好きを身に着けるから元気になる、そんなアクセサリーに。おそ松さん × ムードマーク バイ イセタンからコラボレーション限定チャームが登場!
「おそ松さん」× ムードマーク バイ イセタンコラボレーションでは、6つ子や松モチーフ、エスパーニャンコの限定チャームが登場。そんなチャームを制作したジュエリーブランド<アイデクト>の江原 麻衣子氏・日向 ユリナ氏と、企画を担当した東(三越伊勢丹メディア芸術)で三者対談を行いました。シンプルであるがゆえに、さまざまな議論と試行錯誤があったというその制作過程を伺いました。
プロのジュエリーデザイナーが手掛けたチャーム
東:まずはブランドについて教えてください。
江原氏(以下 江原):<アイデクト>はジュエリーのリフォームブランドです。「使えないジュエリーをなくす」をテーマに、お客さまの思い入れのあるジュエリーを修理したり違うデザインに変えたりして、ライフスタイルに合わせた提案をさせていただくことをメインにしています。
日向氏(以下 日向):私はフルオーダーのジュエリーデザイナーです。新卒でパールが有名な大手の宝飾会社に入って、それからずっとジュエリーのデザインをしています。
東:すごい!それでは日向さんはハイジュエリーのデザインも?
日向:そうですね。ティアラのデザインをしたこともあります。ずっとデザイン畑でしたので、それ以外はできませんが(笑)。
東:ハイジュエリーのデザイナーさんに「おそ松さん」のチャームを手掛けていただけるとは光栄です。
日向:いえいえ。私はハイジュエリーだけでなく、例えばプロサッカーチームのチームバッチやカレッジリングなどもデザインしていましたし、幅広くやらせていただいています。
東:ちなみに、過去にアニメやマンガといった分野のアイテムを<アイデクト>で手掛けられたことは?
江原:三越伊勢丹さんが初めてですね。
東:このようなIP*1の場合、どのようにデザインのインスピレーションを得ているのですか?
*1:IP=知的財産。アニメ・映画・ゲームのコンテンツやキャラクターのこと。
日向:インプットを大事にしていますね。まずはより多くの情報を浴びて、その後2〜3日籠もり、アウトプットしたものを江原と何回もディスカッションします。
江原もよく作品についてリサーチしてくれますし、コスト管理の意識も高いので、大きさや作り方も彼女と議論しながら最短距離で進められていると思います。
東:作品に対して市場調査をされてからアイテムに起こされている、と。普段からアニメはご覧になられますか?
日向:私はアニメ好きで今流行っている作品も結構観ていますよ!「おそ松さん」はお話をいただいてから観ました。
江原:(「おそ松くん」と比べて)色がかわいくて、すごく変わった印象がありました。
日向:ポップになりましたよね。私は兄がいるので子どもの頃に「おそ松くん」もマンガでよく読んでいました。
シンプルだからこそ線の1本1本がキャラクターの印象を左右する。
東:制作工程についてお伺いします。最初はラフ絵から描かれるのでしょうか?
江原:そうですね。(日向は)いくつかデザインのアイデアを決めて、そこからバリエーション展開をしていく感じでたくさんのラフを描いていますね。
日向:絵画出身なので、今でもデジタルより手描きですね。
東:今回のラフ絵も手描きなのですよね。再現度の高さに驚きました。
日向:わずかに顔の縦横比も違いますし、微妙なニュアンスの違いがあって難しかったですね。
東:髪の毛とか。
日向:髪の毛!重要でしたね。
江原:ジュエリーを作る側からすると「アホ毛(浮き毛)は細いので表現できないからカットしよう」という発想になるのですが、東さんから「マストでお願いします!」とのことでしたので、どうやって作るのかというのを真面目に考えていましたね(笑)。
東:髪の毛1本2本が6つ子の個性に影響するので、なんとか表現してほしかったのです!
日向:鉛筆で描いたラフをご覧いただき、どの表情を採用するのかご相談させていただきました。
東:かわいい表情やクールな表情などたくさんアイデアを描いてくださったので悩みましたが、今回はシルエットも丸い感じですし、かわいい寄りの表情を選ばせていただきました。それと重ね着けするなら松モチーフとエスパーニャンコもあったらかわいいと思いリクエストさせていただきました。
日向:東さんは「重ねて着けるなら大きさもこのくらいがいい」とか、お客さまの着用シーンを考えて具体的なリクエストをしてくださるじゃないですか。それがコラボだと思いますし、私はそのように商品を作り上げていく過程がすごく好きです。
東:難しいお願いも快く引き受けてくださって、本当にありがたかったです。
東:それからCAD*2で3Dデータに起こしていただいて、実際のイメージを作っていただいたのですが、この段階でも結構修正をさせていただきました。
*2:CAD=キャド。図面や設計図を作るためのアプリケーション。
江原:そうですね。口の角度や目の位置、カラ松のサングラスなど、微細な修正を数回重ねました。
東:シンプルだからこそ、少しのことでキャラクターの印象が変わってしまいますよね。
0.02mmまでこだわり抜くジュエリー職人の世界。
東:そして、いよいよ実際の形にしていただいたのがこちらですね。
江原:こちらは「原型」と呼ばれる状態のもので、今日できあがってきたものです!ここからさらに量産するための型を取っていきます。
日向:原型を作るためと量産するための計2回型を作るのですが、鋳造するごとに大きさがわずかに小さくなるので、それを計算してデザインをしています。ジュエリー職人は0.02mmまで違いがわかると言われているので、下絵の線の内を取るのか外を取るのかなど職人と細かく決めていきます。
江原:そして軽く磨いて燻していきます。
東:今回素材はシルバーで、アンティーク仕上げになっていますが、仕上げ方によって印象が異なってきますよね。
日向:ピカピカに磨きあげてメッキをかけると鏡面のように光るのですけれど、今回のようにあえて燻し加工をすると味わいのある仕上げになります。
江原:最後は6つ子それぞれのイメージカラーの石を留めて、金具を付けて完成です。
日向:石留めはすべて手作業で行います。
東:この小さな石を一つずつ手作業で・・・。
日向:石留め職人さんという専門の職人がいるのです。
東:古くからの職人さんが未だにこうした作業をされているのですよね。日本の職人さんのクオリティは本当に高いと思います。
江原:丁寧ですよね。海外のハイジュエリーと比べても日本の職人さんの技術はやはり高いと思います。
オトナが着けられる推し活ジュエリー
東:私も宝飾の部署に長くいたので、アニメやマンガをテーマにした「大人も着けられるジュエリー」を作りたいなと常々思っています。
江原:確かに、日常使いできるようなデザインやクオリティのジュエリーは、いつでも推しを身に着けられるという点でファンはうれしいですよね。
東:今のアニメは大人のファンも多いですし、そういう大人の方に向けたデザインと素材をいつも目指しています。また、自分でも欲しいと思えるアイテムを厳選して作るようにしています。
日向:年代を越えてね。推しがいるって大切ですよね。
好きを身に着けるから元気になる、そんなアクセサリーに。
東:お話を伺って、シンプルであるからこそ、さまざまなやりとりがあってできあがっていることがわかりました。最後にファンの皆さまへメッセージをお願いいたします。
江原:楽しい気持ちになってほしいですよね。私もそうですが、推しのアイテムがふと目に入ると気分が上がるので、このチャームが皆さんにとってそういうアイテムの一つになってくれたらと思います。
日向:ジュエリーやアクセサリーがなくならないのは、ワクワクと気持ちが高揚するからだと思います。私のお客さまは年代が上の方も多いのですが、ジュエリーを着けると元気になるとおっしゃっています。
きっと推しがいる方たちも、好きを身に着けると元気になるというのは同じだと思います。メイクに近いのかもしれませんね。
江原:誰かの元気になってほしいですよね。
東:お二人ともありがとうございました!
お話を伺った方
お客さまの要望に寄り添うフルオーダーのデザインを担当。
1989年プラチナギルドインターナショナルコンテスト入賞などの受賞歴多数。
2018年より<アイデクト>でリフォーム枠の開発、コラボ企画など多岐にわたる分野で活躍。
<アイデクト>
お客さまがお持ちの宝石を使ったリフォームや修理、サステナブルジュエリーの販売など幅広にサービスを展開し、ジュエリーのお困りごとに最適な提案をするジュエリーブランド。
多くの事例を活かし、身に着ける喜びや楽しさを引き出すデザインをご提供します。
©赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会