銀河英雄伝説 Die Neue These
Production I.G×三越伊勢丹メディア芸術 座談会
担当者が語るコラボレーションの舞台裏 第二章
テレビ放送5周年を記念して番外編コラボレーションとなる「銀河英雄伝説 Die Neue These × 三越 ~Extra Edition~」の開催が決定。「銀河英雄伝説 Die Neue These」のエグゼクティブ・プロデューサーを務める郡司氏(写真中央右)・同作の商品化を担当している岩谷氏(写真右)と、三越伊勢丹メディア芸術チームリーダーの森(写真中央左)・同チームで今回の商品企画を担当した小野寺(写真左)の4名で、昨年に続き2回目となるクロストークを実施しました。
アニメーションを取り巻く潮流が激変した8年。
小野寺:まずはテレビ放映5周年おめでとうございます。節目を迎えていかがですか?
郡司氏(以下 郡司):私は本作の制作を発表して以来、8年間この作品に携わっています。その間コラボをしてくださる企業が増えてきたことは嬉しいですね。以前は、百貨店業界がアニメとコラボすることは、世間一般的に当たり前ではなかったと思います。三越さんとこういった対談を実施していると、隔世の感があります。
岩谷氏(以下 岩谷):今はアニメコラボの波がきていますしね。
森:私がアニメ・マンガ・ゲーム等に代表されるメディア芸術分野とのコラボに関する検討を始めたのは2016年でしたが、実際に取り組めるようになったのは2019年。こちらも社内の根回しに3年かかりました。
郡司:時代が変化したということですね。
森:市場規模が拡大していますし、経済誌もアニメの特集を組むようになりましたね。
小野寺:変化のきっかけというものはあったのでしょうか?
郡司:文化の歴史を紐解くと、同じ流れを汲んでいます。今、我々が伝統文化とみなしているものの多くは、当初はサブカルチャーだと言われてきました。しかし、そうしたものの中から時に、長い年月を経て、メインカルチャーと呼ばれる文化に昇華する分野が出てくるのです。
森:私はアニメや漫画は既にメインカルチャーになっていると考えています。
郡司:三越さんも創業当時は「現銀(金)掛値なし*」という型破りな商法で、当時の老舗からは相当批判されていたと歴史の本には記載があります。
森:当時の価格破壊者ですからね。
*:現銀(金)掛値なし=品物と代金を店前(店頭)で交換することにより正札(適正価格)で販売すること。当時は得意先で販売することが一般的で、支払いもまとめて支払う商慣習があったため貸し倒れも多く、品物の代金を高く設定していた。三越は「現銀(金)掛値なし」で呉服の販売価格を大幅に下げたことにより、大きく成長した。
これまでのコラボレーションを振り返って。
郡司:第1弾*(2020年12月)は、もう3年近く前ですね。
森:メディア芸術チームとしては、制作資料展を含む大きな展示会は初めての試みでしたから、Production I.G/プロダクション・アイジーさんには勉強させていただきました。
郡司:原画展をやりたくて何社かにお声掛けしたのですが、コスト面などで実現しませんでした。第1弾の時には、弊社から三越さんに「原画展をやりませんか」という話をもちかけたところ、三越さんが乗ってくれました。展示内容については我々が考えたわけですが、来場者の反応はとてもよかったので、やってよかったと思っています。
森:今は昔と違ってSNSですぐ反応が得られるので、お客さまの感動の度合いや私たちの想いがどのくらい伝わったか、ストレートに返ってくる。そこは大変ありがたかったです。
郡司:三越伊勢丹のさまざまな役職の方々にも、ご注目いただけたようですね。
森:Twitterで皆さんがツイートしてくださった内容をレポートすることで、直接担当していない社員の間でもファンの皆さまの熱量を共有できました。
岩谷:クリエーターもお忍びで何人も行って喜んでいました。
森:我々としてもノイエ銀英伝を通して、新しいお客さまが店頭へいらしていただけたことが嬉しかったですね。
*:コラボレーション第1弾に至る詳しい経緯は、前回の対談記事 をご覧ください。
厳選したコラボレーションアイテム。番外編ならではの切り口も。
森:今回は「Extra Edition」と題し、三越伊勢丹オンラインストア限定の展開ということで、アイテムを厳選しました。商品企画担当もフレッシュなメンバーが大勢加わりました。ちなみに前任者が、査問会で更迭されたわけではありません(笑)。
岩谷:国璽*が売れないと査問だと言われていましたが、違うのですね(笑)。
郡司:その点は安心しました(笑)。
小野寺:今回、気になったアイテムはございますか?
岩谷:<オーバーエクセレント>さんのジュエリーは、第1弾から長く取り組んでいただけているだけあって、モチーフの落とし込みが凄いです。
森: 先方のデザイナーさんも、作品を相当研究してデザイン制作に臨んでくださっています。今回は本編と連動しない番外編ということで、キルヒアイスのアイテムもご用意しました。
*:国璽=「銀河英雄伝説 Die Neue These × 三越 ~2nd season~」で販売した、純金製国璽モチーフ印鑑
郡司:こちらも前の対談でもお話ししましたが、アイテムはアニメ会社が作っていると思われがちですが、そうではありません。グッズメーカーさんが企画・制作を行いますが、我々アニメ会社のみでは、ここまでのものを作るメーカーさんにつてがないのです。そこは百貨店コラボの強みですね。
岩谷:メーカーや小売店さんが企画したものを、世界観に合っているか判断するのが私たちの仕事です。
森:そういった意味ではメーカーさんの中にもファンが多い作品なので、私たちも企画進行がスムーズでした。
森:イラスト関連では、こちらも番外編ということで、ミニキャラを描いていただきました。ちなみに、ミニキャラを監修する際に気をつけていらっしゃる点はありましたか?
岩谷:「かわいいかどうか」ですね(笑)。ミニキャライラストのアクリルスタンドは、サイズ感もいいですね。(スマートフォンのカメラの)フォーカスも合いそう。ケースに入れずに鞄からさっと取り出せますね!
郡司:衣装は三越さんの販売員をイメージされていますね。
小野寺:はい、紳士服部門出身のメンバーが細かく設定資料を作成しました。
岩谷:これまでのコラボイラストでも、衣装の話はかなり擦り合わせをしましたね。今回も、それぞれの衣装にコンセプトがしっかりあるので、ぜひ、三越伊勢丹オンラインストアの商品詳細ページで、紹介テキストを読んでいただきたいと思います。
小野寺:ほかに気になったアイテムはございますか?
岩谷:「オーベルシュタイン愛用のバッグインポーチ」は、アイデアが来た段階で「これいい!」と。
小野寺:ありがとうございます。過去にオーベルシュタインのアイテムがなかったので、今回はぜひ、作りたかったものの一つです。
岩谷:それから「ヤン愛用のカーディガン」。こちらは、第2弾のコラボイラストの中でヤンが着ていたものを実際に作っていただいたのですが、こうしたアプローチも面白いですね。あと、私は紅茶が好きで。今回の復刻のティーセット*は、実物を見せていただいたらすごく良かったです。コンセプトも物自体も。
小野寺:カーディガンは少し大きめのサイズをゆったり着ていただくのがおすすめです。すべてのアイテムにオリジナルストーリーがありますので、ほかのアイテムも含めて、ぜひ 三越伊勢丹オンラインストア をご覧いただけたらと思います。
郡司:復刻といえば、双璧のコーヒーを再販してほしいですね。美味しかったのでもっと買っておけばよかった。あと、帝国のシャツ。実は、雨の日に汚してしまって・・・もう一着ほしい。
岩谷:私も「アンネローゼのためのポーチ」を普段使っています。すごく便利で、もうほかの化粧ポーチは使えません!
*:ティーセットの詳細は、こちらの記事 で詳しく解説しています。
今後の展望、そしてコラボレーション第3弾の可能性は?
森:コラボなどでは、今後どのような展開がありますか?教えていただける範囲で。
郡司:直近では、イゼルローンフォートレスを運営されているベネリックさんが、展示会を日本各地で展開します。大阪で全4回のトークショーも予定しており、それにあわせて三越伊勢丹ニッコウトラベル(MINT)さんがツアーを組んでくださることになっています。
岩谷:今回の「Extra Edition」とはまた別の企画ですが、MINTさんのツアーは三越さんとのお付き合いがあったからこその企画。楽しみです。
郡司:ちなみに、通常は整理券の配布日とトークショー当日の2回大阪に行かなければならないのですが、ツアーに申し込んでいただくと、全4回のトークショーとサイン会2回の参加券に加えて、帝国ホテル大阪の宿泊とアフタヌーンティーが付いてくるそうです。
岩谷:ワンストップなのは楽ですね。ノイエ銀英伝は地方にお住まいのファンの方もたくさんいらっしゃるので。
小野寺:三越コラボ第3弾の可能性はありますか?
郡司:もちろん我々は歓迎です。しかし、どのコラボにも言えることですが、毎回の結果が大事になってきますね。
小野寺:おっしゃるとおりです。第3弾が実現した折には、これまで以上にさまざまなソリューションをご提案できるよう全力を注ぎます。
森:三越伊勢丹メディア芸術として、ノイエ銀英伝はとても大事にしなければならない作品。次回も、ファンの方にニヤッとしていただける企画をお届けしたいと思います。
お話を伺った方
「銀河英雄伝説 Die Neue These」エグゼクティブ・プロデューサー
IPマネジメント部IPマネジメントチーム
「銀河英雄伝説 Die Neue These」ライセンス担当