重要無形文化財保持者(人間国宝)陶芸
独特な文様で魅せる鉄釉陶芸家・原清氏

重要無形文化財保持者(人間国宝)陶芸 独特な文様で魅せる鉄釉陶芸家・原清氏

鉄ならではの黒や褐色でつくり出す、奥行きのある風合いが特徴の「鉄釉陶器」。陶芸家・原清氏は、人間国宝である二人の巨匠のもとで鉄釉陶器の技を磨いたのちに、抜き絵によって草花や動物などを描く自身の表現技法を確立しました。作品が醸し出す悠然としたたたずまいは、自然のおおらかさと力強さを感じさせます。
※人間国宝は、重要無形文化財の技術保持者として各個認定された人物を指す通称です

技と心得を学んだ修行時代

技と心得を学んだ修行時代

原清氏は、少年時代を島根県出雲市で過ごしました。商船の寄港地である出雲市には、有田や唐津など、焼きものの一大産地から多くの陶器が運びこまれ、日頃から質の良い陶器を目にすることができます。原氏が陶芸家を志すようになったのは、そんな環境がゆえ。登下校中に陶片を拾い、その美しさに魅了されたことがきっかけです。

県内の陶芸家の養成所で基礎を身に付けると、京都府の窯元に就職。ある日偶然窯元を訪れた鉄釉陶器の人間国宝・石黒宗麿に見出だされ、19歳で弟子入りを果たします。挨拶の仕方から食事の作法に至るまで、陶芸を生業にするものが身に付けるべき心得を、徹底的に教え込まれました。当時のことを「石黒先生に命を預ける決心でした。今の私があるのは先生のおかげです」と振り返ります。弟子入りから1年後、石黒の推薦により、のちの鉄釉陶器の人間国宝となる清水卯一に師事。10年間の修行の末、独立を果たしました。

「鉄釉馬文壷」

「鉄釉馬文壷」
サイズ:径31×高31cm
価格:4,400,000円

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限られた色彩の中で描く自然への想い

限られた色彩の中で描く自然への想い

鉄釉陶器は、ゴム液でマスキングした上から釉薬を施し模様を描き出します。

「文様には陶器を一層輝かせる役割がある」と言うその言葉通り、原氏の作品の特徴は文様にあります。

取り組むモチーフの多くは、草花や動物など、自然の豊かさを代弁するもの。なかでも馬には、並々ならぬこだわりがあります。実は、無類の馬好きである原氏。美しい骨格や風を受けて輝く毛並みを、陶器という制限のあるフィールドでどう表現するか。作品ごとで異なる個性をみせる馬の姿に、ぜひご注目ください。

「鉄釉鳥文茶碗」

「鉄釉鳥文茶碗」
サイズ:径13.3×高7.3cm
価格:550,000円

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歴史を継ぐ陶芸家としての責任を胸に

歴史を継ぐ陶芸家としての責任を胸に

原氏が手掛けるのは、鉄釉陶器だけではありません。みずみずしい乳青色の肌に赤紫の斑紋が鮮やかに浮かび上がる釣窯は、鉄釉陶器に並ぶ原氏の代表的な技法のひとつ。その優美な美しさは、原氏に対する評価を確固たるものにしました。日本のみならず世界各国で認められ、アメリカや香港での陶芸展にも出品を果たしています。

精力的に創作活動を続ける傍ら、鉄釉陶器の発展のため、後継者の育成にも力を注ぎます。二人の師から技術を受け継いだ者として、今日まで続く鉄釉陶器という灯火を、絶やすことなく後世へとつなげることが使命であるとしています。

二人の師から受け継いだ信念と技術を礎に、鉄釉の陶芸家として第一線を走り続けてきた原氏。その手が生み出す味わい深い文様に、たおやかな自然の恵みを感じてください。

「鉄釉草花文徳利」

「鉄釉草花文徳利」
サイズ:径8×高12.5cm
価格:165,000円

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作品紹介

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