7月 ICHIDA’S COLUMN
~人生をかえた本(前編)~

7月 ICHIDA’S COLUMN~人生をかえた本(前編)~

1階は雑貨と化粧品、2階〜4階は婦人服、5階はリビング、6階は子供服、7階は呉服……。百貨店のいちばんの特徴は、そこに「いろんなもの」があることです。そして、各フロアには、それぞれ担当者がいます。売り場によって、担当者の個性って違うのかな?売るものが変わると、その人の暮らしも人生も変わるのかな?いつもはキラキラと輝く商品の影で見えない「人」を知りたいと、伊勢丹新宿店本館の1〜7階まで、各フロア1人ずつ、インタビューをさせていただくことになりました。
ただし今回は、仕事について伺うだけでなくひとつお願いをしてみました。「人生を変えた本を1冊持ってきてください」。この企みが大正解!7人の方が選んできてくださった7冊の本は、ご自身が語る「これまで」以上に、その人らしさを語ってくれました。1人の人と1冊の本。その組み合わせが教えてくれた「伊勢丹で働く人々」の姿をご紹介します。

1階 小林嵩さん 新宿宝飾時計雑貨営業部 セレクトショップ担当 バイヤー
選んだ本「百年の孤独」(ガルシア・マルケス)

新宿宝飾時計雑貨営業部 セレクトショップ担当 小林嵩さん

昨年、伊勢丹新宿店の1階に「ISETAN Seed」と「ISETAN Leaf」という2つのショップが生まれました。文房具から器、洗剤からお菓子まで、伊勢丹新宿店全館から集めたワクワクするものが並んでいます。私も、このコーナーが大好き!「わあ、こんなものあったんだ〜」と毎回発見があり、そのセレクトのユニークさ、楽しさに刺激をもらいます。

昔から百貨店の1階には、どこでも同じような風景が繰り広げられていました。ストール、帽子、傘、ハンカチ、靴下……。
「このままじゃいけないなって、10年ぐらい前からずっと感じていたんです」と小林さん。そして、「それまでの『婦人雑貨』という概念をもっともっと拡張して商品をそろえたい」とこの2つのショップを作ったそう。

そもそも、どうして「伊勢丹」に入ろうと思ったんですか?と聞いてみました。

「小さい時から、ぼんやりと『人を幸せにする仕事がしたいな』って思っていたんです。『幸せにする』っていろんな選択肢がありますよね?政治家になるとか、芸術家になるとか……。でも一番身近に『幸せ』を手渡せるのって、『もの』を介することかなあと考えました。『社会を変えよう』とか『国を変えよう』という大きな規模じゃなく、自分の身の回りから直接的に変えられる、『幸せ』を手渡せる職業って素敵だなあと思って、「伊勢丹」に入社しました」

ギフトを手渡すなら、おしゃれな家具ショップや雑貨屋さんでもよかったのでは?とちょっといじわるな質問をしてみました。すると……。

「おしゃれな雑貨店もすごく素敵ですけれど、それはすでに確立されている世界観の中でお客様に『幸せ』をもたらします。一方で百貨店って、どんな人でもきてくださる間口の広い場なんですよね。僕は大学でコミュニケーションを勉強していたので、多くの出会いがある、という百貨店という場での仕事は、本当に天職だと思います」。

最初に配属されたのは、婦人靴売り場。婦人雑貨のバイヤーの経験を積んだ後に立ち上げたのが「ISETAN Seed」と「ISETAN Leaf」だったというわけです。

百貨店というものはフロアごとに商品が決まっています。婦人服のフロアに器はないし、家具の売り場に靴が並ぶこともない……。「でも、それじゃあもったいないって思うんです。お客様にとって、最適で快適な空間を作り出すためには、領域の垣根を超えて、いろんなものをみんなで集めればいい」という文化作り、風土作りをしたかった」と語ってくれました。

そんな小林さんの「人生を変えた1冊」は、「百年の孤独」(ガルシア・マルケス)」です。

新宿宝飾時計雑貨営業部 セレクトショップ担当 小林嵩さん

1組の家族が、一族を途絶えさせないために、「マコンド」という架空の町を創設。町が作られてから、廃れていくまでを描いた1冊です。
「ここに書かれていることって、我々の想像の範疇を超えることばかりなんです。たとえば雨が三年間振り続けるとか、死ぬと花が一面にブワ〜っと咲くとか……。いわゆる現実では起こりえないことばかりです。日々僕たちが暮らしていると、想像の範囲内でしかものを考えません。でも、本当は人間の想像力ってもっと広いはず。それを忘れちゃいけない、って感じさせてくれるのがこの本です。どんなに頑張ってもすべてのものが無に帰してしまう……。その上で『生命』ってなんだろう?というのが、このファンタジーの裏に隠されたテーマかなと思います」

この本が小林さんに与えてくれたものってなんなのでしょう?

新宿宝飾時計雑貨営業部 セレクトショップ担当 小林嵩さん

「頑張ることも大事だけれど、諦めるってことも大事なのかなあと思うんです。諦めた先にどうするのかってことが、すごく大事なポイントで、諦めて何もしないのと、諦めるけれど、想像の世界を越えて可能性を追求するのと、どっちを選ぶか?と問いかけられたら、やっぱり後者を選びたいんです」

そこに希望はないんですね……。とちょっぴり寂しい思いで聞いてみました。

「希望があるから幸せなんだ、ということが間違いかなと思っていて……。希望があるから幸せだったら、希望がなくなったら不幸だってことじゃないですか?でもこの世の中ではあらゆるものが失われていきます。人の命もいつか終わる。じゃあそこに意味はないの?というと、それでも意味を見出したいじゃないですか?ということは絶望があったとしても意味があるし、それをもがいて追求していく方がいいんじゃないかなと……」

小林さんとの会話は、とても文学的で驚いてしまいました。
仕事の話だけでなく、1冊の本を介すると、その人の「心」が見えてきます。お客様に「幸せ」を手渡したいと伊勢丹に入社。人に手渡すためには、自分がまず「幸せ」を捕まえなくてはいけません。でもいったい「幸せ」ってなに? 小林さんが今見ている「幸せ」のかたちを、「百年の孤独」という1冊の本が教えてくれた気がしました。つまずいても、絶望しても、希望の光が消えても、その先にきっと何かがある。幸せとはキラキラ光る素敵な形をしているのではなく、実は真っ暗で孤独で不安だらけな世界の中で手探りで探すもの。そんな小林さんが暗闇の中で何を拾い上げるのか、見てみたくてたまらなくなりました。

「ISETAN Seed」についてはこちら

ISETAN Seed公式インスタグラム @isetanseed_isetanleaf_shinjuku

2〜4階 長縄衣理さん 婦人営業部 ブランドショップ担当 パーソナルアテンダント
選んだ本「わたしのいちばん、あのこのいちばん」(アリソン・ウォルチ)

婦人営業部 ブランドショップ担当 パーソナルアテンダン 長縄衣理さん

お客様のカラー診断や骨格診断をしたのちに、似合うものを提案したり、「こんなものを探しているんですけど」というお問い合わせに応えて、百貨店内をアテンドしたり。資格をもとに、お客様の悩みを解決する有料のパーソナルコンサルティングを担当する長縄さん。

子供の頃から百貨店が大好きで、「どこに配属されても楽しんで働けるな」と「伊勢丹」を選んだそうです。入社後は「それはそれは楽しくて」と目をキラキラさせて語ってくれました。婦人服に配属され、いちばん最初にとった資格がカラーアナリスト。伊勢丹では働きながら、さまざまな資格にチャレンジさせてくれるそう。その後パーティウェアの売り場に配属になってからは「フォーマルスペシャリスト」を、ランジェリー売り場担当のときは「ランジェリーコンシェルジュ」、その後「骨格スタイルアドバイザー」や「顔タイプアドバイザー」の資格を取りました。

資格を取ったら接客の仕方が変わってくるのでしょうか?

「そうですね。それまではお客様に洋服を提案する中で、直感で『お似合いになりますよ』とか『お顔映りがきれいですね』と言っていたんですが、それを理論づけ、納得性をもってご提案できるようになりました。お客様も理論を説明すると『ああ、なるほどだから似合わなかったのね』「だからこっちが似合うのね」とわかってくださるんです」

接客が大好きで、スペシャリストのシステムができたとき、すぐに手をあげたそう。小学6年生の双子と3年生の娘さん、3人の子供のママでもある長縄さん。今回選んでくれた本は「わたしのいちばん、あのこのいちばん」(アリソン・ウォルチ)という絵本でした。

婦人営業部 ブランドショップ担当 パーソナルアテンダン 長縄衣理さん

産休を経て、去年からフルタイムで働き、遅番のときには帰宅するのは夜9時近く。子供たちは9時半に寝るので、30分しか接する時間がありません。その中で子供との時間を作りたいと、夜寝る前に必ず本を読んであげるそう。この本も、その中の1冊でした。

「バイオレットは、走るのも速いし、『なんでも一番』です。でもロージーは『そんなに一番っていいのかなあ』ってもやもや思っていたんですよね。ある日学校のクラスでお花を育て始めました。すると、バイオレットは『私のが一番伸びてるわよ』って自慢するわけです。そんな中、彼女が病気でお休みすることに。ロージーはバイオレットのお花が育たないように邪魔しようかな……とも考えるんですが、結局水をやって大切に育ててあげる。そのうちに『私は一番じゃなくて、大切なものを大切にしたい』って気づく、っていうお話です」

私も放っておくとすぐに「一番がいい!」と思うタイプなので、「あいたたたた……」とお話を聞きました。

「子供に対して、気がつくと『どうして100点じゃないの?』みたいにガミガミ言ってしまうんですよね。上の子は、勉強がそんなに好きではないみたいで……。でも絵を描いたり、スポーツをしているとすごく生き生きしているんですよ。この本を読んで自分を反省しました。この子の好きなことをもっと思いっきりやってもらって『私はこれがいちばん好きだからやってるの』って自信をもって言えるようになってほしいなって思います」

でも……。百貨店で仕事をしているとどうしても「一番よく売れるように」と「一番」を求められがちです。ご自身についてはどう考えられているのでしょう?

婦人営業部 ブランドショップ担当 パーソナルアテンダン 長縄衣理さん

「この本を読んで、私に取っての『いちばん大好き』は何だろう?と考えたとき、やっぱりお客様がお悩みを解決して喜んでくださったり、『新しい自分を発見できたわ』と言ってくださることだなあと思いました。だから、売り上げをあげることを目的に考えるのではなく、お客様に喜んでいただけること、そして『私と会いたい』って思ってもらえることを目的にしたいなと思っています。そうするとおのずと数字もついてきてくれる。なんだかお金ばかりを気にして接客していると『ああ、この人売りたいんだな』ってお客様にわかってしまうんですよ」

双子を出産後は6か月で、娘さんの出産後は8か月で職場に復帰したという長縄さん。お話を伺っていると「仕事が大好き!」ということが伝わってきます。育児と仕事の両立で忙しい日々の中では、「できないこと」もきっとあるはず。でも「できない」ではなく「できる」にフォーカスすることが、長縄さんの明るさをつくっているよう。誰かと比べる「いちばん」ではなく、自分の中での「いちばん」でいい。そう教えていただいた気がしました。

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3階 松宮文さん マ・ランジェリー アシスタントバイヤー
選んだ本「TUGUMI」(よしもとばなな)

マ・ランジェリー アシスタントバイヤー 松宮文さん

私の周りでも、伊勢丹の肌着売場「マ・ランジェリー」のファンがたくさんいます。下着を選ぶとき、フィッティングをサポートしてくれ、自分にあったランジェリーを提案してくれる。そんなランジェリーコンシェルジュの存在はなくてはならないもの。「何を選んだらいいかわからない」というときや「今の下着が合わなくなってきたから買い換えたい」というとき、私も何度か利用させていただきました。

大学でプロダクトデザインを学んだという松宮さん。いろいろなものに出会える「百貨店」という空間が大好きで、11年前に入社。4階「ライフ&スタイル」やラグジュアリー担当を経て婦人雑貨へ。1年前から「マ・ランジェリー」へ配属になりました。

初めてランジェリー売り場への配属を聞いたときはどう感じましたか?と聞いてみました。

「ちょっとびっくりしたのは事実です。でも、いろいろな場所で経験を積んでいくと、自分の引き出しが増えていくので楽しみでしたね。今は、ずっとランジェリー売り場にいるベテランスタッフとは、ひと味違う目線で『マ・ランジェリー』とお客様に楽しんでいただけるようにしようと、新しいチームで考えているところです。私はファッション畑で育っているので、外面がよければいい。肌着なんて見えないし……って思っちゃていました(笑)。でも、同僚たちと話していると、ランジェリーを選ぶって、『自分の体を大切にする』ってことなんだなあとわかってきて、感動したんです」

そんな松宮さんが選んできてくれた1冊がよしもとばななさん作の「TUGUMI」です。

マ・ランジェリー アシスタントバイヤー 松宮文さん

幼い頃から外国の児童文学を読むのが好きだったそう。そんな中で中学生の頃出会ったのがこの本。
「海辺の街で主人公の女の子と、その従姉妹のつぐみちゃん、つぐみちゃんのお姉さんの陽子ちゃんが過ごした夏の日々がつづられているんですが、すごく五感を刺激される本だなあと思いました。読んでいると、その街とか、浜辺の香りが伝わってくるんです。気持ちと場所が掛け合わされた描写がすばらしいんですよね。つぐみちゃんの実家の宿が壊されてしまう、といく切ない気持ちとか、そのときに感じた海からの風とか、いろんな感情が五感と共に流れ込んでくる。その感覚をもう一度味わいたくて、夏になるたびにこの文庫本を引っ張り出して読んでいます。だからこんなにボロボロになっちゃった(笑)」

「暮らしのおへそ」でばななさんを取材させていただいたとき、文章を書くときには「感情を入れずにものを見る。風景や人や出来事を心の動きと切り離して観察する」と聞いて驚いたことを覚えています。ファンタジーの世界を描くとき、リアリティがないと薄っぺらい文章になってしまう……。だからこそリアリティが大事。その文章を読むと「心の奥底の記憶がよみがえってきて、それをマッサージされているような心地よさを味わえる。そんな小説を目指しています」(「暮らしのおへそ」vol7」と語ってくださいました。

そんな小説は、松宮さんの仕事にどう関係してくるのでしょう?

マ・ランジェリー アシスタントバイヤー 松宮文さん

「ばななさんの小説は、日本語をすごく丁寧に紡いで読者に伝えていると感じるんです。一言一言を選んで文体が作られていく……。そんなふうに私たちも、お客様に丁寧にいろいろなことを伝えていきたいなと思います」。

流行の商品が行き来する百貨店の中で、松宮さんが見ているのは、時間の経過に消費されないもの、決して変わらない何か、のようでした。毎年夏になったら「TUMUGI」の文庫本を取り出して、あの匂いや風や風景を思い出す……。そんな本との付き合い方もいいなあと思いました。

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4階 佐藤文建さん 婦人服バイヤー
選んだ本「チルドレン」(伊坂幸太郎)

4階 婦人服バイヤー 佐藤文建さん

婦人服のバイヤーとして、3〜4階の婦人服のブランドを担当している佐藤さん。働き方も従来の商品をバイイングするバイヤーとは違い、「場所」と「機会」を提供するのが仕事です。若いときからファッションが好きで「自分の感性を活かす仕事がしたい」と伊勢丹を選んだそう。

感性ってなんですか?と聞いてみました。

「純粋にかっこいいとか、かわいいと思えるもの、ワクワクするものかな。自分がいいなと思うものを楽しみながら探したいと思っています。でも、自分の感性が正しい、とも思っていないんです。職場には自分とは違う感性の人も大勢います。『感性を活かす仕事がしたい』というのは、そんな人の『感性』についても触れながら、刺激しあいながら、という意味ですね」

成功した、と思うのは、やっぱり売れたときなのでしょうか?

「僕はあんまり『成功』って感じたことがないんです。売れたら嬉しいのは嬉しいけれど、それはブランドさんがしっかり作って紹介してくれたり、販売員さんが売ってくれたからこそ。僕はそのお手伝いをしているだけなので、『成功』っていう実感がないんです。今まで仕事をしてきて『やってやったぞ』と思いはあまりないかもしれませんね」

そんな佐藤さんが選んでくれた1冊が、伊坂幸太郎作の「チルドレン」です。

4階 婦人服バイヤー 佐藤文建さん

「短編集で、どの作品にも陣内という家庭裁判所の調査官が出てきます。彼は矛盾を抱えた人物で、言っていることはすごく真っ当なんだけれど、一方ではまったく真逆なことを言ってみたりもする……。そんな陣内について短編の主人公たちが、客観的に語っていく、といく構成です。読んでいるうちに、人間って矛盾に満ちた生き物で、『それでいいんだよな』と感じるんです。そうすると、ものすごく気持ちがラクになる……。世の中にはいろいろな人がいるし、そのまま生きていて幸せだよね。期待しすぎなくてもいいし、落ち込みすぎなくてもいい。『フラットなままで幸せなんだよ』って教えてもらっている気がします」

人にはいろいろな面がある……。佐藤さんは仕事でそれを感じることがあるのでしょうか?

4階 婦人服バイヤー 佐藤文建さん

「なるべく人をフラットに見たい、と思っていますね。たとえば部下が『仕事が期限までにできませんでした』と言ってきたら、ただ腹を立てるのではなく、『もしかしたら家族に何かあったのかもしれない』『すごく体調が悪かったのかもしれない』とフラットに想像するだけで、対応の仕方って変わってくると思うんです。人ってやっぱりそれぞれの事情があるし、そういうことを想像しながら生きていくことってものすごく大事。事実って、自分の捉え方によって、いかようにも変えられるなって思いますね」

1冊の本の話と、「『成功』を感じたことがない」と語ってくれた仕事の話がカチッとつながった気がしました。何かを成し遂げることだけが喜びではない。誰かの仕事を手助けし、その人やモノがいちばん生き生きと輝ける場や機会を作れればいい。自分の姿をすっと隠すこと……。そんな佐藤さんの仕事の仕方は、周りの人の「ありのまま」を引き出すことのようでした。

本というものは、自分の心と響きあわせながら読むものだと思います。だから、その人が求めているもの、悩んでいること、知りたいことが、選んだ本の中から見えてくる……。百貨店は多くの人が行き交い、明るく賑やかな場所です。でも、今回4人の方の4冊の本のお話を伺って、その人がたったひとりで過ごす時間を、少し覗き見させていただいた気がしました。仕事から帰るとみんなひとり。そんな中で、「幸せってなあに?」と考え、「自分がいちばん大切なものはなんだろう?」と振り返り、「時と共に消費されないもの」を探して、「ありのままの自分でいる」ことをよしとする……。巨大な百貨店の後ろには、そんな個々の成熟した時間がつながっていることを知りました。そして、みなさんが手にしていた本を、私も読んでみたくてたまらなくなりました。

文 ・一田憲子さん
ライター,編集者として女性誌、単行本の執筆などを手がける。2006年、企画から編集、執筆までを手がける「暮らしのおへそ」を 2011年「大人になったら、着たい服」を(共に主婦と生活社)立ち上げる。著書に「日常は5ミリずつの成長でできている」(大和書房) 新著「暮らしを変える 書く力」(KADOKAWA)自身のサイト「外の音、内の音」を主宰。
http://ichidanoriko.com

写真・近藤沙菜さん
大学卒業後、スタジオ勤務を経て枦木功氏に師事。2018年独立後、雑誌、カタログ、書籍を中心に活動中。

いままでのコラム
3月 一田さんと百貨店を考える
4月 伊勢丹新宿店の秘密
5月 えらぶ目とすすめる目
6月 「おいしい」は、幸せの分かち合い

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