陽の移り変わりの中に桜花の一生が重ねられた、いのちの輪廻の物語です。一つの物語を読み進めるかのように展開する画面を通して、美しさ、華やかさ、温かさ、儚さ、懐かしさ、観る者の中にさまざまな感情が湧き上がり、何度でも見つめたくなる作品です。
若くしてその才能を認められ、現在は日本芸術院会員、日本美術院同人・理事として日本画壇の中心的存在の一人として活躍される西田俊英氏。周囲の自然や大小の動物など、生けるものへの慈しみと深い洞察、そしてそこから紡ぎだされる西田氏ならではの豊かな表現は、本作「近衛桜 日月(左隻)」からも十二分に感じることができます。
本作品は、西田氏の許諾と監修および原画所蔵美術館である郷さくら美術館の協力を得て、「近衛桜 日月」より、生命が生まれその盛りの頂点へと向かう姿が優美に描かれた左隻部分を、西田俊英氏のサインとエディションナンバー入り(限定150部)で制作されたものです。
美しい生命の輝きと時の移ろいが 華やかに彩られた画面は、桜の季節に限らずご鑑賞いただける作品となっています。是非お手元でお楽しみください。

西田俊英『近衛桜 日月』四曲屏風
作品解説 西田俊英(日本画家)
左隻から朝が明けて陽に輝く希望に満ちた華やかな姿となり、やがて右隻へと陽は移り、しっとりと日暮れ、静かな三日月夜となる時の移ろい。そして小さな蕾から徐々に花開き咲き誇り、やがて儚く散りゆき、月も失せた薄闇に花嵐が舞う。幾千、幾万の花弁が毎年のように生まれ爛漫となり、やがて旅立っていく。そんな桜花の一生を、日月の移り変わりと共に、いのちの輪廻をこの屏風の中に込めました。
師である奥村土牛先生が、描かれた桜の名作「醍醐」(山種美術館所蔵))の番組をテレビ番組の企画で制作することになり、制作過程の再現を弟子である私が描いたことがありました。ご遺族から託された貴重な紅色の臙脂綿(えんじわた)を用いて挑戦したのですが、見ているだけでは気付かな かった技法も、試行錯誤の模写の過程で勉強になり貴重な経験でした。師の真摯に桜に向き合う姿、いのちを描こうとする姿勢の跡を辿ることで、私自身もより深くいのちを考えることになりました。この作品にも臙脂綿と土牛胡粉と呼ばれる特別きめ細かい白色とを合わせて溶くことによってできる発色の良い、柔らかで優しい桜色を塗り重ね、琳派的描法も使用し、華麗でありながらも格調のある桜の風情を描くことができたと思っております。
今回はこの左隻の「日」をメインにした屏風が版画となりましたが、画面を埋め尽くす優美な桜に、日本の美しい春の風景や見る方それぞれの懐かしい桜にも想いを馳せていただき、ひと時の幸せな時間を過ごしていただければと願っております。
(付属解説書より抜粋)

彩美版®とは
「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。長年の経験により培われた画像処理技術を元に、厳選された素材に高精度デジタルプリントを施し、画材の質感と豊かな色調を再現した共同印刷の美術複製画です。
一枚一枚に職人によるシルクスクリーンを施し豊かな色彩や筆遣いといった原画の持つ鼓動までも表現しています。
半世紀以上にわたり複製美術品の制作を続ける共同印刷の「彩美版®」は、業界屈指のブランドとして、多くの美術愛好家に支持されており、美術関係者からも高い評価を得ています。
作家直筆のサインとエディションナンバー、落款が版画内に入ります
作品本紙の中には、作家本人によるサインとエディションナンバーが記され、落款(印章)が押印されます。
濃度や大きさにこだわり一枚ごとに丁寧に書かれた作家サインにより完成度の高い版画作品になっています。
額裏の奥付シールには、共同印刷株式会社が開発したセキュリティーシールが貼付けされ、お手持ちのスマートフォンなどでフラッシュをたいて撮影すると、作品が共同印刷(KP)の発行する真正な版画作品であることを判定することができます。
原画所蔵美術館のご案内
郷さくら美術館
郷さくら美術館は、現代日本画専門の美術館として2012年3月にオープンしました。コレクションを中心とした展覧会の他、桜がテーマの「桜百景」展示室を設けており、繊細な日本画を親密な空間でお楽しみいただけます。

電話 03-3496-1771
詳細はホームページ等にてご確認ください。
西田俊英「近衛桜 日月(左隻)」彩美版®美術複製画
仕様体裁

技法:彩美版® シルクスクリーン併用、本金泥使用
制作数:150部
額縁:木製額縁金泥仕上げ、アクリル付き
イメージサイズ:約 37.5×72.5cm
額サイズ:約 55.0×90.0cm
重さ:約 3.8㎏
監修・解説:西田俊英氏(日本画家)
原画所蔵:郷さくら美術館
証明:作家直筆サイン・限定番号・落款(印章)入り、額裏にはセキュリティーシール付き作品奥付シール添付
西田俊英 Syunei Nishida(1953年~)
1953年 三重県伊勢市に生まれる
1975年 再興第60回院展初入選
1977年 武蔵野美術大学日本画科卒業 奥村土牛・塩出英雄に師事
1983年 第7回山種美術館賞展 優秀賞受賞
1984年 第4回東京セントラル美術館日本画大賞展 大賞受賞
1990年 第1回両洋の眼・現代の絵画展 推奨受賞
1993年 文化庁芸術家在外研修員として一年間インド滞在
1995年 再興第80回院展 日本美術院賞大観賞受賞 第1回足立美術館賞受賞
1996年 再興第81回院展 奨励賞受賞 第2回天心記念茨城賞受賞 日本美術院奨学金賞受賞
1997年 再興第82回院展 日本美術院賞大観賞受賞
1998年 日本美術院同人に推挙
2000年 広島市立大学芸術学部教授就任
2002年 再興第87回院展 文部科学大臣賞受賞
2005年 再興第90回院展 內閣総理大臣賞受賞
2012年 武蔵野美術大学教授就任 第18回MOA岡田茂吉賞大賞受賞
2017年 《森の住人》にて日本藝術院賞受賞 日本藝術院会員となる
2020年 『近衛桜 日月』を制作