2020.06.09 技術をいかして社会貢献ができる。縫製工場の方々と想いをひとつに|#みんなでマスクvol.2 「#みんなでマスク」プロジェクトの担当のひとりである三越伊勢丹の清水文恵が今回のマスク生産にご協力いただいたシタテル、エトフェール、高知アートの担当者の皆さまにオンラインでインタビュー。普段は表に出ることも少ない生産者の方々ですが、オンラインの画面越しからでも伝わってくるほど今回のプロジェクトに懸けた熱い想いを語ってくれました。 シタテル 宇田川まり絵さん シタテル 名久井励さん エトフェール 内ケ島圭祐さん 高知アート 澤田篤志さん 三越伊勢丹 清水文恵
2020.06.09 技術をいかして社会貢献ができる。縫製工場の方々と想いをひとつに|#みんなでマスクvol.2 「#みんなでマスク」プロジェクトの担当のひとりである三越伊勢丹の清水文恵が今回のマスク生産にご協力いただいたシタテル、エトフェール、高知アートの担当者の皆さまにオンラインでインタビュー。普段は表に出ることも少ない生産者の方々ですが、オンラインの画面越しからでも伝わってくるほど今回のプロジェクトに懸けた熱い想いを語ってくれました。 シタテル 宇田川まり絵さん シタテル 名久井励さん エトフェール 内ケ島圭祐さん 高知アート 澤田篤志さん 三越伊勢丹 清水文恵
国内の縫製工場の多くは本来の仕事がストップしていた 清水:今回の新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言による影響は縫製工場のエトフェールさんや高知アートさんも大きかったと思います。 内ケ島:エトフェールはデザイナーズブランドや百貨店のプライベートブランドの婦人服を作っている縫製工場なのですが、受注は通常時の80%減の状態でした。仕事がストップしても従業員に対して保証はしないといけないですから、そこで婦人服をいったんストップしてマスク生産に切り替えたんです。 澤田:高知アートはニットシャツやゴルフウェアなどメンズがメインの縫製工場です。秋冬コレクションの生産を中止したファッションブランドが多く、新作展示会のためのサンプルのオーダーすら止まっていました。それで高知アートでも3月からマスクを作りはじめました。 清水:三越伊勢丹で「#みんなでマスク」というプロジェクトに取り組むことになって、縫製技術も確かでクオリティの高い安心、安全なマスクを生産できる工場を探していましたところ、三越伊勢丹の社内ネットワークを辿ってアミアズの新家一樹さんとシタテルの名久井さんとつながることができました。アミアズの新家さんには高知アートさんを、シタテルの名久井さんからはエトフェールさんをご紹介いただきました。 名久井:三越伊勢丹さんとはクラウドファンディング関連でお付き合いがありましたが、モノづくりの発注という点ではあまり関わりがなかったじゃないですか。なので「いっしょにマスクを作りませんか」という提案は新鮮で驚きました。「#みんなでマスク」の発案者のひとりである清水さんからのお問い合わせでしたからね。こんな大変な時期だからこそモノづくりを通じて世の中を応援する、そんな想いはしっかりと伝わってきました。 内ケ島:エトフェールでは海外から技能実習生がたくさん働いています。本来なら事前の実習計画にない職種には就けないというのがルールなんですが、政府の特例措置により衣服関係の実習生でも実習期間の半分を超えない範囲でならマスク業務に従事できるようになったんです。 縫製工場の自分たちの価値を世の中に発信できると思った 清水:皆さんは「#みんなでマスク」というプロジェクトをどのように捉えてくださっていましたか? 内ケ島:マスク生産を始めた理由は自社の雇用維持のためでしたけれど、三越伊勢丹さんからお話しを聞いて「これは自分たちじゃないとできないことだ」と社会的な意義を感じました。新型コロナウイルスが落ち着いたとしても自分たちの仕事は従来通りには戻らないかもしれないという不安はあります。ジャパンクオリティを生み出している自分たちの価値をもっと高めるためには裏方のように思われがちな工場も「私たちが作った製品です」と積極的に前に出て行くべきだと考えていた時期でもあったので、三越伊勢丹さんと取り組むことはすごく大きなチャンスだと思いました。 澤田:うちが生産しているウェアのほとんどが百貨店で販売されています。だから百貨店にはがんばってほしいという思いはずっとあるので、三越伊勢丹が「#みんなでマスク」のような世の中を元気にするプロジェクトを立ち上げることは大賛成でした。高知アートは縫製の質にはとてもこだわっている会社ですが、オンラインで服を買う人も増えているのでそこがあまり伝わっていません。百貨店らしいおしゃれで質の高いマスク作りに高知アートが携われば、縫製のこだわりもお客さまにリアルに伝えることができると思いました。 名久井:今はモノがあふれていて、自分たちが必要なものはなんでもすぐに買える時代です。そうなると製品のクオリティは当然ですが、メッセージや付加価値までも届けていくことが大切なんじゃないかと思っています。野菜なんかは生産者の顔が見えるようになっています。三越伊勢丹さんとの「#みんなでマスク」をきっかけに、衣服生産業界である自分たちの顔も名前もお客さまに見えるようになったらいいですね。 澤田:三越伊勢丹らしいおしゃれなマスクが誕生したら、今後はマスクの役割にも変化が生まれかもしれないですよね。夏は日焼け防止にマスクをするとか、人と差を付けるファッションの一部になるとか、そんな期待もあります。 40を超えるブランドと新しい試みに取り組むやりがい 清水:マスク生産の発注窓口は三越伊勢丹ですが、プロジェクトにご参加いただいたファッションブランドは40を超えます。それについてはどう思われましたか?数が多いだけに素材や反幅がさまざまな生地をマスクに仕上げていただくことになり、かなり複雑だったのではと思いまして…。 名久井:参加ブランドが多ければ多いほどプロジェクトそのもののインパクトは高まるので、40以上という数はむしろ前向きに捉えていました。ブランドが多いということは、それだけたくさんのストーリーに関われるということですからね。シタテルはスタートアップ企業なので、「#みんなでマスク」という新しい取り組みに参加できたことはうれしかったです。 内ケ島:錚々たるブランドが名前を連ねるので、メッセージとして世の中への影響は大きいはずだと自分も前向きでしたね。コロナに対するマスクの打ち出しは自社でも取り組んでいましたが、それに加えて新たな社会貢献へのアプローチができると思いました。ブランドごとにマスク作りの生地がすべて異なるというのは大変そうだと感じましたが(笑)。それでもプロジェクトのおかげで初めて取り組めたブランドもあって楽しかったです。やっぱり仕事は楽しいほうがいいですよね! 澤田:素材は本当にさまざまでした(笑)。それでもプロジェクトの主旨に賛同できましたし、自分たちも元気になれますから。いまは刺繍屋さんなどの2次加工の工場も困っているところが多いので、「#みんなでマスク」のプロジェクトが続いていくなら次は刺繍入りのマスクを作るとか、そうやって参加できる工場や人を広げていけたらいいですよね。 清水:「#みんなでマスク」にすぐに共感してくださったシタテルさん、エトフェールさん、高知アートさん、アミアズさんと一緒に取り組めたことは、私にとっても楽しい時間でした。ありがとうございました。 シタテルはデザイナー・パタンナー・縫製工場・資材メーカーや加工工場などと連携し、衣服生産のプロセスを最初から最後までをサポートしている会社です。 2015年7月21日設立の衣類製造業を行っている会社。激しく変化する時代の波に対応できる感性と発想を持ち続け、ほっとかれてる小さなストレスやボトルネックを見過ごさず、いろいろなことを全力で楽しむ会社でありWISH、WILL、HOPEを実現する会社です。 エトフェール 縫製工場として地域、社会へ貢献を目指す会社。技能実習者として技能実習生を取り巻く環境の改善、不当労働行為のないクリーンな工場運営を基本に国内生産の技術、品質、地位向上を目指している会社です。 高知アート 平成10年創業の高知県の縫製工場。カットソーの本縫いを得意とし、台付シャツやカウス付のシャツ、ZIP付の商品、布帛製品とカットソーの組み合わせやドッキングなど縫製技術を追求した会社です。 社会全体だけでなく、ひとりひとりにまで大きな影響を与えた新型コロナウイルス感染症。地域と作り手、お客さまとつながり続けてきた三越伊勢丹グループは、この難局を乗り越えるために社会貢献活動に取り組みます。「人と時代をつなぐ 三越伊勢丹グループ」としての役割をはたしていきたいと考えています。