＜イブラヒム恵美子＞見る人の心に安らぎをもたらすガラス絵の世界

東京藝術大学のデザイン科で学んだイブラヒムさんは、在学中に『ガラス絵』と出会い、その独特の技法に惹かれて以来、心やすらぐ色彩豊かな作品を制作されています。
『ガラス絵』は、ガラス板やアクリル板の裏に絵の具をのせて描いた作品ですが、紙やキャンバスに描く通常の絵画と比べると、絵の具を重ねる工程がまったく逆の順序になり、動画を逆再生したかのような緻密な計算と卓越した技術が織りなすユニークな技法です。

「ガラス絵はそれまで取り組んできた制作工程とは正反対。そこに面白さを感じ、強く惹かれていきました」というイブラヒムさんの制作コンセプトは、イングランド民謡の「埴生の宿」にあると言います。

「『埴生の宿』とは、もともと『土壁の粗末な家』という意味だそうですが、“大切な場所”ということが歌われています。この詩は、他人から見たら貧しい家でも、私にとっては幸福な住処であるという内容なのです」
「そして、“大切な場所”は人によってもさまざまです。その中で、どんな人にとっても違わない“大切な場所”とは、どういうものかを考えました。そうして辿り着いたのが“自分が自分でいられる場所”でした」
「それは、どこかにある場所でも、何かの物でも、他者によるものでもなく、それぞれの自分自身の中にあるのではないか。自分が自分でいられる場所(個人の精神世界)＝大切な場所＝埴生の宿という様にむすびつけて制作しています」

「日々さまざまなことが続いている中で、作品を見て少しでもほっと気持ちを緩めていただけるきっかけになればいいなと思いながら描いています」というイブラヒムさん。
可愛らしくあたたかな雰囲気で見る人の心に安らぎをもたらすガラス絵の数々をぜひお楽しみください。

この作品は、あたたかい日の光に包まれる心地ち良さを描いています。

この作品は、のびのびおおらかな雰囲気を描いています。

この作品は、楽しくキラキラした夏のバカンスの時間を描いています。

この作品は、平和や幸せの象徴として用いられる鳥をモチーフに、闇の中を灯す希望をイメージして描いています。

この作品は、甘いにおいに包まれて幸せな感じを描いています。

イブラヒム恵美子

 

略歴
1979年 東京出身。インドネシア人の父、日本人の母の間に生まれる。
2008年 東京藝術大学大学院 デザイン専攻 修士修了
2006年～大学在学中にガラス絵を描き始め、毎年、個展・グループ展に参加。 主に東京で作品発表のほか、表紙イラスト・クリスマスメインビジュアルなどにも起用されている。
受賞
tokyo illustration 2007 銀賞・谷口広樹賞受賞

 

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